
こんにちは。今日は日本語の慣用句と、その由来になったお話を紹介したいと思います。
今日紹介する慣用句は「濡れ衣を着せる」もしくは「濡れ衣を着せられる」と言う言葉です。この言葉聞いたことありますか?
どんな意味だと思いますか?濡れ衣っていうのは濡れた衣です。衣というのは服のことです。
つまり水で濡れた服ですね。濡れた服を着せる、もしくは、濡れた着せられるってどういう意味でしょう?
正解を言う前にこの言葉の由来となったお話をします。
今から1300年ほど前、西暦700年代、奈良時代の話です。今は令和ですね。佐野近世という名前の役人がいました。
役人というのは国の仕事をしてる人です。当時日本の都はまだ江戸、今の東京ではなくて、京都でした。
京都に都がありました。彼は京都に住んでいたんですけど、仕事で福岡に赴任してきました。
そうです、これは福岡で起きた話です。佐野近世は奥さんと一人娘の春姫と一緒に赴任してきました。
娘の春姫はとっても美しい女の子だったそうです。
奥さんは元々病弱でした。
体が弱くて病気がちでした。
福岡に赴任してきた後、奥さんは病気で亡くなってしまいました。
佐野近世はその後、別の女性と再婚します。別の女性と再婚して2人の間には女の子が生まれます。
この再婚した新しい奥さんは、次第に春姫の美しさに嫉妬するようになります。
嫉妬して「春姫なんていなくなればいいのに」と思うようになります。
ある日奥さんは1人の漁師と知り合いました。漁師というのは魚を釣る仕事をする人ですね。
奥さんはこの漁師にお金を渡してあるお願いをします。漁師が釣りをする時に着る服のことは釣り衣と呼ばれてました。
奥さんは漁師にお金を渡して「ちょっと、うちの旦那に春姫が釣り衣を盗んだって言ってくれない?」って頼んだんですね。
漁師に嘘をつかせたんです。嘘をついて旦那さんに「春姫が釣り衣を盗んで困ってる」と言わせました。
佐野近世は娘が漁師の釣り衣を盗んでいるという話を聞きました。
彼は春姫の実のお父さんですから娘を信じたいですよね。
娘はやってないって信じたいです。だから最初は「まさか」と思いました。
「まさかうちの娘がそんなことするわけない。人のものを盗むわけない」ってきっと思いました。
でもこの悪い奥さんはある晩、春姫が寝ている間に旦那さんを春姫の部屋に呼んで「ちょっと、見てよこれ!」と言いました。
お父さんが部屋を覗くとそこには濡れた釣り用の服がかけられていたんです。
それを見たお父さんは怒りました。怒って、なんと刀で春姫のことを斬ってしまったんです。
「人様のものを盗むなんて!」って怒って、自分の子供ですよ、我が子を斬り殺してしまいました。
春姫が亡くなって1年ほど経った頃から、このお父さんは娘の夢を見るようになります。
娘が夜に夢に出てくるようになりました。
夢の中で娘は「お父さん、私はやってません。そんなことしてません。」と無実を訴えました。
それでお父さん、佐野近世は「娘は無実だったんだ…なのに悪いお母さんに罪を着せられたんだ」ってことを知りました。
その後お父さんは、娘に申し訳ないことをした、悪いことをしたってすごい罪悪感を感じます。
そしてその罪悪感から出家することにしました。出家っていうのは仏教の修行をしてお坊さんになることです。
佐野近世は出家してお坊さんになって、娘が天国で安らかに眠れますようにと娘の冥福を祈りました。
この話が由来となって、本当はやっていない、本当は悪くない「無実の罪」のことを「濡れ衣」と呼ぶようになりました。
本当はやってないのに無実の罪を誰かに負わせることを「濡れ衣を着せる」、
そして逆に無実の罪を負わされることを「濡れ衣を着せられる」と言うようになりました。
だから、お母さんは春姫に濡れ衣を着せました。美しい春姫に嫉妬して春姫を陥れようとして、濡れ衣を着せました。
春姫はお母さんに濡れ衣を着せられてしまいました。
今日は「濡れ衣を着せる」という慣用句とその由来となったお話を紹介しました。今日はこれでおしまい。またね。