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こんにちは。
今日から逆転裁判第3話『逆転のトノサマン』をやっていきたいと思います。
逆転のトノサマン。おそらくこれがね、トノサマンだと思います。
殿様の格好をしたヒーローかな?
なんかのキャラクターでしょうね、おそらく。
はい、じゃあ始めていきましょう。
オープニングを開始します。
えいっ。こしゃくなり。トノサマン。天空の月が貴様の血を...ちょっと読めませんでした。
今宵の月、よく目に焼き付けておくがいい。
お主の見る最後の満月となろう。
戦いのシーンですね。
はい、トノサマンです。
覚悟せい。
ぬおぉ...。満月だけが知っている、今宵の勝負の行方。
速いですね。
次週、『闇の使者復活』お楽しみに。
なんかあのテレビ番組でしょうか。
10月14日午後5時31分。
成歩堂法律事務所。
はい、成歩堂、自分の法律事務所を開きましたね。
真宵ちゃんです。ああ面白かった。
あ、真宵ちゃんがさっきの番組を見てたんですね。
覚悟せい、アクダイカーン!
覚悟せいっていうのは、覚悟しろ。
アクダイカーンが敵ですかね。
戦う相手のキャラクターですね。
悪代官っていうのが、時代劇、江戸時代とかこう昔が舞台のドラマとかに出てくる悪役、悪い人のことなんですよ。
だからそれをもじって、その悪代官っていう言葉から、アクダイカーンっていうキャラクターの名前をつけたんだと思います。
わっ、ほうきを振り回すな。
あ、いたんだ。ナルホドくん。
「いたんだ」じゃない。なんなんだあのシュールなビジュアルは。
確かにね、ちょっとシュールな見た目でしたね。
あまりかっこよくない。
うん。えー、ナルホドくん知らないの?
ヤングに絶大な人気のヒーロー、トノサマンだよ。
若い人に人気なんだそうです。
ヤング?何歳ぐらいのヤングだよ。
10歳ぐらい?
めっちゃヤングですね、小学生。
ヤングすぎだよ。一緒になってはしゃぐな。
でも、でも、私だってまだ17歳だよ。
真宵ちゃん、若いですね。
まだ高校生ぐらいの年齢なんですね。
ティーンだよ。
ナルホドくんとは違うんだよ、根本的に。
人をジジイみたいに言うな。
僕だってまだ24歳だ。
成歩堂、まだ24歳なんだ。
すごいですね。24歳で弁護士。で、しかも自分の事務所を設立するなんて、すごいですよね。
じゃあじゃあ、ナルホドくんも一緒に見ようよ。
ほんとかっこいいんだから。とにかくすごい人気なんだよ。
今、小学生のなりたい職業の第1位は殿様だしね。
ま、殿様っていうのは、昔の、江戸時代とかの偉い人のことですよね。はい。
バカな。
ま、それはそれ。
さて、トノサマーンも見たし、そろそろ閉めようか、事務所。
まだ営業時間中だったんですね。
いいのかな。客全然来ないぞ。
あれから1ヶ月の時間が流れた。
千尋さんの事件はかなり世間の話題になったが、成歩堂法律事務所はなぜか話題にならなかった。
あ、全然お客さんが来なくて困ってるんですね。
どうしよう。今月の家賃。
アパートの家賃も払えない。
アパートじゃない、この事務所の家賃のことを言ってたのかな。
ね、この事務所の、ここの場所代も要りますよね。
大丈夫だよ。そろそろ何かでかい依頼が来るって。
真宵ちゃん、なんか自信満々な顔をしてますけど、本当に大丈夫ですかね。
10月16日午前8時14分、成歩堂龍一の寝室。
プルルルル。電話がかかってきました。
誰からだろう。
はい、成歩堂です。
た、た、た、大変だよ。
真宵ちゃんからでした。なんだよ、朝っぱらから。朝早くからなんだよ。
と、と、と、トノサマンが...真宵が逮捕されちゃったんだよ。
え?
は、は?トノサマンが?
そうなの。トノサマン、怪人をやっつけちゃったんだって。
それがどうしたんだよ。怪人を倒すのが彼の仕事だろ。
それはテレビの話でしょ。
そりゃテレビの話だよ。
違うの。本当にやっちゃったんだよ。
テレビの中で悪者をやっつけたんじゃなくて、本当に実際に人を殺したのかな?
で、逮捕されたってことですね。
トノサマンスピアーで怪人を串刺しにしちゃったんだよ。
こう、焼き鳥の串にお肉が刺さってるみたいに、人を刺して串刺しにしちゃった。
さっぱりわからん。
とにかくすぐに事務所に来て。お願い。
では次のニュースです。
ニュース番組を見てるんですね。
子供向け人気番組『大江戸戦士トノサマン』のトノサマン役、荷星三郎が、殺人容疑で逮捕されていたことが、先ほど明らかになりました。
殺人、やっぱり人を殺した容疑で逮捕されたんですね。
被害者は怪人アクダイカーン役、衣袋武志氏。
あ、その敵役の俳優さんを殺したってことか。
アクダイカーンの着ぐるみの中から死体で発見されました。
これは子供たちショックですね。
死体にはトノサマンスピアーが突き刺さっており、警察ではこれを凶器と考えて捜査を進めているようです。
あぁ真宵ちゃんもショックを受けてますね。
なんか冗談みたいな事件だね。
うー、悪夢だ。この世の終わりだ。
電話がかかってきました。
はい、成歩堂法律事務所です。
え?ナルホドくん、トノサマンから電話が。
警察に捕まってるんじゃないのな。
な、なに?
はい、はい、すぐ伺います。
すぐ行きます。
ピッ。行こうナルホドくん。ど、どこへ?
トノサマン留置所に捕まってるんだって。
この事件、私たちの初仕事に決めたからね。
トノサマンから仕事の依頼を受けたってことですかね。
「弁護してください」って弁護の依頼を受けたってことかな。
はい。え?話す。ちょっとね、話しましょう、真宵ちゃんと、まず。どうしようか、これから。
とにかく留置所に行って殿様に会おうよ。
うう...じっとしてられないよ。早く行こう。
真宵ちゃんはトノサマンを助けたいですね。だからじっとしてられないって言ってます。
事件を調べたいのか、スタジオ見物したいのか。
おそらく後者だな。
ま、事件を解決したいわけじゃなくって、ただスタジオに行ってみたい、トノサマーンが好きだから、スタジオに行ってみたいだけなんじゃないかって疑っています。
気づいたこと。
うーん、まだ何かを推理するにはデータが足りないな。
確かに、情報がまだ何もありませんよね。
素直に何も思いつきませんって言えよ。
データが足りないの。はい。
えっと、ま、ここを調べてもしょうがないですよね。
真宵ちゃんが植物に水をあげすぎてるそうです。
多分ここを調べてもしょうがないので、じゃあ移動する。
留置所にとりあえず行ってみましょう。
留置所面会室です。
すごいなんか美女と野獣の野獣みたいな人がいました。
真宵ちゃんもびっくりしてます。
ほら、真宵ちゃん、憧れのスターさんだぞ。
ねえ、本当にあれがそうなの?
あれって言うなよ。
そうですね、人にあれとか言ったら失礼ですね。
荷星三郎、今回の依頼人、その人だよ。
こう言っちゃなんだけど、ナルホドくん、こりゃやってるよ、殺人の1つや2つ。
あの、見た目で判断してますね、真宵ちゃん。
殺人、多分やってるよこの人、って。
お、おいおい、何言ってるんだよ。
そうですね、弁護人は見た目で判断せずに、依頼人のことをちゃんと信じないといけませんよね。
あの...。は、はい。
何か?
い、いえ。
やれやれ。
分かっています。
幻滅していらっしゃるんでしょ?僕に。
あの、いつもはトノサマンの着ぐるみを着ているから、この実際の素顔を真宵ちゃんは知らなかったんですね。
で、素顔を見て幻滅してるんでしょ?ショック受けてるんでしょ?がっかりしてるんでしょ?って言ってます。
めっそうもない。そんなことないです。
僕、ご覧の通りの面構えですから。
ちょっとね、怖そうな見た目をしてますよね。
強面ですよね。
トノサマンの役をいただいた時、決めたんです。
この役が終わるまで、絶対に素顔を出すまいって。
子供たちの夢を壊しちゃいけないと思って。え?
でもこの人、あの見た目は怖いですけど、なんだろう、実は気弱そうですよね。優しそうですよね。怖くなさそうです。
それなのに、こんなことになってしまって。子供たちはトノサマンのことなんて思うんだろう。
う、ううう。ナルホドくん。なんだよ。
いい人だよ。
真宵ちゃん単純ですね。
そうだね。これはやってないよ。
さっきは絶対やってるよって言ってたのに。
はい、とりあえずこの人と話をしてみましょう。
事件について聞いてみます。
とりあえず、何があったか聞かせてもらえますか?
はぁ、きょ、恐縮です。
えー、あれは昨日のことでした。
打ち合わせのため、僕たち、英都撮影所に集まりました。
打ち合わせっていうのはミーティングですね。
えっと、英都撮影所っていうところで、昨日は殿様の撮影があったみたいです。
朝の10時からトノサマンのアクションを打ち合わせして、夕方の5時からそのリハーサルがあったんです。
そこで、夕方の5時にスタッフがスタジオに集まると、怪人アクダイカーンがセット付近で倒れていたそうです。
着ぐるみのマスクを取ってみると、アクダイカーンの中には衣袋さんの死体が。
うーん、着ぐるみを着たまま刺されたんですね。
胸をトノサマンスピアーで見事に刺されていました。
トノサマンスピアーって、この槍かな。
スピアーって槍ですね。
トノサマンスピアー?
はぁ、トノサマンの武器で、長い槍です。
トノサマンについて聞いてみます。
そもそも、トノサマンって何ですか?
うわっ、なんて失礼なこと。
すみません、荷星さん、常識をわきまえない青二才でして。
青二才っていうのは、若くてまだ経験が少なくて、未熟みたいな意味です。
青二才だから常識がなくて、ごめんなさい。
誰が青二才だよ。
いえ、いいんです、いいんです。
トノサマンはお子様向けヒーロー番組の主人公です。
ネオエドシティを舞台に、宿敵、怪人アクダイカーンと死闘を繰り広げるんです。
宿敵っていうのは、ライバルみたいな感じですね。
ライバルのアクダイカーンと戦う、そんな番組です。
まあ毎回決着はつかないんですけど。勝ち負けは決まらない。
それが、こんな形で決着がついてしまうなんて。
何ですかね、この表情は。
う、ううう。
わ、わ、わかりました。
ネオエドシティ、一体どんな街なんだ?
荷星のアリバイを知りたいですね。
アリバイがないと、犯人ってことになっちゃうから、ね、弁護人としてはアリバイを知っておきたいですよね。
あの、事件があった日、あなたは?
あの日は、朝の9時にスタジオに入りました。
打ち合わせをしに行きましたね。
お昼までアクションの内容を決めていまして、午後は5時からリハーサルでしたので、昼食後は楽屋で昼寝していました。
なるほど、リハーサルまでちょっと時間が空いていたので、楽屋で昼寝していた。
楽屋っていうのは、そういう撮影スタジオとか、テレビ局とかにあるお部屋です。
あの、俳優さんとか、そのテレビに出る芸能人の人とかが使う部屋、控室みたいな感じですね。
目が覚めたら、集合時間の5時を過ぎていたんです。
なるほど。
慌ててスタジオに行ったら、皆さん怖い顔をしていて。
そのまま逮捕されて、こうして留置所へ。
はあ。えっと、一人で楽屋で寝ていたってことは、そのアリバイを証明することができませんよね。
うん、寝ていたのに、なぜか自分が犯人扱いされて、逮捕されてしまった。
事件があった午後はずっと寝ていたわけか。
なんか間抜けなヒーローだな。
きょ、恐縮です。
あの、現場にも行ってみたいんですけど。
あ、英都撮影所地図書きます。
わー、ナルホドくん、早く行ってみようよ。
完全に見物に行く気だぞ。
うん、やっぱり真宵ちゃんは、事件の解決よりも、トノサマンの撮影所を見てみたいっていう感じですね。
はい、もう聞くことがなくなりました。うん。
撮影所行けるのかな。
行けますね。
撮影所の正門前に行きます。
英都撮影所正門前。
うわー、ここでトノサマンが作られてるんだ。すごいな。感激だよね。
こら、あんたたち。なんかおばちゃんが出てきました。
警備員の服を着てますね。
勝手に入っちゃダメでしょ。
い、いえ、あの、私たち、その、べ、弁護士でして。
あ、そう。おばちゃんは警備員なの。
あんたらみたいな野次馬を入れさせないのが仕事なのよ。
野次馬っていうのは、なんか事件とかがあったときに、なになになになにって人が集まってくるじゃないですか。
ああいうのを野次馬って言います。
野次馬?
あんたたちもあれでしょ。昨日の事件を聞いて面白半分やってきたんだろ。まったく最近の若いもんと来たら...。
早い早い。若い娘が...読めませんでした。うわーって喋られました。
ナルホドくん、私もいつかこんな風になるのかな。
いつか年をとったらこんなおばちゃんになっちゃうのかなって心配してます。
やっぱりそうなんじゃないかな。
ちょっと、あんたたち、人の話を聞きなさいよ。
すごい怖そうなおばちゃんですね。
はい、おばちゃんの話をじゃあ聞きましょうか。
撮影所について。この撮影所はどんなところなんですか?
この英都撮影所は、子供たちの夢を作るところさ。
おばちゃんも昔はね。ま、まさかスターだったんですか?
大道具仲間の間じゃちょっとしたスターだったよ。
大道具っていうのは、ドラマとか映画の撮影の現場とか、あとは舞台とかで、大きいセットを作ったりする人。大道具さんって言います。
この人は昔大道具さんだったんですね。
で、大道具の仕事をしてる仲間の中でスターだったって言ってます。
ここもねぇ、今はすっかりさびれちゃったけどさ、古くなっちゃったけど、10年くらい前まではまさに夢のスタジオだったよ。
その頃は衣袋ちゃんも大スターでね。
衣袋ちゃん?
衣袋ちゃん?
被害者だよ、被害者。怪人アクダイカーンのこと。
今じゃ怪人なんて、しけた役やってるけどね。
しけた。まあ、悪い意味の言葉ですね。
なんか、華やかじゃない、しょぼいみたいな。
しけた役をやってるけど...。あ、そこまでか。
えっと、昔は大スターだったって話ですね。
じゃあ、荷星について聞いてみましょう。
荷星三郎さん、どんな人なんですか?
悪い子じゃないんだけど、ぶら下げてる面があれじゃねぇ。とてもお茶の間に出せる代物じゃないよ。
お茶の間っていうのはリビングのことですね、家族が過ごすリビングのこと。
お茶の間に出せる代物じゃない。どういうことかと言うと、家族みんなで楽しんで見るようなテレビに出れるような顔じゃないっていうことを言ってますね。
うん、失礼ですね。
それだけに今回はチャンスだって燃えていたみたいだけど、まさか衣袋ちゃんをね。
でも、でも、まだ荷星さんだと決まったわけじゃ。
決まってるの。おばちゃんは何でも知ってんだから。
あ、なんか重要な情報を知ってるのかもしれない。
衣袋ちゃんについても聞いてみましょう。
衣袋ちゃんってどんな方なんですか?
どんな方だって?
泣かせるわね。
衣袋武志、永遠の大アクションスターだよ。
今でも忘れられないね、ダイナマイト侍シリーズ。
超人気俳優だったんですね。聞いたことないぞ。
でもさ、5年前にね、撮影中に事故が起こっちゃって、それでケチがついちゃった。
今じゃ子供相手の番組の悪の使者だよ。
昔は大スターだったのに、今じゃ子供番組の悪役にまでなり下がってしまったことですね。
ギャラも格安でね。切ない話よね。
うん、ギャラっていうのは、こういう俳優さんとか芸能人がもらう報酬、お金のこと。
普通の人の給料のことをあまりギャラって言いませんけど、こういう有名人とかがもらうお金はギャラってよく言います。
犯人だと思う理由。なんで荷星さんを犯人だと思うんですか?
おばちゃんね、昨日もここに立っていたのよ。午後1時から死体が見つかる5時までずっとよ。
殺人現場のスタジオ、この道を左に行けばいいんだけど、スタジオへ行こうと思ったら必ずここを通ることになるの。
うん、じゃあ目撃したってこと?
1時から殺人があった2時30分まで、ここを通ったのは1人。それが荷星さんだったというわけですか?
そう、おばちゃん見てたから。
うん、撮影現場のスタジオに行くのを見たって言ってます。
でも、荷星さんはずっと寝てたって言ってましたよね。矛盾してますよね。
でも、荷星さんは楽屋で寝てたって言ってましたよ。
そりゃそう言うでしょ。あの子もバカじゃないから。
でもね、ここを通ったのはあの子しかいないんだ。間違いなく犯人だよ。
じゃあそろそろ、あんたたちお家へ帰るんだね。ここにいたって何も出ないよ。
あの、僕たちは荷星さんの依頼で調査に来たんですよ。
ふん、あんたら見た目から怪しいもんね。
あの子の書いた依頼状を見せてみな。
それならおばちゃん、入場を許可してやらんでもないわよ。
依頼状を持ってきたら入れてあげるって言ってます。
でも、依頼状とか持ってないですよね。うん、まだ何もない。弁護士バッジしかありません。
このおばちゃん、なんでこんなに偉そうなの?ほんと、なんかすごい威圧的、上から目線ですよね。
話すことはもうない。
えー、ちょっと調べてみましょうか。
これが正門ですね。正面入り口。
昨日は野次馬が押しかけて大変だったらしい。
これは?この撮影所のライトバンだ。撮影用の資材などを運んでいるのだろう。
木は何もない。
これは?見取り図が書かれている。
右へ行くとスタッフ作業場、左へ行くとスタジオ方面に通じているらしい。
手がかりになるものはない。
撮影所内のセキュリティカメラの映像を管理するコンピュータだ。
こら!勝手に触んないでちょうだい!
怒られました。
これは?
警備員たちの詰所?
詰所って読むのかな?
はい、詰所ですね。
休憩室です。
おばちゃんがむさぼるのだろう。
テーブルの上はお菓子の山だ。
お菓子がいっぱい置いてあります。
セキュリティを管理するコンピュータが見える。
何も手がかりはありません。
じゃあどうしよう。移動する。もう1回《いっかい》留置所に行きましょう。
あ、どうでした?撮影所。やっぱり僕、犯人扱いですよね?
そんなことないですよ。ね、ナルホドくん。
いやいや、完全に犯人扱いでしたよ。
え、ええ。せいぜい容疑者止まりだと思いますよ。
まだ犯人ではなくて、犯人かもしれない、犯人だろうって疑いをかけられている、容疑者止まりだと思いますよ。
恐縮です。
話すことあるかな。あ、アリバイについてもう少し聞いてみましょう。
荷星さん、何か僕に隠していることありませんか?
え、え?い、いえ、そんな、めっそうもない。
さっきあなた、昼からは楽屋で昼寝していたって言いましたよね。
はい、ぐっすり寝てました。
でも警備員のおばちゃんは目撃してるんですよ。
あなたが殺人現場へ向かうところを。な、なんですって?
そ、そんなバカな。僕は、ひ、昼寝を。
荷星さん、本当のことを言ってくれないと。僕は新米弁護士ですから、すぐ負けちゃいますよ。
恐縮ですが、僕、間違いなく寝ていたんです。誓います。絶対です。
おばちゃんの見間違いだと思いますけど。
どうなってるんだ?
嘘をついている様子はない。
あのおばちゃん、ちょっと怪しいですよね。
あの、撮影所の正門にいる警備員なんですけど。
ああ、あのおばちゃん。ひどいんですよ。私のこと、見た目から怪しいって。
は、はぁ。実は前に僕も言われました。そのお面を取れって。
あの人、偉い人にはものすごく弱いんですけど、一度舐められちゃったら、一生頭が上がらないんですよ。
うん、なるほど。あのおばちゃんは、偉い人に対しては、こうヘコヘコする。
でも自分より下だと思っている人に対しては、すごく偉そうにする。人によって態度をコロコロ変える人なんですね。
うー、最悪。
すみませんが、依頼状書いてもらえますか?
うん、さっき依頼状があったら中に入れてやるって言ってましたよね。
はっはぁ。恐縮です。
はい、依頼状を書いてもらいました。
これであのおばちゃんを突破できればいいんだけど。
はい、話すことはもうないですね。
じゃあ依頼状を持って、もう1回撮影所に行ってみましょう。
「つきつける」か。
はい、依頼状を突きつけます。
おばちゃん、これ、荷星さんからの依頼状。
ん?
この頭の悪そうな字は、確かにあの子だね。
証拠品、荷星三郎の依頼状をおばちゃんに渡した。
あの子もこんな頼りなさそうな弁護士を頼むなんて。失礼ですね。
ねえ。ねえと言われましても。
まあいいや。通行を許可してあげるわよ。通っていいよ。
ただし、ここから左のスタジオ方面だけだよ。右方面はダメ。
スタッフの作業所があるんだけど。
誰も通しちゃダメっすって、刑事が言ってたからね。
イトノコ刑事ですね。
ねえねえ、ナルホドくん。ん?
詰所のところに地図があったよ、この撮影所の。
おーいいね、これ。
こら!1枚50円だよ。
お金取るんですね。
よし、じゃあ行こうか、ナルホドくん。50円!
地図をゲットしました。
はい、じゃあ第一スタジオ前に移動しましょう。
お、イトノコさん。
あ、あんたはこの前の殺人犯。
あー、この前の大間違い刑事。
あんたたちのせいで、御剣検事はちょっとブルーになってるっす。
前回負けましたからね、落ち込んでるそうです。
午後のティーを飲みながら窓際で黄昏れているっす。
知りませんよ、そんなの。
確かに関係ないですよね、成歩堂たちには。そうだよ。
だいたいあなたの捜査がデタラメだからいけないんでしょ。
何も言い返せません。
黙っちゃった。
痛いところをついたらしいね。
イトノコ刑事が言われたくないことを言ってしまいました。痛いところをつきました。
どうしよう。私が悪いのかな。なんかちょっと反省してます。
意外にナイーブな男みたいだ。傷つきやすいナイーブな男。
そうっす、自分のせいっす。
人のせいにしても、自分の心だけはごまかせないっす。
まあまあ、次頑張ればいいんですよ。
そ、そうっすよね。
切り替えが早いですね。
って、なんであんたたちがここにいるっす?
あのね、私たちこの事件を担当することになったっす。
イトノコ刑事の口癖を真似してますね。
あ、あ、真似しちゃダメっす。あ、アイデンティティが崩壊するっす。
面白い人だね、ナルホドくん。
はい、ま、とりあえずイトノコ刑事の話を聞いてみましょう。
今の捜査の状況を教えてください。あの、今そちらの捜査はどんな感じですか?
そんなことを教えるわけにはいかないっす。
ナルホドくん、さすがにそんなにストレートに聞いてもダメなんじゃないかな。
じゃあ刑事さん、例のやつくださいよ。
例のやつ?
解剖記録です。今度は最新のデータを。
うぅ、わかったっす。この前の事件では迷惑かけたっすからな。
はい、衣袋たけしの解剖記録。死亡時刻は15日の午後2時30分。槍状の凶器で胸を貫かれる。
はい、逮捕した理由。どうして荷星さんが逮捕されたんですか?
簡単なことっす。殺人事件はこの先の第一スタジオで起こったっす。
被害者が第一スタジオに入ったのが午後1時。この時被害者以外の人間はスタジオにはいなかったっす。
そして被害者が死んだ時間は、解剖の結果、午後2時30分。
その間スタジオに行った人物はたった一人、荷星三郎っす。
なるほど。だからさっきのおばちゃんの証言、この人が通るのを見たっていうおばちゃんの証言だけで、逮捕したってことですね。
彼以外スタジオに行けた人物はいないっす。嘘だと思うなら警備員のおばちゃんに聞いてみるっす。
ナルホドくん、それがもし本当なら、誰が聞いても犯人は荷星さんしかいないじゃない。
うーん。物騒なこと言うなよ。怖いこと言うなよ。
おばちゃんについて聞いてみます。あの警備のおばちゃんですけど。
あー、とても優しいいいおばちゃんっす。
うーん、でも成歩堂たちには優しくなかったですよね。
おそらく刑事と仲良くしておいた方が自分が得するから、刑事には優しくしてるんでしょうね。
え?ど、どこが?
警察手帳を見せたらお茶と羊羹を出してくれたっす。
警察手帳、警察が持ってる手帳を見せたら、警察ですって見せたら、「あ、どうぞ」ってお茶と羊羹を出してくれた。
羊羹っていうのは和菓子ですね。
あのおばちゃん、権力の犬だよ。権力の犬?権力のある人にはね、いい顔をして、怖い人ですね。
しかも我々のために証拠品までくれたっす。
え?え?
何ですか?証拠品。な、何ですか?証拠品って。
まあその...写真っす。あのトノサマン野郎が現場に向かっている写真っす。
えっ?誰が撮ったんですか?
そこのゲートにカメラがついてるっすね。
ついてますね、そこ。
あ、「おいでませ」って書いてあるあれのことかな。
そのカメラ、人が通ると自動的に写真を撮るっす。
ふーん、すごいですね。
えっ?ナルホドくん、もうダメだ。
今完全にトノサマンに不利な状況ですね。
うん、あ、でもナルホドが思っています。
でも証拠品を手に入れた割には、パッとしない顔をしてるな。なんか、ちょっとなんか気になってるような、そんな表情をしています。
証拠品を手に入れたのに。
どうしたっす?なんか元気がないっすね。
そんな嬉しそうな顔して言わないでください。
あの、私たちスタッフの人とかにも話を聞きたいんですけど。
あ、いいっすよ。もうどこでも好きなところに行くっす。
いいんだ。
何をやっても無駄っすけど。
もう決定的な証拠があるから、何をやっても無駄だよ。
人間ってこんなに朗らかに、明るく笑えるもんなんだ。
ナルホドくん、許可もらったんだからいろいろ行ってみようよ。
はい、行ってみましょうか。
あ、一旦正門前に戻ります。
見てみて、ナルホドくん、おばちゃん詰所の中で羊羹食べてお茶飲んでる。
日本のおばちゃんって風情だね。何を言ってるんですか。
ちょっとおばあちゃん寄りな気もするけど。うん、お茶と羊羹ってもうね、おばあちゃんというよりおばあちゃんですね。
あら、あんたたち、どう?あの子が犯人だって納得した?
このおばちゃんがあの刑事に証拠写真をあげたんだよな。
うーん。証拠写真について聞きたいですね。
おばちゃん、なんで写真のことを教えてくれなかったんですか?
ああ、あれ?刑事から聞いた方がよりスリルがあるかなって。
おばちゃん気を使う方だから。
あれ、ここからすぐ左に行ったゲートのカメラが撮ったのよ。
毎日写真をチェックするのもおばちゃんの仕事でさ。
犯人だと思う理由。この撮影所、どこへ行くにも必ずこの警備詰所の前を通らなくちゃならないのよ。
衣袋ちゃんがスタジオに行ったのが、午後1時ちょい前。ちょっと前。事件が起こったのが2時半。
その間ここでおばちゃんが見たのは荷星だけ。カメラにもそれが映っている。
これで犯人じゃなかったら、誰が犯人よ?おばちゃんとか?
ぎゃはははは。面白いこと言うね、あんた。
全く気に留めていない。
うん。もう1回、衣袋ちゃんについて聞きます。
被害者の衣袋さん、人気はあったんですか?
それはもうすごいもんだったわよ。
「すごかった」か。過去の話なんだな。
私、小さい頃、髭武将シリーズ大好きでした。
ああ、あれねぇ。よかったよ、ほんと、昔はさ。それが今はアクダイカーンだもんね。
そりゃあ衣袋ちゃん、荒れてもしょうがないよ。
うーん、なんか荒れてたんですかね。
荒れてる。なんかこうストレスが溜まってて、うわーって感じ?
自動撮影のカメラ。そのカメラのことなんですけど。
あー、カメラね。
あのゲートをくぐると、センサーってやつが反応してさ、勝手に写真を撮るわけ。
写真を撮った時間も記録されるんだって。
おばちゃん、その辺のことはよくわかんないけど、撮った写真はあそこの詰所のコンピュータで見られるから、おばちゃんいつも帰る前に写真をチェックするわけよ。
第一スタジオ前に行けますね。行ってみましょう。
あ、さっきのところか。えっと違うね。
ここからスタッフエリアに移動しないといけないんだ。
はい、撮影所のスタッフエリアに来ました。
ナルホドくん、ここスタッフの人たちが作業するところだよ。
あ、あそこ、荷星さんの楽屋がある。
事件があったばかりだから、まだ誰もいないんだ。
いろいろ見て回ろうよ。
はい、ここを調べてみましょう。
楽屋と外を結ぶ窓だ。
くもりガラスなので部屋の中を見ることはできない。
透明じゃなくて、ちょっと曇ったガラスの窓だから、中は見えないんですね。
楽屋の入り口に張り紙がしてある。
荷星三郎様か。さすが主役だな。
楽屋に入るドアだ。鍵はかかっていないみたいだね。
ねえねえ、ナルホドくん、入ってみたいよ。記念に、なんかもらっていっちゃおう。
ダメですよね。
なんかってなんだよ。
トノサマンスピアーとか。
それは凶器ですよ。
凶器じゃないか、それ。
巨大な倉庫だ。撮影用の大道具がしまってあるようだ。
すごい、ナルホドくん、何でも知ってるんだね。
見た感じを言ってみただけだよ。
これは?スタッフたちの昨日の昼食の跡だ。
昨日のお昼ご飯がそのままになってるんですね。
事件があったため、誰も片付けていないのだろう。
皿の上には骨付きステーキの骨だけが乗っている。
私も食べたかったな、骨付きステーキ。
さっき味噌ラーメン食べただろ。
味噌ラーメンは別腹。
どんな腹だよ。
別腹っていうのは、お腹いっぱい食べてもまだ味噌ラーメンだったら食べれることですね。
よくデザートは別腹とか言いますね。
自動販売機。お茶、味噌汁、お汁粉、くず湯、おでん。ラインナップが和風に統一されている。
ウーロン茶すらないぞ。
あ、なーに?このトノサマン汁って。
ナルホドくん、飲んでみてよ。
自分で飲めよ。
珍しいものがいっぱい置いてある自動販売機ですね。
スライド。こっちも見れるんですね。
なんか大きい絵があります。
描きかけの書き割りが立てかけてある。
舞台に使う背景の絵ですかね?書き割りって言うんだそうです。
ネオエドシティの城ということは、おそらくネオエド城とでも言うのだろう。
自転車。モーターを乗せた電動自転車だ。
なんとも言えない中途半端な感じが、僕は嫌いだ。
えー、でも坂を登るの楽だよ。
若いのにあんなもの使うな。
全然事件に関係ないですね。ここはない。
あ、排水溝の金網が外れている。
結構大きい穴だ。子供なら通ることができそうだ。
誰かがこの穴を通ってきたのかもしれないですね。
あ、あそこから入ってくれば入場料払わなくてもいいね。
じゃあ帰りはあそこから出たら?
うん、そうする。んー?
あ、ねえ、こっから誰かが入ってきた可能性もありますよね。
排水溝にはまっていた金網だ。ちょっと曲がっている。
はめ直すのは無理だな。
うん。もうないですね。
あ、楽屋に入れる。
楽屋の中も調べてみましょう。
荷星さんの楽屋。事件があった昨日の午後はここでずっと昼寝をしていたって言ってたけど。
昼寝しているところ、誰も見ていないんだよね。
その代わり、殺人現場の近くで写真を撮られてるんだよな。
荷星さん、信用していいんですよね。
調べます。
衣装ですかね。
撮影用の和服に混じって洋服もちらほら。荷星さんの私服だろうか。
私服は普段着る服ですね。撮影用の衣装じゃなくて。
記念に着てみたいな、衣装。似たようなの着てるくせに。確かに。
これは?鏡。楽屋といえば必ずある鏡だ。
この大きい鏡ね。うん、今日もバッチリ。尖ってるな、僕の頭。
これは?メイク用の小道具なんかが並んでいる。
あ、ちょんまげブギで使っているカツラがある。
ナルホドくん、かぶってかぶって。やだよ。
なんでカツラを見ただけで番組名までわかるんだよ。
時代劇はちょっとね。好きなんですね、時代劇が。
何がちょっとだよ。
あ、なんかカバンがありますよ。
あ、荷星さんのカバンかな?
こら、勝手に開けない。
あ、こんなものが。カードかな。
スタッフ用のカードキーだ。
荷星さんのものだろう。
第一スタジオと書いてある。
もらっておこうよ、ナルホドくん。
すぐなんか物を取りますよね、現場からね。
いいんですか?
借りるだけな。
カードキーを法廷記録に挟んだ。
これで、このカードキーを使って第一スタジオに入ることができますね。
あ、まだあるんですか?
荷星さんのカバン、他に何があるのかな?
こらこら、やめとけって。
あ、もうなかった。
引き出しも何もない。
テーブル。あ、お茶?
スタッフからの差し入れかな。
お菓子が並んでいる。
和菓子にお茶か。
差し入れっていうのは、なんか仕事とか、なんか頑張ってる人に、「これどうぞ」「頑張ってください」って言って渡す、お菓子とかお土産のことですね。
ふー、ナルホドくん、食べたいね。
さっき味噌ラーメン食べただろ。
お菓子は別腹だよ。
味噌ラーメンも別腹だし、またお菓子はお菓子で別腹なんですね。
女の子は腹をいくつ持っているのだろう。
あ、ここで寝てたんですね。
誰かが寝た跡が残っている。
昨日、依頼人の荷星さんが昼寝していた跡だろうか。
うーん。あ、窓。鍵がかかっている。
あまり開けられることはないみたいだ。
まあ、外は埃っぽいから無理もないかもしれないな。
うーん。えっと、カードキーをもらったから、もらったっていうか借りたから、あそこに行けますね。スタジオに。
あ、違うね。ん?話す?
違う。
あ、イトノコさんにこれを見せればいいのかな。
ねえねえ、刑事さん、これ見てくださいよ。
なんすか?
いやいやいや、ダメだよ。取り上げられちゃうだろ。あ、そっか。
あーダメなんですね。確かにね、取り上げられちゃうね。
えー。ここでちょっと調べる?
この撮影スタジオのマスコットキャラクターだ。なんか首が取れてますね。
なんでもテングザルをモチーフにしてるとか。
猿ですね。
でも天狗ってこんな団子っ鼻なのかな。
団子っ鼻って、お団子みたいに丸い鼻のこと、団子っ鼻って言いますね。
お、手には看板を持っているな。
第一スタジオ、第二スタジオ、持ってますね。
右、第一撮影スタジオ、。左、第二撮影スタジオ。
そ、そんなことよりどうしたんですか?あれ。
昨日強い風で首が折れたっす。
そこの木も道連れっす。
あ、ほんとだ。木も倒れてますね。
第一スタジオ。第一スタジオへ通じる入り口。
スタジオは、衣袋武志が死体で見つかった現場だな。
ナルホドくん、ちょっと入ってみようよ。
楽屋から借りてきたこのカードキー、使えるかな。
お、開いたぞ。やったー。さあさあ、行ってみようよ。
殺人現場に行くってのに、不気味なほど浮かれてるな。
これで移動できるようになったんだ。
はい、スタジオの中です。
ここが殺害現場ですね。
どうしたの?
なんだよ、急におとなしくなって。さっきは行こうよ行こうよって浮かれてたのに、今度はすごい悲しそうな顔してます。
なんか真宵ちゃんは、喜怒哀楽がすごいですね。喜んだり怒ったり悲しんだり楽しんだりが、すごく激しいですね。
だって、あの白いテープ、なんかリアル。怪人アクダイカーンが死んだんだからね。
そこにあの死体の形の白いテープが貼ってありますね。
トノサマンにやっつけられて。凶器はトノサマンスピアー。そりゃリアルだよ。
はい、ここを調べましょう。
あ、はしごだ。
それは脚立だよ。
どう違うの?同じようなものじゃない。
もっと本質を見ようよ、ナルホドくん。本質、物事のこの重要なところを見ようよ。
ははは。
椅子。あ、これ、監督さんが座るやつだよね。一度座ってみたかったんだよね。
ナルホドくん、あれは?
カメラの前でカチンって鳴らす白黒のやつ。
カチンってするやつね。カットとかするやつですね。
あとメガホンメガホン。はい、ナルホドくん、アクション。
ここまで変な子だとは思わなかったな。
ちょっと、真宵ちゃんは不思議ちゃんですね。
はい、他には?これは?なーに?これ。
光を反射させるんだ。確かレフ板とか言ったかな。
うん、あの白いやつですね。撮影中スタッフが持ってるんだよ。
ふーん。なんだよ、その気のなさそうな返事は。
だって私、やるなら監督かトノサマンがいいもん。
何をやる気なんだ?この子は。
衣袋武志の死体の形がロープでマーキングされている。
死体は怪人アクダイカーンの着ぐるみの中から発見されたため、その形通りにマーキングされている。
槍で刺されたのに血の跡が見られないのも、着ぐるみの中で殺害されたためだろう。
書き割りっていうやつだ。これ、トノサマンで使う背景かな。
そうだよ、ネオフジ山っていう山だね。
トノサマンって江戸の話だろ?なんで富士山が見えるんだ。
江戸じゃなくてネオ江戸シティだからね。
じゃあいいのか。
カメラですね。うわー、すごいな。高そうなカメラ。
おい、触るなって。
うわ、思ったより重いね。
あ、ダメです。触らないでください。
誰か来ました。スタッフの女性ですかね。
あ、ごめん。この子ちょっとアレなもんで。
何よ、アレって。ちょっと頭がおかしいって言いたいんですかね。
あの君は?
あ、私、ここの撮影スタッフです。
大道具や小道具の管理とか手入れなんかをしてます。
私たち、荷星三郎さんの弁護士なの。
あぁ、ああなたたちが、ニボサブさんの?荷星三郎を略してニボサブって言ってますね。
ニボサブ?荷星三郎か。
大変ですね。
でも助けてあげてくださいね、ニボサブさん。
あっ、この人は荷星三郎の味方なんですね。
あの人が誰かを傷つけるなんて絶対ないですから。
うーん。人を傷つけるような人じゃない。
任せてください。
この人の話をちょっと聞きましょう。
あの、事件があった日のこと、聞かせてくれないかな。
はい、あの日は1日撮影所にいましたよ。
あの日、撮影スタッフは私だけでした。え、たった一人?
ええ、この撮影所、お金がありませんから。
なるほど。あんまり予算がないので、人件費にお金をかけられないんですね。たくさんスタッフを雇うことができない。
それに昨日はアクションシーンのリハーサルだけでしたし。
へー。午前中はスタッフエリアでアクションを打ち合わせしました。
警備員のおばちゃんも見てますね。
ニボサブさんも衣袋さんも、みんなスタッフエリアにいました。
スタッフエリアって、荷星さんの楽屋があるところだよね?
ええ、そうですよ。
そこで昼食を食べた後、衣袋さんは第一スタジオに行きました。
うん、なんかこれを見る限り、すごく仲良さそうですよね。
だから、この後殺すなんて、ちょっと信じられないですけどね。
警備員のおばちゃんも後ろで食べてますね。
警備しなくていいのかな。
ニボサブさんの方は、楽屋に入るところを見ました。
うん、間違いなく楽屋に入るところは、この女性が見ているんですね。
その後は見ていません。
荷星について。荷星さん、楽屋で昼寝していたんだけど、知ってた?
知りません。用もないのに楽屋を覗くなんて、私そんなはしたない女じゃありません。
はしたないっていうのは、まあ礼儀とかマナーがないみたいな感じかな。
は、はしたない。
荷星三郎のアリバイの裏は取れず、か。
うん、アリバイを証明することはできませんね。
困ったね、ナルホドくん。手がかりなしだよ。
このスタジオに来たのがニボサブさんだけだったら、もう犯人は決まりだよね。写真まで撮られてるみたいだし。
うん、あの、ちょっといいですか?
なんだろう。そういえば1つ気になることがあるんです。
来た!やっぱりそう来なくっちゃね。
実は私、お昼過ぎに何回か人の気配を感じたんです。
誰か人がいるような気がした。人の気配?
はい、でもそれは他のスタッフの方とかでは?
いいえ、あの日はアクションを決めるリハーサルだけでしたから、スタッフは私だけでした。
さっきも言ってましたね。
多分関係者ではなく、部外者の方だと思います。
関係者じゃない、部外者。
ほんとですか?
でも誰かここへ来たんなら、あのおばちゃんが見てるはずなのに。
でもあの、あそこから通ってきたのかもしれないですよね。排水溝の金網が外れてたあそこから入ったのかもしれない。
そうだな。
あんまりはっきりしなくてごめんなさい。
どうもありがとう。
早速あのおばちゃんを問い詰めてみようよ。もうちょっと人の気配について聞いてみます。
事件当日、撮影スタッフ以外の人間の気配を感じたんですね。
はい、多分。証言できるほど確かじゃないみたいだな。
うん、「多分」では証言できませんよね。
ナルホドくん、あのおばちゃんだよ。
この撮影所に誰か来たら、あのおばちゃん見てるはずだよ。
調べるとこはもうないかな?
あこれ、さっきのですね。
もうないかな。もうないですね。
じゃあ移動する。
この人と話すことはないね。
ここ、まだ全部ちょっと調べきれてないので、もうちょっと見てみましょう。
ベンチです。ちょっと疲れたな。座って休もうか。
休んでる場合じゃありません。
おー、いいっすね。
なんで刑事さんが休むんですか?
いや、立ちっぱなしって結構疲れるっす。
確かに、ずっと立ってるとね、疲れますね。
あ、カメラ。お、こんなところにカメラがある。
スタジオに行く人間を写真に撮るためのカメラっす。
データを見れば、誰がスタジオに行ったか一目で分かるっす。
カメラにプレートがついている。ST1-307。このカメラのナンバーらしい。
おいでませだって。おいでませ?いらっしゃいみたいな意味かな?
このスタジオも経営が苦しいっす。
お金がありません。
最近は休日には一般の人に開放して、見物料を取ってるらしいっす。
なるほど。
へー、詳しいんだ、刑事さん。
刑事辞めてここで働いたらどうですか?
そうですよ、あそこの猿の首も折れたことだし。
どういうこと?
意味がわからないっす。
本当、意味が分かりません。
あとはもうないかな?ないですね。
戻る。で、おばちゃんのとこに行きましょう、もう一回。
はい。あらあんたたち、まだいたんだ。どうしたの?怖い顔しちゃって。
スタッフの証言によると、他にも人の気配がしたって言ってたので、おばちゃん何か知らないか聞いてみましょう。
なんだい?その人を疑うような目つきは。
昨日のことをもう一度聞きますけど、おばちゃんがここに来たのが午後1時で、被害者の死亡推定時刻の2時30分までにここを通ったのは、荷星さん一人。
間違いないですか?
ああ、ないよ。間違いない。
でも、部外者の気配を感じたって言ってる人がいるんですよ。
なんだって?
おばちゃん、本当にちゃんと見張ってたんですか?
おばちゃん、さっきあのスタジオで見学したり一緒にご飯食べたりしてたから、本当にちゃんと警備をしてるのか怪しいですよね。
おばちゃん?誰が、誰がそんないい加減なことを。適当なことを。
きゃっ。教えなさい。早く言いなさいよ、このトンガリ頭。
トンガリ頭
めっちゃ怒ってる。
このおばちゃんの仕事にケチをつけるなんて、おばちゃんの仕事に文句を言うなんて。
あ、あの、第一スタジオにいたスタッフ...。
言っちゃいましたね。
あいつか。アルバイトの分際で。アルバイトのくせに。
またおばちゃんの...全然読めなかった。
そして行っちゃったんですね。
行っちゃったよ。
さあ、ナルホドくん、今のうちにやれることはやっておこうよ。
はい、なんか見れるかな?
撮影所内のセキュリティカメラの映像を管理するコンピュータ。
ナルホドくん、このコンピュータで荷星さんの写真見られるんだよね。
うん、多分ね。
はい、操作しましょう。
よし、ちょっとやってみよう。
ナルホドくん、コンピュータ使えるの?
いつの時代ですか?
あ、でもこのゲーム、多分だいぶ昔に作られたゲームですよね。
なんかもうね、パソコンの形が古いもんね。
ナンバーを入力するぐらいなら。とりあえず事件当日のデータを。
事件当日は午後1時からカメラは作動したらしい。
おばちゃんが詰所に来たのが1時だからかな。
はい、セキュリティカメラのナンバー?307だった気がする。
よし、入力したぞ。
見れるかな。あ、データがプリントアウトされてきたよ。
どれどれ。
あ、この格好で通ったの?着ぐるみを着たまま。
これじゃあ、あの、これが荷星さんだっていう証拠にはなりませんよね。
違う人がこの着ぐるみを着てたのかもしれない。
なんだこれ。なんでこれが荷星三郎の写真なの?
まあ、いつも中に荷星さんが入っているから、おばちゃんもにぼしだって思い込んじゃったのかも。
これをもらった刑事さんの顔色が冴えないのも無理ないね。
なんかね、ちょっとこう...証拠をつかんだのに、微妙な、すっきりしない顔をしてましたよね。
すっきりしない、冴えない顔をしてましたよね。
これかぁ...これじゃちょっと荷星三郎とは言い切れないな...って、きっと思ったんだと思います。
あ、この写真の裏。ん?10月15日午後2時。2人目か。2人目ですね。
あ、ん?おばちゃんは1人しか通ってないって言ってたのに、もう1人この前に通ったってことですよね。
どういうことかな?他にデータは?
ないよ、この写真だけ。
1人目のデータがない。
おばちゃんが消したんじゃないの?
おばちゃんが削除した可能性がありますよね。
荷星(?)の写真を法廷記録に挟んだ。
ねえねえ、ナルホドくん、この写真があれば裁判なんとかいけるんじゃない?
そうだなぁ。これであのおばちゃんにギャフンと言わせてやれるね。
クソって思わせられるね。
ギャフン。なんでナルホドくんが言うの?
まあいいや。じゃあ早速この写真おばちゃんに突きつけて...。
いや、やめとこう。
なんで?
敵にわざわざ手の内を明かすことはないよ。
うん、こっちの作戦を知らせる必要はない。まだこれは取っておこう。
わー、ナルホドくん、お主意外とワルだね。
ちょっと時代劇っぽい言い方になってますね。
2代目アクダイカーン。お主っていうのはあなたってことです。
人を怪人にしないでほしいな。
まあまあ、じゃあ今日はそろそろ切り上げようよ。これで終わりにしよう。
とりあえず、この写真があればなんとか戦えるだろう。
犯人が誰なのか、見当もつかないのが気になるけど。うん、全然わかりませんよね、まだね。
おばちゃんは、でもちょっと嘘をついてそうな気がするけど、でもおばちゃんが犯人っていうわけではなさそうだし、全然見当がつきません。
まさか本当にあのおばちゃんだったりして?うん。
続く。あ、今日はここまでですね。
次回は裁判かな?
はい、データを保存します。
はい、今日はここまでにして、また次回続きをやりたいと思います。
次回はおそらく裁判ですね。
うん、でもまだ全然手がかりがないので、ちょっとどうなるか分かりませんが、また次回楽しみにしててください。
またね!
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