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こんにちは。
前回の動画では、京アニ放火殺人事件の概要と、犯人の生い立ち、事件に至る経緯について詳しくお話ししました。
前回の動画でも少し触れた通り、この事件の背景には日本社会が抱える構造的な問題、社会のシステムの問題があるんじゃないかという議論もあるんですね。
ま、どんな背景があったとしても、当然多くの無関係な人の命を奪う理由にはなりません。
亡くなった京アニの社員の人たちには何の罪もないわけなので、もちろんどんな理由があっても犯人を擁護したり、犯人のしたことを正当化することはできません。
ただ、こういう事件が二度と起きないようにするためには、これをきっかけに、社会のシステム、
社会の在り方を見直していく必要があるんじゃないかという意見もあります。
今日はそこの部分について詳しく考えてみたいと思います。
この事件の背景を考える上で、重要なキーワードがいくつかあります。
まずは1つ目、ロストジェネレーション、通称ロスジェネと呼ばれる世代です。
失われた世代と言われる時もあります。
日本は1980年代後半から1990年代の初め頃まで、バブル経済期と言って、ものすごく景気のいい時代がありました。
でも1990年代にバブルが崩壊してしまって、一気に不況に陥ります。
そうすると、企業としては新しい社員をなかなか雇えないですよね。
社員の人数を増やすことができません。
なのでその時代、就職が一気に厳しくなりました。
就職することがすごく難しくなりました。
1990年代の話です。
この時期は「就職氷河期」と呼ばれていて、この時期に高校や大学を卒業して社会に出た若者たちは、正社員の仕事に就くことがとても難しかったんです。
その世代の人たちのことを、ロスジェネ世代、もしくは失われた世代って呼びます。
今だいたい40代、私よりちょっと上の世代の人たちです。
私が就職した頃は、多分就職氷河期が終わって、少し就職しやすくなった頃だったと思います。
京アニの犯人青葉被告もまさにこの世代の人です。
当時、多くの若者が非正規雇用の道を選ばざるを得ませんでした。
非正規雇用。これは前回の動画にも出てきましたね。
正規の雇用ではなくて、バイトとか派遣とか契約社員とか、そういう非正規の雇用形態で仕事に就く、そういう若者が多かったんです。
この頃いわゆるフリーターと呼ばれる、正規の職につかずにアルバイトで生活をする若者が増えました。
非正規雇用だと、給料は安いですし、ボーナスもないし、保障もないし、昇進、キャリアアップすることも難しいです。
なので生活が安定しないですよね。
経済的に不安定な状況になります。
生活が安定しないために、結婚することや子供を持つことも経済的な理由で諦めざるを得なくなって、将来への夢や希望を持てない。
そんな若者が増えました。
まず青葉被告が社会に出た頃というのは、そういう時代だったんですね。
次がリーマンショック、そしてそれに伴う派遣切りです。
2008年にリーマンショックが起きました。
それによって世界の経済に影響が出ましたよね。
世界的に不況に陥りました。
当然日本もです。
リーマンショックは正規雇用の人よりも、非正規雇用の人々に大きな影響を与えました。
企業の業績が悪化すると、経費を抑えるために、従業員の人数を減らしたいですよね。
社員を切らなくちゃいけない。
リストラしなくちゃいけない。
そうなった時に真っ先に、一番に切られたのは、アルバイトや派遣社員、契約社員などの非正規雇用の人たちでした。
この頃、大量の派遣の人たちが首になったことを、「派遣切り」という風にも呼びます。
この時、多くの非正規雇用の人たちが、職を失い、住む場所を失い、路頭に迷いました。
「ネットカフェ難民」といって、家賃を払えないから、ネットカフェに寝泊まりする人が増えました。
ホームレスになる人も増加しました。
さっき話したロスジェネ世代、就職氷河期で正社員になれなかった人たち。
この人たちは、30歳前後の時にリーマンショック、派遣切りを経験します。
就職氷河期で安定した職に就けなくて、もともと生活が不安定だった人たちが、職を失い、さらに貧困、そして孤立した状況に陥っていきました。
そういった人たちが、いわゆる被告が自分自身のことを指して言っていた社会の「底辺」に置かれていったんです。
社会的に弱い立場に置かれていきました。
青葉被告もまさにその中の1人だったんですね。
そして、青葉被告が大きな影響を受けたという秋葉原の事件の犯人も、そんな派遣切りにあった人の1人でした。
そして、これ3つ目のポイントになるんですが、日本の社会というのは、一度"底辺"、まぁ底辺とまでは言わなくても、
一度ちょっと躓いてしまった人の再起、再チャレンジが難しいという問題もあります。
日本の社会って、うーん...何て言うんだろう。幸せの正規ルートみたいなものが存在するような気がするんです。
みんなが歩むべき幸せのルート。
ま、今、この令和の時代は、「そんな、みんなと同じルートをたどらなくてもいいんだよ」
「幸せって人それぞれだよ」みたいな考えが広まってきてるとは思うんですけど、
ロスジェネ世代が若者だった頃は、「幸せってこれです」みたいな社会の共通認識みたいなものがあったんです。
具体的に言うと、ちゃんとした学校を卒業して、正社員として安定した仕事について、結婚して子供を持って家を建てて...みたいな、そんな幸せの正規ルート。
そして一度そこから外れると、そのルートに戻るのがすごく難しい。
そんな現実があります。
つまり、学校をちゃんと出なかった人は、安定した職に就くのも難しいし、安定した職に就けなかった人は、結婚も難しくなるし。経済的な理由で。みたいな。
なので、日本の社会は一度ちょっと躓いてしまった人に対して、とても厳しい社会だっていう指摘があります。
再起、つまり再チャレンジが難しい。
だから京アニ事件の青葉被告の場合は、もともと不遇な子供時代を過ごしてきたんですが、
そこにさらに就職氷河期もあり、リーマンショックもあり、そういった理由から貧困に陥って社会的に弱い立場になってしまった。
そうすると、下からはなかなか這い上がりづらいという日本の社会構造もあって、「もう自分は何をしたってダメなんだ」
「もうここから這い上がることは無理なんだ」という風に追い詰められていった部分もあったんではないかと思います。
そしてもう1つ、最後のキーワードは「無敵の人」です。
この言葉、聞いたことありますか?
無敵の人。
無敵というのは、本来の意味は敵がいない、強いってことですよね。無敵。
でも近年、特にネット上ではこの「無敵の人」というのがちょっと違う意味で使われています。
どういう意味かというと、社会的にも何も失うものがないので、躊躇なく犯罪を犯してしまう人という意味です。
躊躇するっていうのは、「あ、どうしよう...やろうかな...やっぱりやめとこうかな。ああ、どうしよう...」って考えることですね。
躊躇する。
無敵の人は何も失うものがないので、躊躇なく犯罪を犯してしまいます。
つまり、もし私だったら、私は今、自分にとって大切な失いたくないものがたくさんあります。
家族もそうだし、CIJだってそうです。
失いたくないです。
そういう家族とか友達とか仕事とか、趣味もそうかもしれない。
あと社会的な地位とか。
そういうものが何か1つでもある人は、それがある意味犯罪を抑止してくれますよね。
つまりブレーキをかけてくれます。
私が万が一、万が一ですよ。
何か犯罪を犯そうとしたとしても、それにブレーキをかけてくれるような要素がいくつもありますよね。
こんなことしたら子供にも会えなくなるとか、こんなことしたら今まで頑張ってきたCIJをもう続けられなくなるとか。
失いたくないものがあるから踏みとどまれますよね。
一歩先に行かずにそこで踏みとどまれますよね。
でも、仕事もない。例えば家族ともも不仲。友達も恋人もいない。社会との繋がりもない。
何のコミュニティにも属していない。
そして夢もないってなると、もう失うものが何もないんですよ。
どうせ自分には失うものなんてないからもういいや、犯罪者になったって構わない。
やけくそになってしまう。
そういう人のことをネット上のスラングで「無敵の人」と呼ぶそうです。
京アニ事件の被告もまさに無敵の人でした。
仕事もない。守りたいキャリアもない。家族とは疎遠。友達もいない。恋人もいない。
社会との関わりもなく、引きこもって1人ゲームをする毎日。
で、唯一の希望だったのが小説でした。
京アニのコンテストに送った小説。
前回の動画で話しましたが、被告自身も小説が最後のつっかえ棒になっていたと言っていましたよね。
それがもう最後の支えだった。
でもそれすら、被告の目から見ると、妄想もかなり混じっていますが、被告に言わせると、その最後の支え、最後の希望だった小説すら京アニに奪われてしまった。
盗作されて奪われてしまった。
そこでもう完全に無敵の人になってしまったんです。
無敵の人の話はこれにもちょっと出てきたんですけど、私はこれを読みながら、果たして今のこの日本に「無敵の人予備軍」
予備軍っていうのは、つまり、もうあと一歩で無敵の人になりそうな人。
無敵の人予備軍が一体どれだけいるんだろうって考えたりしました。
この、人との対面でのつながりが薄くなってきた日本。日本だけじゃないかもしれないですけど。
そして不正規雇用の人が増加して、裕福な人と貧困に苦しむ人の格差がどんどん広がる日本。
そしてちょっと人と違うと排除されてしまう、そんな雰囲気を感じる時もある日本。
そんな中で、なんとか一歩手前のところで、無敵の人になるのを踏みとどまっている人たちがどれだけいるんだろうって、
ちょっとね、この本を読みながら考えてしまいました。
例えば、大事な誰かの存在のおかげでなんとか踏みとどまっている人。
アイドルの推し活とかもそうだけど、何か自分がハマれる、夢中になれるものが1つあるおかげでなんとか踏みとどまっている人。
給料は少なくて生活は苦しいけど、でもやりがいのある仕事だから、なんとか踏みとどまっている人。
そういうギリギリのところで自分を保って生きている人が、この社会にどれだけいるんだろう...
みたいなことを、なんかこの本を読みながら、ちょっと考えてしまいました。
無敵の人をできる限り作らない社会になるといいですね。
そのために社会的なセーフティーネットの必要性が叫ばれています。
例えば、前回の動画で出てきた生活保護もそうですし、安くで住める公営住宅の整備。
国や自治体が管理する住宅ですね。
公営住宅の整備、それから雇用のセーフティーネット。
ちゃんとみんなが安定した正規の仕事につけるような制度。
そういったセーフティーネットの整備の必要性が叫ばれています。
はい、ちょっとね、この本に書かれていたロスジェネ世代の、なんだろう...データを紹介しますね。
ここには「就職氷河期世代は時代の犠牲者」っていう風に書かれています。
日本の社会の中でも非常に貧困な階級、アンダークラスと呼ぶそうなんですが、そのアンダークラスと呼ばれる低所得層、
所得のすごく低い層の人たちっていうのは、2020年時点で日本に約1100万人いると見られています。
日本の人口が1億2千万人ぐらいなので、10人に1人ぐらいは低所得層なんですね。
その低所得層のうち、そのロスジェネ世代ですね、今の40代ぐらいの、40代50代ぐらいの人たちを分析すると、
男性の年収は平均230万円。
これも多分男性ですね。男性のうち未婚率、結婚していないのが80%、そして子供がいる人は15%にとどまっています。
その人たちは今もう結構ね、中年ですよ。40代50代ですけど、退職金、日本は会社にもよるんですけど、正社員で勤めていたら、ずっと正社員で勤めていると、
退職金といって、退職する時、リタイアする時に結構まとまったお金がもらえるんですね、会社から。
そういったものもない。
で、将来おじいちゃん、おばあちゃんになったら年金がもらえるじゃないですか。
で、多分、ちょっとそれはここには書いてないんですけど、そういった低所得層の人たちは払ってきた年金が額が低いから、
多分将来貰える年金の額も低いんですよね。
だから年収が低くて、当然多分その時その時暮らしていくので精一杯だから貯金もあまりないと思います。
退職金ももらえません。
年金も少ないです。
そういう人たちがあと10年20年したら高齢者になるわけですよね。
ただでさえ今日本って少子化で、少ない若者がたくさんの高齢者を支えていかなくちゃいけない社会なのに大変なことですね。
はい、ここにも2030年以降、高齢のアンダークラスが大量に社会に生まれていくって書かれています。
その人たちの支援も大切ですと。
こうした人々が働けなくなれば、速やかに生活保護を受けられる支援も大切です。
うん、本当にね、少子化で若者たちだけで支えていくには本当に無理がある。その若者たちも非正規雇用の人が多いんですから。
ね、今の若い人たちも生活が苦しくて、未来に希望を持てない。経済的な理由で家族を持つことを諦めたりとか、そういう人たちが増えている中、
日本はどうなるんでしょうか...みたいなこともちょっと考えてしまいました。
明るい未来が待ってるといいなと思います。
子供たちのためにもね。
はい。
皆さんは京アニ事件の概要、それからその背景にある日本社会が抱える問題について、どんなことを感じましたか?
皆さんの国にも同じような社会問題はありますか?
それから皆さんの国でも同じような背景で起きてしまった事件はありますか?
ぜひよかったらコメントで教えてください。
じゃあ今日はここまでです。
Kyoto Animation Arson Attack #1: https://nihongo-jikan.com/videos/684 References: 『ルポ 京アニ放火殺人事件』朝日新聞取材班 - https://www.amazon.co.jp/dp/4023323810