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こんにちは。
逆転裁判の続きをやっていきます。
第3話『逆転のトノサマン』ですね。
2日目、法廷。今日は裁判です。
じゃあ始めましょう。
10月18日午前10時地方裁判所第4法廷。
また御剣検事ですね。
はい、裁判官です。これより荷星三郎の法廷を開廷します。
検察側、準備完了しております。
弁護側、準備完了しております。
御剣検事、冒頭弁論をお願いします。
はい、冒頭弁論、冒頭陳述。この事件の内容を検事が説明します。
被告人荷星三郎は、10月15日午後2時30分、英都撮影所第一スタジオで、俳優衣袋武志を殺害した。
この犯行は被告人以外の人間には不可能だった。
本法廷で、この裁判で、検察側は、その点を完全に立証するだろう。
検察は荷星が犯人だ、荷星にしか犯行はできなかったっていうことを証明する。
ふむ。なるほど。それでは審議に入りたいと思います。
御剣検事、最初の証人を入廷させてください。
ではまず、おなじみ、おなじみ、いつも出てきますね。
イトノコギリ刑事を。
まずこの事件について、軽く説明してほしい。
はっ。では上面図で説明するっす。
今回は撮影所全体の位置関係が重要っす。
位置関係、何がどこにあるか、場所が重要と言ってますね。
ここがスタッフエリア。
午前中ここでアクションの打ち合わせがあったっす。
ここが撮影所の正門前。うん、おばちゃんがいたとこですね。
午後1時から、警備のおばちゃんがずっと立っていたっす。
警備員の詰所を過ぎるとゲートがあるっす。
ここを過ぎるとスタジオがあるっす。
そしてここに防犯カメラがありましたね。
ここっす、第一スタジオ。
死体が発見された殺人現場っす。
さて、事件があった10月15日、午前中この撮影所には被害者の衣袋武志、被告人の荷星三郎、スタッフの女の子の3人しかいなかったっす。
おばちゃんもいましたよね。
うん。まあいいか。
正午まで、お昼の12時まで、撮影所のスタッフは全員スタッフエリアにいたす。
そして昼食後、被害者の衣袋は一人で第一スタジオへ。
午後1時、警備のおばちゃんが詰所に入ったす。
そして午後5時、衣装をつけたリハーサルをするため第一スタジオにスタッフたちが集まると、衣袋武志が死亡していましたね。
亡くなっていました。被害者の死亡推定時刻は、午後2時30分っす。
凶器は、胸に突き刺さったトノサマンスピアーっす。
凶器。このトノサマンスピアーで胸を刺されて殺されました。
これが事件の流れっす。
はい。もう1回聞きたい人がいたら説明するっすけど?
どうしよう。もう一度聞こうか。
いや、もう事件の内容はわかってるので、聞かなくていいです。
まあ、なんとかなるだろう。
凶器は槍ですか?
これはまた物騒な。恐ろしい。
証拠品トノサマンスピアーを法廷記録にファイルした。
トノサマンスピアー、槍型の武器。槍の形をした武器ですね。
で、被害者の胸に突き刺さっている状態で発見された。
よろしいか。いいですか、裁判長。この事件は、実にシンプルなポイントにまとめることができる。
すなわち、つまり、警備詰所にいたおばちゃんは何を見たか。
なるほど。では早速その警備員に入廷していただこう。
おばちゃんが出てきます。
証人の名前を。
黙ってます。
顔が変わりました。
あら、ちょいとあんた、いい男だね。
イケメンだね、かっこいいね。
おばちゃん、ちょっとときめいちゃったよ。ドキッとしちゃった。
目がキラキラしてます。
な、名前を聞いている。
やだね、この子、照れちゃってさ。おばちゃんでいいわよ。
頼むから名前を。
御剣のやつ、証人から名前を聞くのが苦手らしいな。
大場カオルよ。大場さんなんですね。
それで大場ちゃん....「おおばちゃん」で、おばちゃんなのかな?
大場さんも...ん?早い早い。
証人のおしゃべりに異議を申し立てる。
異議を認めます。
証人はおしゃべりをやめるように。
これから面白くなるところだったのに。
では証言を始めていただく。証言を始めてください。
証人は、事件当日、正門前に詰めていたのですね?そうよ。
殺人現場へ行くには、あなたの目の前を通るしかない?
話がわかるおっちゃんだね。
証言をお願いしましょう。
おばちゃんパワー恐るべし。
はい、おばちゃんの証言です。事件当日について。
おばちゃん、事件があった日は、午後1時に詰所に入ったのよ。
衣袋ちゃんたちは午前中から打ち合わせしてたんだけど、おばちゃんちょっと午前中は、その...用事があってさ。
なんかちょっと怪しいですね。
ちょっと用事があって...。何してたんだろう。
なんかそのアクションの打ち合わせを、おばちゃんも見てたような気がするんですよね。
前回のエピソードでそういうシーンが出てきたような気がします。
で、えっと、衣袋武志と被告人が一緒にご飯を食べてる時も、おばちゃんが後ろでご飯食べてたような気がするんですよね。
まあとにかく、午後1時に詰所に入ったわけよ。
それから午後5時まではずっと正門のあたりにいたわね。
衣袋ちゃんの事件があったの、午後2時30分頃でしょ?2時頃にね、おばちゃんの目の前を通った男がいたのよ。
荷星よ荷星。あの男がね、スタジオの方へ歩いていったのさ。
ふむ、被告人がねぇ。では早速尋問をしてもらいましょうか。
はい。
はい、尋問開始。
おばちゃん、事件があった日は、午後1時に詰所に入ったのよ。
とりあえず、また全部揺さぶっていきます。
その時間までスタジオには誰でも入れたんですか?
うん、確かに警備員がいない状態だから、誰でも入れたのかもしれない。
確かに警備員はいなかったけどね、正門にロックをかけておいたから、スタッフ用のカードキーがないと入れないんだよ。
なるほど。ああ、あのカードか僕も持ってるな。
あの、荷星さん...荷星さんじゃない。えっと、あ、荷星さんか。
被告人の楽屋から盗みましたよね。
つまり、撮影所に関係ない人は入れなかったわけだ。
証人が詰所に入った時、スタジオには誰がいたのか?
衣袋ちゃんたちは午前中から打ち合わせしてたんだけど。はい。
おばちゃん、ちょっと午前中は、その...用事があってさ。
ここがちょっとね、怪しいんですよ。
何の用事ですか?
いや、ちょっとさ。
答えてください。
実はね、見物してたのよ、衣袋ちゃんと荷星をさ。
ね、やっぱそうですよね。
打ち合わせの様子を後ろで見てました。
け、見物?警備をほったらかして?
警備をしないで?
うるさい子だね。だからちゃんと正門は鍵かけといたよ。
そういう問題じゃないような気がするけど。
とにかく、衣袋ちゃんの打ち合わせは絶対見ることにしてるのよ。これだけは譲れないね。
いいなあ、あたしも見たいなあ、トノサマンの打ち合わせ。
そうですね、真宵ちゃんもトノサマンのファンでしたね。
いいなあ。羨ましがってます。
霊媒師やめて警備員になったら?
これ、ナルホドのセリフですね。
そうしようかな。
まあとにかく、午後1時に詰所に入ったわけよ。
うーん。揺さぶっとこう。
被害者の姿は見ましたか?
衣袋ちゃん?
あー、見てないよ。
おばちゃんが詰所に戻る前に、もうスタジオへ行ったみたいだね。
それから証人はどうしたか?
それから午後5時までは、ずっと正門のあたりにいたわね。
うーん。衣袋ちゃんの事件があったの、午後2時30分頃でしょ?
そうでしたかね?ちょっと証拠品を確認しておこう。
そうですね、死亡時刻はこの解剖記録によると、午後2時30分。間違いないですね。
うん。はい、戻ります。
これはOK。
2時頃にね、おばちゃんの目の前を通った男がいたのよ。荷星よ、荷星。
あの男がね、スタジオの方へ歩いていったのさ。
うん。
おばちゃんは、この写真を基に荷星が犯人だって証言してるんですけど、でもこれ、着ぐるみを着た状態なので、この写真で荷星と言い切ることはできませんよね。
ちょっとこれ突きつけてみましょうか。
あなたは昨日から何度も「荷星さんを見た」と言っています。
その荷星さんとは、この写真の男のことですか?
ちょ、ちょっと待ちなさい、成歩堂くん。
その写真、私にも見せてください。
何ですか、これ?
ネオエドシティを守る男、トノサマンその人です。
おばちゃん、あなたが見た荷星さんとはこの人物のことですか?
決まってるでしょ。誰が見たって荷星じゃない。ねえ、あんた。
いや、荷星とは言い切れないですよね。
え?
あー、うむ。ど、どんなものだろうか。
あ、御剣はこの写真見てないんですか、まだ?
確かに荷星さんはトノサマンの役をやっています。
しかし、荷星さんはトノサマンじゃない。うん。
荷星さんイコールトノサマンではないですよね。
わ、わかってるわよ。
そんなことわかってるわよ。
えーと、その、証人?
「おばちゃん」と呼ぶには抵抗があるらしいな。
この人物が被告人荷星さんだという証拠はないんですか?
やだね、うたぐり深いおっちゃんは。あるに決まってるじゃない、証拠。
あるんですか?なに?え?
御剣も知らないんかい。
なんで御剣まで驚いてるんだよ。
おば...証人、知っていることはちゃんと前もって話しておいてもらいたい。
何言ってんのよ。
おばちゃん、この写真を刑事に見せてあげたのに、「こんなの証拠にならんから、いらねっす」って、見向きもしなかったんじゃない。
うん。イトノコ刑事には見せたと言っています。
うむむ。御剣も、おばちゃんにはかたなしだな。
では証言をしていただきましょう。
おばちゃんね、いい加減なこと言うの大っ嫌いなのよ。
午前中、スタッフエリアで打ち合わせしたんだけどさ、その打ち合わせの時、荷星のやつ、転んじゃったんだよ。うん。
大事な小道具も壊れちゃうし、ちょっと大変だったね。
荷星も思いっきり足をひねっちゃってさ。
あ、荷星は打ち合わせ中、アクションの打ち合わせ中、足をひねっちゃったらしいです。
この写真よく見なさいよ。ちゃんと写ってるだろ?足を引きずってるところがさ。
うん、こう、ちゃんと普通に歩いてたんじゃなくて、足をひねって痛めているから、片方の足を引きずっていた。
引きずって歩いていた。
だからこいつは荷星なんだよ。わかったかい?
うーん、でも足を引きずっているからといって荷星とは限りませんよね。
誰かが足を引きずって荷星の振りをしているのかもしれない。
ふむ、足に怪我をしていたわけですか。
では成歩堂くん、尋問を。
とにかく揺さぶりをかけて情報を探り出そう。
はい、尋問開始。
おばちゃんね、いい加減なこと言うの大っ嫌いなのよ。
適当なこと言うの大っ嫌い。
とりあえず揺さぶります。
えっと...。お黙り!
黙って!
まだ何も言ってないぞ。
言っとくけど、おばちゃんはね、人様に後ろ指さされるような、そんないい加減なことは何ひとつしてないんだから。
まためっちゃ早口でした。
あの、人様に後ろ指さされるっていうのは、人に後ろから、「あの人あんなことして...」
「あの人実はね...」っていう風に陰で言われるような、そんな悪いことはしていない、後ろめたいことはしていないっていう意味です。
人様に後ろ指をさされるようなことはしていない。
はい。
弁護人、頼むからこの証人を刺激しないでほしい。
刺激を与えると、ブワーって喋るから、刺激しないでほしいってことかな。
やれやれ。困ったな。
午前中、スタッフエリアで打ち合わせしたんだけどさ。
ここも揺さぶっときましょうか。
打ち合わせをしたメンバーは誰と誰ですか?
え?え、えーっと、トノサマンの荷星だろう?アクダイカーンの衣袋ちゃん、そしておばちゃん。
おばちゃんは別に打ち合わせのメンバーではないですよね。
証人は何を?見物。見てただけ。
あともう一人、女性のスタッフがいましたよね。
スタッフの女の子は?
ああ、あの子は大道具の片付けをしてたわよ。
あの子、打ち合わせは見ていなかったのか。
はあ。
じゃあ基本的に打ち合わせは、荷星と衣袋2人でしてたってことですね。
で、もう一人のスタッフの女の子は、道具の片付けとかをしていた。
その打ち合わせの時、荷星のやつ、転んじゃったんだよ。
転んだ?
そうだよ、トノサマンのくせに、まぬけったらありゃしないよ。
まぬけっていうのは、ま、かっこ悪いってことですね。
荷星のやつ、足をひねっちゃってさ。仕方ない。おばちゃんが手当てしてあげたわよ。
おばちゃんがこう、包帯巻いたりとか、手当てしてあげた。
手当てですか?
ツバつけてやった。包帯は巻いてあげてないんですね。ツバをペッて、つけてあげた。
そ、それはそれは...。
驚いてます。
その時、スタッフの女の子は?
ああ、あの子はずっと大道具を片付けていたからね、荷星の怪我のことは知らないよ。
じゃあ荷星の怪我のことを知ってるのは、おばちゃんと衣袋ちゃんだけってことですね。
ふーん。では証言を続けていただこう。
大事な小道具も壊れちゃうし、ちょっと大変だったね。
何が壊れたんだろう。小道具が壊れたんですか?
ああ、トノサマンスピアーがね。
凶器ですよね。凶器のトノサマンスピアーは壊れていたんですね。
トノサマンスピアー?凶器じゃないか。
おばちゃんがね、とりあえずガムテープで修理したんだけどさ。ガムテープを巻いて修理したんだけどさ。
ふーん。それって結構重要なんじゃ?うん。
その壊れた状態でも凶器として使えたのかな?
法廷記録にメモしておくか。
はい、凶器、槍型の武器。一度折れたところをガムテープで修理された。
はい、データを書き直しました。
荷星も思いっきり足をひねっちゃってさ。
そこまで。いかがだろうか、裁判長。一つ気になることがあるのですが。
何だろうか。
そのトノサマンの着ぐるみは、今どこにあるんですか?
う、うむ。それが実は、どこにも見当たらなくて。
おお。現在捜索中である。
おお、その犯人とされる人物が着ていた着ぐるみが見つかっていないんですね。
ふむ。
とにかく、証人が見たのは確かにトノサマンではあるが、その中に入っていたのは被告人荷星としか考えられない。
うーん。
ふむ、そうですね。裁判官も納得しちゃいました。
裁判長が迷っているぞ。
異議を申し立てる。
ちょっと待ってください。
可能性が高かろうが、トノサマンはトノサマンです。
証人は荷星さんの姿は見ていない。
うん、確かに状況から見て、可能性は高い、荷星である可能性は高いかもしれないけど、でも、
荷星さん自身の姿は見ていないんだから、絶対そうとは言い切れないですね。
ふむ。弁護人の言う通りですね。
それに、この写真の人物の他に、犯行のチャンスはなかったのか、という問題もあります。
では次に、その点を明らかにしてお目にかけよう。
その点を証明しましょう。
証人、続けて証言をしていただこう。
任しときなよ。
はい、続きです。
衣袋ちゃんが死んだ時間、午後2時30分だったよね。
その時間までにおばちゃんが見た人間は、この荷星だけだよ。
他には誰もスタジオへ行ったやつはいないんだ。
もしいたらこのおばちゃんが見ているはずだからね。
ふむ。もしスタジオに向かったのがこの人物だけならば、このトノサマンこそが犯人ということになりますが。
では成歩堂くん、尋問を。
衣袋ちゃんが死んだ時間は、午後2時30分で間違いないです。
その時間までにおばちゃんが見た人間は、この荷星だけだよ。
ちょっと待ってください。
うん、このね、午後2時にこの写真が撮られたんですけど、2人目ってなってるのが怪しいんですよ。
この前にもう一人いたはずですよね。この写真が2人目ってことは。
でもその写真、1人目の写真がない。
それはどこに行ったのか。
それが重要そうですよね。
だから、これをちょっと後でもう1回突きつけたいと思います。
一旦戻ります。
1回揺さぶります。
間違いありませんか?
ああ、ないね。
怪しいやつは通らなかったよ。
怪しいやつ、ね。
なるほど。
怪しいやつは通らなかったけど、怪しくないやつは通ったかもしれない。
ちょっとさっきの、突きつけてみましょうか、これ。
ちょっと待ってください。
もう一度この写真について確認させてください。
これはスタジオに通じるゲートのカメラが撮った写真ですね。
ああ、そうだよ。
誰かがここを通ると、カメラが自動的に写真を撮るんですね。
よく知ってるね。
そして、写真のデータは詰所のパソコンに記録されます。
あんたもうちで働くかい?
この写真はそのパソコンでプリントアウトしたものです。
はい、前回成歩堂がこっそり詰所に入って印刷しましたね。
裏に10月15日午後2時、2人目とあります。
そりゃあんた、午後2時に撮った写真ってことだよ。
そんなことはわかっています。問題は「2人目」の部分です。
2人目?
パソコンには、写真のデータはこれ1枚きりでした。1枚しかありませんでした。
それならば、この写真には1人目と書かれていなければおかしい。
はい、そうですよ。
静粛に。
成歩堂くん、どういうことですか?
僕の方が聞きたいですね。
この証拠品は、2人の人間がスタジオに行ったことを証明する。
しかし写真のデータは1枚しか残っていない。
そのデータを消したのは、おばちゃんしかいない。
え?
おばちゃん知らないよ。おばちゃん、あの日は荷星しか見てないんだからね。
しかしゲートのカメラは2人通ったことを示している。
うん、まあそういうことになるね。
認めましたね。
どういうことですか、証人。
うう...おばちゃんに聞かれても。
私に聞かれても分かんないわよ。
ちょちょっと、みっちゃん、助けてちょうだい。
みっちゃん、御剣検事のことですね。
え?か、勘弁していただく。
やめてくださいよ。私も知りたい。
ふんっ。可愛げのない子だよ。
子供?
どうしましたか、証人?
そ、そうだった。あ、隠してたわけじゃなくて、本当に忘れてたんですね。
今思い出したみたいです。
そ、そうだった。おばちゃん思い出しちゃったよ。
もしかして、このトノサマンの他に誰か通った人がいたのですか?
う...うん、まあそういうことになるのかね。
ふぅ。やれやれ。では証言を。はい。
おばちゃん、その日の警備が終わると、もうひと仕事あるの。
もう1つ仕事がある。
パソコンに記録された写真をチェックするんだけどさ。
怪しくない写真のデータは、おばちゃん消しちゃうのよ。
うーん、何をもって怪しい怪しくないって判断しているのかも、ちょっと分かりませんけど、
ま、おばちゃんが見て「あ、この写真は怪しくない、この人は怪しくない」と思ったらデータを削除しちゃう。
そういえば事件の日、1枚消した覚えがあるよ。
そんな大事なことを忘れてたんですね。御剣も怒ってます。
証人、そんなこと初めて聞いたぞ。
そりゃそうでしょ。今思い出したんだからさ。
と、とにかく、成歩堂くん、尋問を。
なんかまたすごいことになってきたね。
はい、尋問開始します。
えっと、これはまあいいですね。
パソコンに記録された写真をチェックする。
怪しくない写真のデータは消しちゃうのよ。
これについてちょっと詳しく聞きましょう。
その消した1枚には誰が写っていたんですか?
ファンだよ。
ファン?
トノサマンのさ、熱狂的なね。
リハーサルの情報をどこからか仕入れてきて、うろちょろする連中がいてね。
うろちょろする人たちがいてね。
あの日も一人...。
ちょっと待ってください。さっき証人はこう言ったはずです。
撮影所の正門には鍵をかけたから、誰も入ってこなかった。
確かに。
いやねぇ。スタッフエリアにさ、排水溝があるんだけど。
ありましたね。排水溝の網が外れてましたよね。うん。
あそこ、金網が外れちゃっててね、あれ外につながっててさ、あそこから入ってくるんだよ。
なんで修理しないんですかね。
あ、あんなところから入ってくるんですか?
言ったろ?相手は熱狂的なファンなの。ものすごいファン。
それに...。それに?子供だからね。
子供だから、あの小さい排水溝の穴から入ってくることができた。
こ、子供?
じゃ、じゃあおばちゃんが消した写真に写ってたのは?
男の子だよ。小学校2、3年生ぐらいの。
なるほど。ま、子供だから、そんな小さい子供が変なことをする可能性はないと思って、怪しくないって思って消したんですね。
でもそれを言ったら、トノサマンの写真の方が怪しくないですよね。
だってトノサマンは、その撮影所でその日リハーサルがあるんだから、防犯カメラに写っていても全然怪しくないじゃないですか。
なのになんでトノサマンの写真は消さなかったんだろう。
その事件が発覚する前に消したのか、後に消したのかも、ちょっとわからないですけど。うん。
えー。
せ、静粛に、静粛に。もう一度確認します。
あの日、証人の目の前を通ってスタジオに向かった人物は2人。
1人は足を引きずったトノサマン、そしてもう1人は小学2、3年生の男の子。
そうだよ。いつものことでさ。
ああ、小さい子供が来るっていうのは、しょっちゅうあることなんですね。だから怪しいと思わなかった。
追っかけても捕まりゃしない。
小学2、3年生の少年か。
凶器のトノサマンスピアーを扱うのは無理だろうな。
無理でしょう。あれは結構重いですから。
ね、関係ないだろ?事件とは。
だからおばちゃんデータを消しちゃったんだよ。
うん。あ、やっぱり事件発覚の後にデータを消したのかな。
ねえ、ナルホドくん、どういうこと?
犯人の候補がもう一人登場したんだよね?
犯人の可能性がある人物がもう一人現れたんだよね?
そして今、早くも退場していくところだ。
犯人の可能性がある人物、犯人の候補が一人現れたと思ったら、小学生だからありえないって言って、早くも、すぐに退場していってしまう。
ここで5分間の休憩をとります。
弁護側、検察側とも、ただいま明らかになった事実を検討していただきたい。
被告人第三控室です。
ニボサブさんが出てきました。
は、はい。本当に楽屋にいたんですね?
スタジオには行ってませんね?
うん、確認をしています。
あの、行ってません。その、寝てました。
じゃあ写真に写っていたトノサマンは誰なのかなぁ。
知りませんよ、そんなの。
トノサマンの着ぐるみは楽屋の隅に置いておいたので、持っていこうと思えば誰でもできたと思いますけど。
ふーん。楽屋に置いてたんですね。
じゃあ楽屋の鍵を閉めずに寝てたのかな?
えー、なんか不用心ですね。
不用心っていうのは、例えばちゃんと閉じまりをしていない、鍵を閉めてないとか、貴重品、お財布とかを、ぽんってそこら辺に置いてるとか、
そんな風に、ちゃんと気をつけていない。
不用心ですね。
まさか着ぐるみなんか盗む人もいないと思いまして。
あの、僕どうなんでしょうか?
かなりやばいと思いますよ。
弁護人がそんなこと言っちゃっていいんですか?
え?
今のところ犯人はあなたしか考えられませんから。
そんな!どど、どうするの?ナルホドどくん。とにかく時間を稼ごう。
うん、ちょっと時間を稼いで、もうちょっといろんなことを調べて検討しよう。
荷星さんの他に犯行が可能だった人物を、無理やり指摘するんだ。
なるほど。
もうこのままだと荷星さんが犯人ってなっちゃうから、無理やり誰か別の容疑者を仕立て上げて、それでもうちょっと時間をかけて裁判ができるようにしよう。
で、その間に荷星さんが犯人じゃないっていう証拠をいろいろ集めればいい。
そういう考えですね。
そうか。それでごねて、明日まで判決を延ばすんだね。
ごねるっていうのは、なかなかこう...すぐに納得しないで、「いや、でも...でも...」って言ってしつこく言うこと。
ごねて、判決、有罪無罪っていう判決を、今日出させないようにする。
明日まで延ばす。
そういう作戦です。
そう、指摘を間違えると多分アウトだ。
な、なんか苦し紛れに聞こえますね。
いや、実際、紛れもなく苦しいんですよ。
本当に苦しいんです。今苦しい状況なんです。他に方法がない。
あ、ナルホドくん、時間だよ。
じゃあ行こうか。ふぅ。
た、ため息をつかないでください。
誰が怪しいって指摘すればいいんだろう。
おばちゃんかスタッフの女性しかいないですよね。
では審理を再開します。
検察側の意見は簡単だ。
状況は何も変わっていない。
スタジオに行った2人目の人物は10歳ぐらいの少年だった。
確かに写真は決定的な証拠にはならないが、他に犯行が可能だった人物はいない。
荷星三郎に有罪判決を。
ふむ。では、成歩堂弁護士、意見をどうぞ。
弁護側の意見は、検察側とは違います。
犯行が可能だった人物は被告人の他にもいました。
静粛に。それは面白い。早速聞かせていただきます。
ただし、関係ない人物を犯人呼ばわりした場合、それなりのペナルティーを与えるので、そのつもりで。
えー、ちょっと怖いですね。ペナルティーが与えられる。
慎重に行かないといけません。
しっかり釘を刺されてしまった。
釘を刺される、警告される。
「これをやったらいけませんよ」ってことを念を押される。はい。
被告人荷星さん以外に犯行が可能だった人物とは?
スタッフの女の子か、小学生の男の子か、おばちゃん。
うん、小学生の男の子は違いますよね、さすがにね。
スタッフの女の子かおばちゃん。
えっと、検察側は、そのトノサマンの着ぐるみを着ていた人物が足を引きずっていたっていうことを根拠に、あれは荷星だって言ってるわけですよね。
で、スタッフの女の子は、えっと、荷星が怪我をしたところを見てないって言ってました。
大道具の片付けをしていたから。
荷星が怪我をしていたことを知ってるのはおばちゃんだけなんですよ。
だから、あれが荷星さんじゃないとして、荷星さんのフリができた人物は、今のところおばちゃんしかいませんよね。
ということで、おばちゃんにしてみます。
警備をしていたおばちゃんですよ、もちろん。
な、なんだって?
この写真のトノサマンは足を引きずっている。
つまり、午前中の打ち合わせで荷星さんが怪我をしたことを、この人物は知っていたことになる。うん。
被害者と荷星さん以外に、その怪我を知っていたのは一人。
おばちゃんしかいません。
静粛に。静粛に。そ、そうなんですか?おばちゃん。
き、気安くおばちゃんって呼ぶんじゃないよ。
さっきは「おばちゃんって呼んで」って言ってたのに、そんな気安く、馴れ馴れしく呼ばないで。
おばちゃんは正門の前で一人で警備をしていた。
逆に言えば、それはアリバイがないということです。
確かに。
少しの間、持ち場を離れ、仕事をする自分の担当の場所を離れて、トノサマンの着ぐるみを盗んで、殺人現場の第一スタジオに行くことができたはずです。
なぜわざわざ着ぐるみを着たんですか?
簡単なことですよ。ゲートのカメラに写真を撮られないようにするためです。
着ぐるみを着れば、荷星さんに罪をかぶせることができる。
な、なるほど。見事な推理です。
よしよし、大成功だな。
ん?
おかしいな。
いつもならこの辺で、御剣のやつ、シャキーンと異議を申し立てるはずなのに。
いかがですか?御剣検事。
考えてます。
今のところ、気の利いた意義が思いつかない。いい感じの意義が思いつかない。
ちょ、ちょ、ちょっと、どういうことよ!みんなおばちゃんが犯人だって言うの?
みっちゃん、黙ってないで助けなさいよ。
さて、どうする?追い討ちをかけておくか。
追い討ちをかける。さらにおばちゃんを追い詰める?もしくは、かわいそうなのでやめる?
うーん、どうしよう。追い討ちをかけておきますか。
荷星さんを犯人とする根拠は、そのままこのおばちゃんにも当てはまります。
どうしておばちゃんが衣袋ちゃんを?
ま、確かに動機はなさそうですよね。
動機が不明という点では、荷星さんも同じでしょ?
ふむ、その通りですね。
これでおばちゃんも容疑者の仲間入りだな。
ちょっと気の毒だけど、ちょっとおばちゃんには悪いけど、荷星さんのためだ。
待ちなよ。
あのスタジオに行ったもう一人はどうなるんだい?
おばちゃんが写真のデータを消しちゃった子供さ。
でも小学校2、3年生の少年なんでしょ?
関係ないね。
さっきまでは、事件には関係ない、怪しくないから削除したって言ってたのに、自分が容疑者にされたから、今度はあの少年も関係あるって言い出しました。
おばちゃん、その頃には、もうお父ちゃんには負けなかったよ。
自分が小学校2、3年生の頃には、父親に負けないくらい力があった。
ふむ。いかがですか?弁護人。
その少年は犯人ではありません。
何言ってんだよ。子供だからって、差別は良くないと思うね、おばちゃんは。
証拠もあるんですよ。
な、なんだって?
それでは見せていただきましょう、少年が犯人ではないという証拠を。
あ、それは、うん、これですね、このカードキー。
カードキーがないとスタジオには入れません。
少年がカードキーを持っているはずはないので、これを持っていないから少年は犯人じゃない。
殺人現場は第一スタジオ。ここに入るにはカードキーが必要です。
部外者である少年がカードを持っているはずがない。
なるほど。どうですか?証人。
むむむ。
さすがに返す言葉もないみたいだな。
本日の審理はここで中断したいと思います。
検察側はこの証人、えーっと名前なんでしたかな。
大場某だったと記憶している。大場なんとかさんだったと記憶している。
検察側は大場さんの取り調べを行うように。
おばちゃんも容疑者として取り調べを受けます。
では本日はこれにて閉廷。
ちょっと待っとくれよ。
そこまで言われちゃ黙ってらんないわね。
おばちゃん喋っちゃうよ。
まだなんかあるんですか?
あのおばちゃん、まだ喋る気なの?
証人、どういうことですか?
何か証言していないことがあるのですか?
実はおばちゃんね、口止めされてたことがあるのよ。
口止め、言っちゃダメって言われてたことがあるの。
誰に?
く、口止めですって?い、一体誰に?
あれ?御剣じゃないのか。御剣も知らない情報がいろいろ出てきます。
とにかく証言をしなさい。
はい、おばちゃんが口止めされていたこと。
おばちゃん、英都撮影所から口止めされていたことがあるのよ。
撮影所から口止めされていた。
事件があった日、実はあの撮影所には他にも人がいたのよね。
その人たち、「我々は事件に関係ないから」だってさ。
「撮影所にはいなかったことにしてくれたまえ」なんて言って。
おばちゃんが疑われるんなら、あいつらも巻き込んじゃおうかね。
ほう、他にも人がいたって言ってます。
しょ、証人、なんでそんな大事なこと、今まで言わなかったんですか?
だから、口止めされてたんだから、しょうがないでしょ。
「とほほ」と思っているに違いないな。
成歩堂くん、尋問。
はい。
とりあえず揺さぶっていきます。
口止めですか?
そうだよ。撮影所やテレビ局のお偉いさん連中だよ。
偉い人たち、上の人たちから口止めされてた。
聞いてないぞ、我々は。
そりゃまあ、みんなで隠してたからね。
事件があった日、実はあの撮影所には他にも人がいたのよね。
それは誰ですか?
まず監督とプロデューサー。
監督?おかしいと思うべきだった。
監督なしでアクションの打ち合わせなど。
うん、確かに、監督なしでね、役者2人だけで打ち合わせとかするわけないですよね。
するはずがない。そりゃそうよね。
彼らはどこにいたんですか?
監督は、午前中はスタッフエリアで打ち合わせ。
お昼からはプロデューサーと合流して会議してたみたい。
どこで?
第2スタジオのコテージでね。
だ、第2スタジオ?
初耳だぞ。初めて聞いた。
上面図で言うと、ここだね。ゲートを通って左にずっと行ったところ。
あの、猿の首が落ちていた方面か。
どうですか?成歩堂くん。まだ尋問しますか?
聞くべきことは聞いたと思うけど、どうしよう。尋問を続けます。
その人たち、「我々は事件に関係ないから」だってさ。
おばちゃん、殺人事件なんですよ。
わかってるわよ。でも話を聞くと確かに事件とは関係なさそうだったし、ちょっとお小遣いももらっちゃったんでさ。
おばちゃん、お金を受け取ってたんですね。
でも怪しいですよね。お金まで渡して口止めするって、怪しいですよね。
お小遣いもらって結局バラしちゃうんだからな。
聞くべきことは聞いたと思うけど、どうしよう。
いや、もうちょっと聞きたいです。
そうだな、集められるだけ情報を聞き出しておくか。
はい、全部揺さぶります。
あ、さっきと一緒ですね。はい。
うーん。ここ、揺さぶりましょう。
実際には撮影所にいたわけですね。
ああ、一日中ね。
事件を知って、警察が来る前に慌てて帰っていったよ。
それも怪しいですよね。
後で締め上げてやるぞ。
締め上げる。まあ厳しく言ってやるぞ。
御剣検事もご立腹か。
ご立腹っていうのは、怒っている、腹を立てているということですね。
はい、ここも揺さぶります。
あいつら?それは誰ですか?
まず監督とプロデューサー。
これもさっき聞きましたね。うん。
彼らはどこにいたんですか?あ、これもさっき聞いたね。
うん、同じ話の繰り返しになってます。
うん、もういいかな。
ちょっとね、これ以上尋問しても、同じ話しか出てこないので、尋問をやめます。
裁判長、英都撮影所には、事件当日、他にも人がいました。
監督にプロデューサー、そして、えっと、お偉いさん。偉い人。
彼らは取り調べも受けていない。
この時点で被告人荷星さんに判決を下すことは不可能です。
うん。ふむ、弁護人の主張を認めます。
検察側は、まずこの証人、大場さん、そして証言に出てきた人たちを取り調べるように。
了解した。わかりました。
本日の荷星三郎の審理はここまでとします。
では、本日はこれにて閉廷。
はい、容疑者が増えましたね。
本当にありがとうございました。
ま、まだ荷星さんの無実が証明されたわけじゃないですけど、でも、すぐに有罪という判決は出なかったので、ちょっと安心してますね。
あなた方に依頼したのは大正解でした。
いやいや、恐縮です。なーんて。
僕たちは、これからまた撮影所の方へ調査に行きます。
例の監督やらプロデューサーやらを調べなくちゃ。
きっと彼らは次の法廷で証人として出てきます。
尋問の材料を集めないとね。
でもさあ、ナルホドくん、結局トノサマンの中に入っていたのは誰だったんだろう?
あのおばちゃんだったのかなぁ。
どう思います?荷星さん。
違うと思いますよ。
あたしも違うと思うな。
だ、だからあれは、時間を稼ぐために、おばちゃんに悪役になってもらっただけだからね。
真宵ちゃん驚いてる。うーんと、そうですね。
おばちゃんじゃなくて、監督とかプロデューサーの方が怪しそうですよね。
お金を払ってまで、おばちゃんに口止めをしていたんだから。
ちょっとかわいそう。
ま、いいだろう。
じゃあ、僕たちはすぐ英都撮影所に行きますから。
また後でお邪魔しますね、留置所に。
うん、まだ留置所からは出られないですね。
はっ、恐縮です。
はい、つづく。
はい、ということで、犯人の候補が増えたので、またいろいろ調べていかないといけませんね。
じゃあまた、続きは次回やりたいと思います。
じゃあ今日はここまでです。
またね!
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