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23.04 *りゅうちしょ → りゅうちじょ 50.58*じょうにん → じょうじん
こんにちは。逆転裁判2回目をやっていきたいと思います。
今日は第2話、逆転姉妹をやってみましょう。
はい、今日はどんな事件ですかね。
なんか金持ちそうな男の人が写ってますね。
そして女性が2人写っています。
この人たちが姉妹でしょうか。
じゃあ始めましょう。
電話です。プルルルル、プルルルル。はい、綾里ですけど。もしもし、私よ。
あ、千尋さん。弁護士事務所の所長の女性ですね。
あ、千尋お姉ちゃん、どうしたの?珍しいね。
電話の相手は千尋の妹です、たぶん。
ごめんね、最近忙しくって。
どう?元気?
もう、かわいい妹を一人でほったらかして、ひどいな。
うん、千尋さん忙しいので、久しぶりに妹に電話をかけたんですね。
なーんて。冗談だよ。大丈夫だよ、もう慣れちゃったから、一人暮らし。
そう、ありがとう。
あのね、実はちょっと頼みたいことがあるの。
ああ、わかった。
また証拠品預かれって言うんでしょ。
よくわかったわね。
今度の事件、ちょっと話が大きくなっていてね、裁判の日までそばに置いておきたくなくて。
事件の証拠品を妹に預けたいって言っています。
へー、で?で?今度は何?
置き時計よ。
あ、こないだの置き時計ですかね?あの考える人の形の。
えっと、矢張さんが作ったんでしたよね。
亡くなった彼女へのプレゼントに作った考える人の置き時計。それを千尋さんにあげましたよね。
あれのことかな。時計?
そう、考える人の形をしてて、なんと喋るのよ。
うん、やっぱり前回出てきたあの時計ですね。
あなた好きでしょ?こういうおもちゃみたいなの。
あー、また私のこと子供扱いした。
妹だから、ついつい大人になっても子供扱いしちゃいますよね。
ふふふ、ごめんなさい。
あ、でも今はこの時計しゃべらないんだったっけ。壊れたのかな。
え、なんで?つまんない。
さっき時計の機械を抜いちゃったから。
うん、なるほど、時計の部分を抜いて、ただの置物になっちゃったんですね。
代わりに書類が入っているの。
なんか重要な書類ですかね。秘密の書類かな。
書類?それが証拠品なの?
うー、なんか話がそれっぽくなってきたね。
あの置物に証拠品の書類を隠してるってことかな。
じゃあ今晩の9時頃、事務所に来てくれるかしら。
裁判の打ち合わせ、多分その頃までかかるから。
打ち合わせっていうのはミーティングのことですね。会議です。
お姉ちゃん、また何か美味しいのご馳走してよね。
それ、ね、証拠品預かってあげるから、なんか美味しいもの食べさせてね。奢ってね。
あ、味噌ラーメンがいいな。
味噌ラーメン。はいはい、じゃあいつものお店行こうね。
やったー。約束だよ。
じゃあお姉ちゃん、また後でね。
うん、待ってるわよ、真宵。
真宵さん。千尋さんの妹の名前は真宵さんですね。
ただいまの通話、録音しました。9月5日午前9時27分。
9月5日午後8時57分、綾里法律事務所。
じゃあミスチヒロ、もらっていくよ、書類を。
悪いけど渡せないわ。ここにはないもの。
うん、誰と喋ってるんでしょう。
ミスチヒロ、嘘は下手みたいだね。
ちゃんとあるじゃないか、そこに。
書類を飲み込んだ考える人が、さ。
うーん。
誰と話してるんだろう。
ど、どうしてそれを?
なんでわかったの?
はは。
ドンチューノウ?
なんかちょいちょい英語を入れてきますね。
知らないのかい?
ぼかぁって、僕はってことですね。
僕は情報を集めるのが仕事なんだよ。
油断したわ。
ふん。それとちょっと気の毒なんだけど、ちょっと悪いんだけど、君には約束してもらわなきゃならないことがあるんだ。
エターナルサイレンス、永遠の沈黙をね。
何ですか?
なんか千尋さんが危険ですね。
あっ、誰?コナカ。
コナカって今のおじさんの名前ですかね。
9月5日午後9時8分、綾里法律事務所。
ふぅ、すっかり遅くなっちまった。
うん、さっき千尋さんが襲われましたね、あの男の人に。
で、その後、なるほどが事務所に帰ってきたのかな?
おかしいなぁ。所長帰っちゃったのかなぁ。
うん、所長いるはずなのに、所長の気配がありません。
妹さんが遊びに来るからご飯食べに行こうって言ってたのに。
なんだこの匂い?
血?
ち、千尋さん!所長室か!調べるか、移動する。
移動して調べたほうがいいですね。所長室に移動して...。
あ、もう調べるはできないんだ。
血の匂いだ。
うー。お姉ちゃん...。誰かいる。
えっと、この左側のが千尋ですかね、で、右側の泣いている女の子が千尋の妹?
しょ、しょ、所長。
君は?
気絶した少女を事務室のソファーに寝かせて。
あの妹らしき少女は、ショックで気絶してしまいました。
僕は所長のそばに戻ってきた。
所長の体にはまだ少しぬくもりが残っている。
まだ冷たくなってないんですね。生きてるのかな、死んでるのかな。
肩を抱く僕の手を通して、はっきり感じることができる。
でも、そのぬくもりは急速に、そして確実に、この手から失われていった。
冷たくなっていったってことだから、やっぱり所長は死んでしまったんですね。
所長。
調べる。
この考える人の置物が凶器ですよね。
これを調べてみましょう。
えっと、どこ押したらいいんだ?
オプション?
血がべっとりついている。
なんとも皮肉なことに、今度は所長の命を奪ってしまったらしい。
この間の事件でも、これが凶器でしたね。
今度は所長の命を奪ってしまった。
これは?大小のガラスの破片が散らばっている。
何かが倒れて壊れて、破片が散らばってますね。
なんだろう。どうやら、ガラスでできた電気スタンドだったようだ。
これは?所長...見るのも辛いけど、調べないわけにはいかないな。
なるほどさん、自分で調べる前に警察呼んだ方がいいですよね。
通報しなくていいのかな。
鈍器で頭部を殴られている。
多分即死だったんじゃないだろうか。
もう即、殴られてすぐに死んでしまった。
即死だったんじゃないだろうか。
死体のそばに転がっている考える人が凶器か。
証拠品、考える人のデータを法廷記録にファイルした。
それと所長の体の周りに、ガラスの欠片が散らばっている。
部屋の奥に倒れているガラス製の電気スタンドの破片か?さっき見ましたね。
これも証拠品として法廷記録にファイルされました。
他にはもう手がかりになるようなものは...ん?
千尋さんの体から何か紙切れが落ちたぞ。
さっき言ってた書類ですかね。
なんだろう。あ、これ?
小さな紙切れに血で文字が書かれている。
まよいって書いてますよね。
これ妹の名前?
違うのかな。
「まよい」だな。
千尋さんが書いたのか?
ちなみにこの紙切れはデパートの領収書で、昨日発行されたものだ。
デパートで買い物した時にもらった領収書。
これも証拠品として法廷記録にファイルしました。
とりあえず調べるのはこれぐらいでいいだろう。
警察に通報。そうですよ、早く通報した方がいいですよね。
それにあの女の子のことも気になるな。
はい、もう調べるものはなさそう。
あ、何、ここは?所長の椅子だ。
機能重視のシンプルなデザインで、座りやすいんだ。
それだけ。
うーん、この考える人の置物の中に、今所長が担当している事件の証拠の書類が入ってたんですよね。
それを奪いに来た人に殺されたっていうことだと思います。
はい、じゃあ戻るにして、どうしよう。
スライドって何?
あ、そういうことね。
あ、ここにもなんかあるのかな。
これも、じゃあ見てみましょう。
電話。そうだ、とにかく警察に通報しよう。
そうですね。
この電話変だなぁ。受話器のネジがいくつか外されている。
受話器のネジがなくなってる。
何かの作業を途中でやめたような感じだ。
来て、早く来て、おまわりさん。
警察を呼んでますね。
なんだなんだ?窓の向こうで叫び声が。
女の人です。ピンクの髪でピンクのスーツを着た女性が、警察に電話してます。
こっちをじっと見つめているぞ。
向かいの建物にいる人かな。
受話器を握っているような。
これは?綾里法律事務所の帳簿だ。
帳簿っていうのは、会社とかの記録をつけているものですね。
例えばどんな取引をしたとか、あとはお金のこととかを記録しているノートが帳簿です。
所長の綺麗な字で数字がびっしり書かれている。
小さなオフィスだけど、結構儲かってるみたいだ。
結構売り上げがあるんですね。
パソコンかな、これは?ちょっと意外なことに、所長は機械に弱い。
このパソコンもほとんど電子メール専用に使っていた。
とても古いモデルをただでもらってきたそうだ。
うーん、この辺は全然手がかりになりそうにありません。
所長の大切な資料がぎっしり並んでいる。
事件の調書や最近の判例なんかがファイルされているそうだ。
判例っていうのは、過去の裁判でこういう判決が出ましたよ、こんな例がありますよっていう、その記録ですね。
手がかりになりそうなものはありません。
これはごく普通のオフィス用デスクだ。
依頼人も使う家具にはたっぷりお金をかけて、自分が使うものはシンプルにというのが、所長の方針だ。
うん、どうしよう。戻る。
移動してみましょう。
事務所の入り口の方に移動してきました。
さ、さっきの女の子はどこだ。
あ、女の子がいなくなってるんですね。
そこのソファーに寝かせておいたのに。まさか逃げたのか?
うわっ。ふぅ、脅かすなよ。
あのさ、名前教えてくれないかな。
大丈夫、僕はこの事務所の人間だから。
まよい。うん、やっぱりこの子の名前だったんですね。
綾里真宵。綾里?真宵?
まよいだって?うん、さっきのダイイングメッセージみたいなメモに書かれていたのも|、まよいでしたね。
千尋さんが書き残したのは、この子のことだったのか。
ちょっとこの子にあの領収書を突きつけてみよう。
法廷で覚えたテクニックが実生活で役に立つとは。
うーん、突きつける?うーん、突きつけてみますか?
これはどういうことだ。
千尋さん、亡くなる前に自分の血でメッセージを。領収書の裏にね。
驚いてます。
あ、私の名前。ど、どうして?
お姉ちゃんがどうして?
落ち着いてくれ。
なんでお姉ちゃんが私を?う、そ、そんな目で見られてもな。
成歩堂、ちょっと困ってますね。
ファンファンファン...あ、警察が来たのかな?サイレンの音ですね。
パ、パトカーだ。ここへ向かってるみたいだ。
動くな、警察だ!
さっき向かいの建物のピンクの女性が通報したので、警察が来ました。
自分は刑事課のいとのこぎりというものっす。
また癖の強い警察が来ましたね。
いとのこぎり?変な名前だな。
このビルの向かいのホテルの客から、殺人を目撃したという通報が入ったので、駆けつけたっす。
喋り方が軽いですね。駆けつけたっす、なんとかっすって。
この女性が通報したんですね。
そうか、あの女の人だな。
とりあえず、あんたたちそこを動いちゃダメっすよ。
やれやれ、困ったな。
まよいちゃんか...まさかこの子が?うん、なんかこのままだと、この子が犯人だと思われてしまいそうですよね。
ね、ダイイングメッセージが残されてたから、この子が逮捕されちゃいそう。
うおー、ちょっといいっすか。
きゃっ。
このまよいという文字に、心当たりはないっす?
あの、それ、あ、あたしの名前。なんすと?
これは被害者が血で書いたメモっす。
息を引き取る間際、息を引き取るっていうのは死ぬっていうことですね。亡くなる直前、犯人を告発したっす。
あ、あたしじゃありま...。
こりゃもう決まりっす。
署まで来てもらうっす。
ダメですね、この刑事、全然話を聞かないで、あの、このまよいちゃんが犯人だって決めつけています。
署まで、警察署まで来てください。今から取り調べをするんですね。
え?え?
千尋さんの妹、まよいちゃんは、緊急逮捕された。
僕も取り調べを受けて、解放されたのは明け方だった。
まぶたは重かったが、眠かったけど、眠れるわけがない。
留置所の面会が始まる時間を待って、僕はすぐにまよいちゃんに会いに行った。
留置所っていうのは、逮捕された被告人、犯人が収容されている部屋ですね。
じゃあ今回は、このまよいちゃんの弁護をするのかな。
9月6日午前9時7分、留置所面会室。迷いちゃんの面会に来ました。
まよいちゃん、すっかり犯人扱いか。あ、あの時の弁護士さん。お、おはようございます。
おはよう。かわいそうに、ずいぶん疲れているみたいだ。
あの、あなたが私の弁護士さんになるんですか?
え、そ、それは...。君次第だよ、もちろんそうだよ、それはごめんだね。もちろんそうだよ。
何はともあれ、ここは元気づけてあげるべきだよな。ああ、もちろんそうだよ。だから元気出して。
そ、そうなんですか。な、なぜだ?さらに悲しげな顔になっちまった。
なんか、なるほどじゃ信用できないみたいですね。
あれ、ど、どうしたのかな?僕じゃ不安とか?だって、信じてもらえるわけないもん、私のこと。
あの時の弁護士さんの目、こいつが犯人だって...。うん、まよいちゃんは、自分がなるほどに疑われてるって思ってるんですね。
彼女を見た時、僕はそんな顔をしてたのか。い、いやそんなことは...。そんなことはないよ。
あ、いいんです、無理しなくても。
うん、急に表情が変わりました。
それに私聞いちゃったから。
え、何を?
実はこの前、お姉ちゃんと電話で話したの。
今日はね、私の部下の初舞台だったの。
へー、そうなんだ。で、で、どうだった?
それはもう、あらゆる意味で大騒ぎだったわ。正直やばかったわ。こんなこと久しぶり。
え、そうなんだ!出来の悪い部下なんだね。出来の悪い、ダメな部下なんだね。
彼は天才よ。まさに恐怖のツッコミ男といったところかしら。
彼に足りないのは、そう、経験だけ。
うん、千尋さんは、なるほどのことを評価してますね。高く評価してます。天才だと。弁護士としての才能があるってことかな。
だけど、まだ経験不足、経験が足りないって言ってますね。ふーん。
じゃあ私に何かあったらお願いしちゃおうかな。
いい?まよい、今はまだダメ。あと3年待ちなさい、無罪になりたかったらね。
経験不足だから、あと3年ぐらい経験すれば、なるほどに任せても大丈夫だよって言っていたんですね、千尋さんが。って。
あ、す、すみません、失礼なこと言っちゃって。
い、いやいや、本当のことだし。
でも、やっぱりじっとしていられないんだ。千尋さんをあんな目に合わせたやつのこと考えると。
弁護士さん、どうしましょう。
話す。とりあえずちょっとこの子の話を聞いてみましょう。
まずまよいのことについて聞いてみます。
あのさ、前からちょっと気になってたんだけど。
はい。
どうしてそんな格好を?うん、なんか普通の服じゃなかったですよね。
あ、これですか?
これは見習いの修行者が着る装束の一種です。
装束...なんて言ったらいいかな。なんかの、なんか儀式とか、そういう時に着るものっていうイメージですね。
何の見習いなんでしょう?何の修行をしてるんですかね?見習い?修行者?修行者?修行者?ちょっと読み方が自信がないので調べます。
修行者ですね。修行者。君は一体何なんだ?
別に私、怪しいものじゃないですよ。ただの霊媒師です、修行中の。
うーん、霊媒師っていうのは、なんか亡くなった人、霊と話せる人ですね。
霊と話をして、亡くなったあなたのお母さんはこんなことを言ってます、って遺族の人、生きてる家族に伝えたりとか、なんかそういうことをする人。
霊媒師。霊媒師の修行をしてるんだそうです。
れ、霊媒師?十分怪しい。
確かにね、ちょっと霊媒師って怪しいって思いますよね。
まよいちゃんが霊媒師の修行中ってことは分かりました。じゃあ霊媒師についてもうちょっと詳しく聞いてみましょう。
君は修行中の身なんだ、その霊媒師の。
そうですよ、綾里家はとっても霊力...霊力でいいのかな?うん、霊力で合ってました。霊力が強い家系で、特に女性は。
ちょっと待って。あ、綾里家...ってことは千尋さんも?
もちろん。キャリアウーマンになるって、急に山を降りちゃったけど。うん、千尋さんにもそういう能力があるんですね。
お姉ちゃんの霊力、ほんと洒落にならなかったんですよ。ほんとにすごかった。
し、知らなかった、あの千尋さんが。
ん?待てよ。何ですか?
本物の霊媒師なんだよね?
はい、修行中ですけど。
じゃあ千尋さんの霊を呼び出せばいいじゃないか。
確かに。本人に直接、誰に殺されたか聞いてみようよ。
すみません、何分修行中のみですから。まだ修行中だからできないですね。
そんな大それたこと、とてもとても。そんなこととんでもない。私にはできません。
やれやれ、困ったな。そんなうまい話ないか。
じゃあ事件当日のこと。事件があった日のこと聞かせてくれないかな。
はい、えーと、あの日の朝、お姉ちゃんから電話がありました。
今度の裁判の証拠品を預かってくれって。
証拠品?
はい、考える人の置き時計。矢張の作った例のやつか。
でも、なんであんなのが証拠品なのかな。
えーと、なんででしたっけ?なんででしたっけ?なんか書類が入ってるって言ってましたよね。
あ、そうだ。よかったらその時のお姉ちゃんの話聞きますか?あ、録音してましたよね。
え、聞けるの?
はい、あの、私の携帯電話にその時の会話が。録音してあるんだ。はい、消し方を知らないから。
はい、携帯電話に録音されたメッセージを聞いてみます。
その携帯電話に録音されている会話だけど、早速聞かせてよ。
はい。あれ?そうだ、電話、あの刑事さんが持って行っちゃいました。
そうですね、逮捕されてるので、まぁ携帯電話も押収されていますよね。警察が預かっていると思います。
すみません。
あ、そう。そりゃそうだな。わかった。今度刑事さんに会ったら聞いてみるよ。
じゃあ忘れないようにメモを書きますね。
あ、ありがとう。
まよいのメモ。「私の携帯電話にはお姉ちゃんと話したことが録音されています」と書かれたメモを、法廷記録に挟みました。
あの...。ん?どうしたの?
すみません、お願いしたいことがあるんですけど。このメモ、偉い弁護士さんの住所なんです。
昔お姉ちゃんが書いてくれて、困った時はこの方に頼めば大丈夫だって。
それで、よかったら、弁護をお願いしていただきたいなって。やっぱりなるほどじゃ不安なんですね。だからもっと偉い弁護士さんに弁護をお願いしたい。
どうしよう...。あ、違う?違いました。なるほどに弁護をお願いしたいって言ったの?
ちょっと私の勘違いでした。
じゃあそれは引き受けましょう。
ああ、いいよ。
あ、違う、やっぱり違った。
頼んできてあげる。
だからその弁護士さんに弁護をお願いしたいって頼むことを、今引き受けたんですね。
いいよ、頼んできてあげる。
ありがとうございます。私他に頼める人がいなくて。
そういえばご両親とかは?
何も言いませんね。
そ、そうか。
うん、僕に任せて。
両親も亡くなっているのかな。
お願いします。
明日10時からです。
え?
え?
あ、明日?
はい。
も、もしこの人に断られたらどうするんだよ。
その時は国で選んでくれた弁護士さんが来るそうです。
あの、頼める弁護士が誰もいない場合は、国選弁護人って言って、国で選ばれた弁護士さんが弁護をしてくれますね。
国選弁護人って言います。
それはいつ?
今日の4時まで待ってもらっています。
面会時間ギリギリだな。
もう時間がないぞ。
わかった、また来るよ。
はい。
事件当日のこと?
事件があった日のこと、聞かせてくれないかな。
嫌なこと思い出させて悪いけど。
気にしないでください。
最近はその話ばっかり繰り返していたから、少し慣れちゃいました。ん?
最近って、まだ今日だけですよね。
もうたくさんその事件について話したから、慣れちゃいました。
お姉さんが亡くなったばっかりなのに、どういうことだろう。
えーと、あの日の朝、お姉ちゃんから電話がありました。
それで事務所に着いたのが、ちょうど9時ぐらいでした。
電気が消えていて、そして血の匂いがして、そ、そして、お、お、お姉ちゃんが...。
わ、わかった。もういいよ、ありがとう。
はい。
えーと、戻る。じゃあ調べる?
調べることは何もないですよね。
移動しましょう。
あ、星影法律事務所。
これがさっき言ってた偉い弁護士ですね。
この人に弁護をしてもらいたいと言ってました。
9月6日某時刻、星影法律事務所。受付によると、大先生は外出中らしい。
いつ戻ってくるかはわからないそうだ。
それにしても、やり手の弁護士ともなると、やり手っていうのはすごく仕事のできる人。
やり手の弁護士ともなると、事務所も大変なことになってるな。
すごく豪華な事務所ですね。
部屋もすごい広そうだし、置いてある家具も高そうだし、絵画が壁に飾ってあります。
まあ、また後で来てみるか。
うん、いませんでした。
じゃあ留置所に戻りますか?
あ、ど、どうでした?弁護士の先生。
ご、ごめん、まだ会えないんだ。
そうですか。
そうだな、行ってみるか、偉い弁護士さんの事務所に。もう1回行く?
帰ってきてるかな。
調べる。
マホガニー製のどっしりしたデスクだ。
深い艶が出るまで磨き込まれている。
ここ調べる意味あるんですか?
来客用のテーブルだ。
上品な、これなんて読むんだろう、黒檀かな?なんだろう。
あ、黒檀です、黒檀。黒檀のシガレットケースと純金製のライターか。
なんだかわからないけど、高そうなことに間違いはない。
さっきからずっと気になってたんだよ、あの絵。
熱苦しいほどこってりした油絵だ。
お値段の方もさぞかしこってりしているんだろうな。
値段がこってりしてるってあんまり言わない表現ですけど、まあ高いんだろうなっていうことですね。
はい、本棚です。
マホガニー製の高そうな本棚に高そうな本がずらり。
でも、あんまり読まれたような跡がないのが気になるな。
はい、もう調べるところはなさそうです。
あ、あった。
最高級の観葉植物だ。
名前はわからないが、どうせ高いんだろう。
うーん...ここ調べてもしょうがないですよね。
留置所。話す。家族について話してみます。
あの、家族は?お姉ちゃんだけでした。
父は小さい頃に亡くなって、母はどこにいるのか分かりません。
分からない。死んだわけじゃないのか。
じゃあお姉ちゃんとずっと2人で暮らしてきたんですね。
で、お姉ちゃんが弁護士になって、さっき山を降りたって言ってたけど、街の方に引っ越してきたから、一人暮らしになったんですね。
お母さんのことがちょっと気になります。
私たち綾里家の女は、代々霊媒師として生きてきたんです。
綾里の血は強い霊力を宿しているから。
綾里家の血は強い霊力を持っている。
今から15年ぐらい前、私たちはある事件に巻き込まれました。
そしてある一人の男によって、母は、母は破滅したんです。
破滅?
そして母は姿を消してしまいました。
それから数年後、お姉ちゃんは弁護士になると言って山を降りたんです。
お母さんの失踪、お母さんがいなくなったことについて調べるために弁護士になったのかな。
そしてある男っていうのが気になりますね。
千尋さんを殺した金持ちそうな男性と、ある男、お母さんを破滅に追い込んだある男っていうのは、もしかしたら同一人物かもしれない。
まだわかりませんけど。
じゃあ今は一人で?
そうですね、もう慣れちゃいましたけど。
それに私が一人前にならなきゃ、綾里の霊力が消えちゃうし。
そっか、もうこの子しか残ってないから、自分が後を継がないといけない。
この子ずっと一人ぼっちなのか。
母を破滅させた男、誰なんでしょう。
その、君のお母さんを破滅させた男って?
今から15年ぐらい前、不思議な殺人事件がありました。
世間はその話題で大変な騒ぎだったそうです。
警察はどんな手を使ってでも、どうにかして犯人を逮捕したかった。
まさかそれで霊媒を?うん、犯人逮捕のために霊媒師である綾里家を訪ねてきたってことですかね、警察が。
警察に説得されて、母は被害者の霊媒をしました。
へぇー、すごいな。
じゃあ事件は?解決しました、一度は。
一度は?母の言葉で逮捕された男は無実だったんです。
このことはすべて極秘で進められていました。
でも、それをスクープした男がいたんです。
それを報道した男がいた。
その男は大々的にマスコミを動かして、母をインチキだって。
インチキ、まぁ霊媒師だなんて、嘘だ、本当は霊と交信なんてできないんだって。インチキだ。
母は日本中の笑い者に。なるほどね。コナカ。え、コナカ?
その男の名前、お姉ちゃんから。コナカ...。はい、えー、戻る。
またちょっと星影法律事務所にもう1回行ってみましょう。
あ、いないね。んー。
綾里法律事務所に行ってみる?
お、明るくなってる。事務所は警官たちでいっぱいだ。みんな忙しそうに動き回っているぞ。
こら、ここは立ち入り禁止っす。入っちゃダメ。
ん?確かあんたは、やっぱりくんだったっす?
なるほどです。あいつと間違えないでくれ。
あ、そうそう、なんかそんな名前だったっす。
やっぱりは確か殺人犯の名前だったっす。
間違って記憶してますね。
やっぱりくんは無実だったんですよ。あいつ確か無罪になったはずだけど。
えーと、そういうあなたは確かいとのこ刑事でしたね。いとのこ刑事でしたよね。
そうっす、いとのこっす...ってあんた、人の名前勝手に縮めちゃダメっす。
自分は糸鋸圭介っす。なんぴとたりとも自分をいとのこなんて。誰も自分のことをいとのこって呼ぶなんて許されない。
おい、いとのこ、こっち早く頼むよ。
いとのこって呼ばれてますね。
はっはっ、すぐ行くっす。先輩刑事かな。
ああ、おほん、確かあんた弁護士だったっすな。用なら早くしてほしいっす。
しめた。よし。僕をまよいちゃんの弁護士だと思っているぞ。
話す。千尋さんのことについて話します。
解剖はしたんですか?
なんす?もう喋り方がね、変ですよね。
なんす?
知りたいっすか?
結果?
そんな目で見つめちゃダメっす。
そうっすね、あんたは彼女の元で働いていたこともあるし、報告書を見せてあげるっす。
そんな簡単に見せちゃっていいんですか?
お、ラッキーですね。千尋さんの解剖記録をもらいました。
死亡推定時刻は9月5日の午後9時、鈍器で1回殴られて即死。
じゃあまよいちゃんのことを聞きましょう。
あの、まよいさんのことなんですけど。
ああ、裁判が楽しみっすね。あんたには気の毒っす。絶対に勝てないっす。
この刑事はまよいちゃんが犯人だと思ってます。
ど、どうしてですか?
検事局はこの事件の担当に、あの、これなんて読むの?
読み方がわからない。みつるぎだそうです。
御剣検事を任命したっす。
なんか有名な人なのかな?|御剣?
これがどういうことか、弁護士ならわかるっすね。
御剣検事のこと聞いてみましょう。
御剣検事?
そうっす、御剣怜侍、その人っす。
まさか知らないなんてことないっすよね。
知らないよ。聞いたことないですけど。
呆れた弁護士っすね。
20歳で、20歳で検事になってから4年。そんな若くで検事になれるんですか?
検事局始まって以来の天才と言われている彼を知らないとは。
知らないわけないだろ。ちょっととぼけてみただけさ。
知らないふりしてみただけって言ってます。
有罪判決を獲得するためには何でもする冷酷な男。ああ、御剣検事のことですね。
すごく冷たい人なんだそうです。
なるほど。手強い相手っていうことですね。
裏取引や証拠のでっち上げ、偽証させるって噂もある。いいんですか?
だから、もうどうにかして、何としてでも被告人を有罪にしたい、有罪判決を勝ち取りたい。
そのためには裏で取引をしたり、証拠をでっち上げたり、嘘の証拠を捏造したり、偽証させる、証人に嘘をつかせるっていう噂もある。
ほとんど異常ともいえる犯罪に対する憎しみ。まさかこんなに早く会うことになるとは。
はい、戻りましょう。移動する。
裁判はいつ始まるんですか?
もうね、聞くこともなくなっちゃった。もうちょっとこの事務所を調べた方がいいのかな。
千尋さんお気に入りの観葉植物。名前はとても常人には、普通の人には覚えられそうもないような。コルディリネストリクターっす。
誰だ今の声?
法律関係の難しい本が嫌というほど並んでいる。
恐ろしいことに、千尋さん、この本を全部読んでいるそうだ。
古い映画のポスターだ。千尋さんが初めて泣いた映画なのだそうだ。
今度僕も見てみるか。
なんかあんまり事件に関係なさそうなことばっかりですね。
千尋さんのデスクだ。いつも通り綺麗に片付いている。
足りないのは千尋さんの姿だけ。僕の気持ちと裏腹に外はいい天気だ。
僕の気持ちとは逆で、ね、僕はどんよりした気分だけど、外はいい天気。
目の前に例のホテルが見える。あの通報した女性がいたホテルですね。
うーん、何もないですね。
話す?話すこともない。
移動する。ここももう調べるものはないね。
戻る。移動する。調べる?
お、監視カメラ。ご丁寧にカメラで見張っているようだ。
それだけか。
お、この警察ですね。監視をしている人。面会の様子を監視する、看守だ。
さっきから全く動かない。さすがプロだな。
それだけ?うーん、どうしたらいいの?
あ、刑事さんにこれを見せたらいいのかな?
ねえ。えっと、移動して綾里法律事務所に行って、刑事さんにこれを突きつける。
あの、綾里真宵の携帯電話のことなんですけど。
あー、自分が預かってるっす。
できれば返してもらいたいんですけど。
怪しいっす。
うわー、どうしよう。正直に話す。ダメだ。ダメなの?正直に話したら絶対返してくれないぞ。
どうしたっす?
あ、いや、その...わかるでしょ、刑事さん?
いや、わからねっす。
その電話には、あの子のボーイフレンドの番号とか、甘酸っぱい乙女の、女の子の秘密がいっぱい詰まってるんですよ。
はっ、我々警察を舐めてもらっちゃ困るっす。バカにするなよ。
悪いっすが、メモリーされた番号は全てチェックしたっす。
さ、さすが警察。素早いですね。
まあいいっす。返すっす。
おお、返してくれるの?いいの?
生憎、うん、残念だけど、怪しい電話番号はなかったっすから。
録音された会話には気づかなかったみたいだな。
そこは調べてないんですね。
はい、まよいの携帯電話を返してもらいました。
だいたい聞くべきことは押さえたかな。
もういいっす?
あ、ありがとうございました。
そろそろ帰ります。
あ、そうそう、あんたに1つ言っておくっす。
大方これからあの目撃証人に会おうとか、そんな不埒なことを考えてるかもしれないっすが。
うん、まあ悪いこと企んでるかもしれないけど、会っても無駄っすよ。
この人ですね、目撃者。
そういえば彼女のこと忘れてたな。
目撃証人ですか。
松竹梅世のことっす。
あいにくっすが、自分は彼女の情報は絶対漏らさないっす。
名前は松竹梅世か。
もう彼女、家に帰らせてあげたんですよね。
我々を舐めちゃだめっす。
彼女には、裁判が終わるまで勝手な外出は禁止してるっす。
ってことはまだ彼女はこの向かいのホテルにいると。
はあ、さすが警察ですね。
わかればいいっす。
よし、ホテルにも行ってみよう。
はい、ホテルに行ってみましょう。
ホテルの部屋です。
あら、いらっしゃい。
何ですか、このポーズは。
は、はぁ。なんか調子狂うな。調子がおかしくなっちゃう。
あなた、弁護士さんよねぇ。刑事さんからお電話あったわ。
何にも喋っちゃダメっすって。
あの刑事、余計なことしてくれるよ。
なんか映画みたいね。
梅世、ちょっぴり興奮気味みたいな。
あん、ちょっと待っててね、お化粧してくるから。
今すっぴんなんですね。
確かに昨日の夜とちょっと顔が違う。
あんって言われても...。はい、調べてみましょう。
窓からは夏の終わりの日差しが降り注いでいる。
すぐ目の前にはもちろん綾里法律事務所が見える。
確かに部屋の中まで丸見えだけど、誰がいるかまで見分けるのは難しいと思う。
思った通り造花だ。
作り物の花ですね。本物の花じゃない。
ひまわりとチューリップ以外、僕は花の名前は知らない。
この引き出し、ドライバーが挟まっているけど、何が入ってるんだ?
見てみよう。
ちょ、ちょっと。何してんのよ、あんた。触るんじゃないわよ。
さっきと口調が変わりました。
あ、あ〜ら、いやん。
ひ、人の部屋を勝手にいじるなんて、梅世、信じらんない。
ぶりっこしてますね。
い、今一瞬だけ顔つきが変わったぞ。
あの引き出し、何が入ってるんだろう。
怪しいですね。何かを隠してるみたいですよ。うん。
話してみましょう。
目撃したこと。事件があった時、あなたが何を見たのか聞かせてくれませんか?
えー、いやーん、そんな堅苦しい聞き方。もっと仲良くやりましょうよ。
うむむ。
あー、事件があった時のことなんだけどさあ、君、なんか見ちゃったんだろう?
さっき堅苦しいって言われたので、すごくカジュアルになりました。
僕にさ、教えてくれないか?
逆にちょっと慣れ慣れしいですよね。
いや、聞きたかったら明日の法廷に来れば?とほほ。
教えてくれないんですね。
梅世自身のことについて聞いてみましょう。
あの、そもそもあなたはどういう方なんですか?
うわぁ、なぁに?くどいてるの、あたしを?
ち、ち、違いますよ。仕事で聞いてるんです。
きゃあ、かわいい。照れちゃって、もう。
いまだかつて、ここまで赤面したことがあっただろうか。
すごく今顔が赤くなってるんですね。
え、えへん。
ええ、し、仕事は何をされてるんですか?
教えない。ばっかみたい。言うわけないでしょ。
この部屋のこと。あのテーブルにグラスが2つあるけど、誰か一緒に泊まってるんですか?
うわぁ、鋭い推理。あなたって名探偵?みたいな。
いや、そんな大したことじゃ。
探偵は裏でゴミでも漁ってれば?
梅世、詮索されるの好きくない、みたいな。
好きくない、嫌ってことですね。
詮索っていうのは、いろいろこう探られるのが嫌だ。
何も答えてくれません、この人。何も情報を引き出せませんでしたね。
なんか突きつけるものもないし、移動する?
まだお出かけ中ですね。
あ。オッホン。
お、この偉そうな人特有の咳払いは...。星影さん。
あー、ちみかね、君かね、わしを待っておるというのは。
あ、は、はい。思った以上に偉そうな先生だ。
その襟のバッチ。なんじゃい、弁護士かね、ちみも?ええ、まあ。で何かね、ちみ?
最近は暇だから話を聞いてやろうじゃないか。
暇だって?じゃあなぜ連絡が取れなかったんだ?
ん?どうした?
この星影宇宙ノ介助が話を聞いてやろうと言っとるんじゃよ、ちみ。
あの、実は綾里真宵さんの件で来たんですけど。
あ、綾里真宵、ねぇ。なんだ、様子がおかしいぞ?
あー、わしは...そう、忙しいんじゃよ、ちみ。
さっきは忙しくないって言ったのに。
いきなり明日と言われても無理じゃな、無理。
明日の裁判で弁護してくださいって頼んだけど、無理だって言ってます。
ちょっと待ってください。なぜ明日って知ってるんですか?ああ、言ってないのに明日って言ったんですね。
むぐぐ。
と、とにかくダメじゃ、その件だけは絶対引き受けられん。
なんでだろう。なんか引き受けられない理由があるのかな。
ど、どうなってるんだ?話が違うぞ。
まよいちゃんになんて言えばいいんだよ。
話を聞きましょうか。依頼を断る理由を聞きます。
どうして断るんですか?理由を聞かせてください。
いや、その...だから忙しいからじゃ。
依頼人は綾里千尋さんの妹さんですよ。
う、うむむ、千尋さんはあなたを信頼して、彼女をお願いしたんです。
そんなことはわかっておる。
じゃが、すまないが、引き受けるわけにはいかん。
ひどい人だなぁ。わかりました。時間がない。他を当たることにします。他の弁護士を探します。
じゃ...。何か言いましたか?
無駄じゃと言った。
ど、どういうことですか?
他の弁護士に頼んでも無駄って言ってます。
気の毒じゃが、その依頼、まともな弁護士ならば決して引き受けることはない。
誠、申し訳ないが、誠に本当に申し訳ないけど、うん、誰も引き受けない。
なぜです?
それは言えん。悪いが帰ってくれんか?もう話すことはない。
どういうことなんだ?うん、なぜかはわからないけど、弁護士たちはこの事件の弁護を引き受けたがらない、何か理由があるみたいです。
千尋さんのこと。千尋さんとはどういう?
どういう関係だったんですか?
彼女はここにおったんじゃよ、昔な。
この法律事務所で働いてたんですね。
すごい子じゃった。あっという間にわしのテクニックを身につけてなぁ、ある日突然ここを出て行きおった。
あの子にはやるべきことがあったんじゃ。
やるべきこと?
お母さんのことかな。
あの子の目はいつもそれをまっすぐに見据えておったよ。決して揺らぐことはなかった。
あの、すごい絵ですね。
おお、よく聞いてくれたな。わしのご自慢の絵じゃ。
すんばらしいじゃろう?じゃろう?この空の色この海の色、この麦わら帽子の色。
3億か4億の値がついとるが、わしゃ手放すつもりはないぞ。
うん、お気に入りだから、絶対売ったりしない、手放さない。
ああ、絶対売らん、ちみにもな。
買うつもりもないよ。
売らんぞ。
買いません。
はい、うーん。
じゃあこの人が引き受けてくれなかったことを、まよいちゃんに伝えなくちゃいけませんね。
はい、面会室に戻ってきました。
や、やあ。あ、ど、どうでした?
すごい期待してますね。期待した表情をしてます。
会えました?弁護士の先生に。
うん、まあね。
どうしよう。言いづらいですね。
あ、あのさ...。
とても正直に話せない。
や、やめたほうがいいと思うな、あの先生だけは。
具合悪そうだったよ、ガリガリに痩せ細っていて。
何があったんですか?
もしかして断られたんですか?
う...。そうなんだ。見捨てられちゃったんですね、私。
助けてもらえませんでした。
あ、そろそろ国選弁護士の先生が来る時間。4時、タイムリミットか。
どうする?
この子を見捨ててこのまま帰るのか?
まよいの弁護をする。決めた。
君が何と言おうと、僕が弁護をする。
どうして?
どうしてって、それは犯人は他にいる、僕は迷いちゃんを信じてるよ。
犯人は君じゃない。他にいる。
え、どうしてわかるんですか?
う、そんな気がする。
確かに、このまよいちゃんを犯人と考えるのは簡単だ。
でも、なんとなく気になることがあるのも確かだ。
僕をバカにしたようなあの妙な目撃証人、依頼を断った弁護士のあの不自然な態度、
そして何よりこの子には味方が一人もいない。
味方が一人もいない悲しさ、そして孤独な感じ、実は僕にも覚えがあった。
遠い昔の話だ。
そもそも僕はなぜ弁護士になったのか。
そういう孤独な人、一人ぼっちの人の味方になれる唯一の存在が弁護士だからだ。
まよいちゃん、僕は君の味方だ。
絶対見捨てたりしない。
弁護士さん。
う、ううう。
さて、そういうことだからよろしくね。
は、はい、こちらこそお願いします。
なんか見違えるように元気になったぞ。
さっきと全然表情が違いますね。
最後に確認するけど、無実と信じていいんだね。
はい、私、弁護士さんを信じます。
だから弁護士さんも私を信じて。
うん、わかった。
さて、こうなると確認しなきゃならないことがあるな。
あの怪しい女の引き出しの中。
あの女の態度が変わったのは引き出しを調べた時だけだ。
何かあるに違いない。
はい、じゃあ移動して、もう1回ホテルに行きますか。
お、ボーイさん。
いらっしゃいませ。
あ、あなたは?
あ、申し遅れました。私このホテルのボーイでございます。
は、はあ。
ルームサービスをお届けに上がった次第でございます。
あの、梅世さんは?
は、お客様は今バスルームでございます。
では失礼いたします。
どうぞごゆっくりお楽しみを。
こんな勝手に部屋に入れるんですか?
え、い、いや違う。
あ、カップルだと思われたってことですね、あの女性と。
ここに来るたび、ひどい目にあってばかりだ。
しかし、部屋を調べる絶好のチャンスだな。
あ、そうそう、そうでした。
わっ、な、なに?
お客様にお電話があったことを伝えていただけますか?
株式会社コナカルチャーのコナカ様からでございます。
コナカルチャーのコナカ?なんか引っかかる名前だな。コナカ、さっき言ってましたね。
あのお母さんを破滅に追い込んだ男の名前でしたっけ。
うん、そうですね、お母さんを破滅させた男の名前か。
こ、な、か。
偶然なのか?
はい、この引き出しが怪しいですね。
こ、これは盗聴器だよな、間違いなく。
あの女、なんでこんなものを?
盗聴器を仕掛けておくと、そこでの会話を別の場所で聞くことができます。
盗聴器。やっぱり怪しいぞ。
こんなものを持ってホテルに泊まっているなんて、絶対何か裏があるに違いない。
明日の法廷は、こいつも武器にして戦ってやるぞ。
でも、このホテルの部屋から勝手に盗んだものを証拠品として提出して大丈夫なのかな。
絶対にこの女の正体を暴いてやる。
ボーイさん、まだいるの?
梅世の声ですね。
おっと、そろそろ退散するか。
明日また遊ぼうぜ、梅世さん。法廷でな。
続く。
はい、ちょっとだいぶ長くなってしまったので、あの、ちょっとまだ裁判は始まってませんが、今日は一旦ここまでにしたいと思います。
データを保存して終わりたいと思います。
で、また次回のエピソードで、裁判の部分をプレイしていきたいと思います。
じゃあ今日はここまでです。
またね!
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