
この人、見たことありますか?知っていますか?この人の名前は芥川龍之介といいます。
今は令和です。令和、平成、昭和、大正、明治。この芥川龍之介は明治時代の人です。
明治時代の代表的な、有名な、小説家です。日本を代表する有名な作家です。
彼は特に、短編小説といわれる短い小説をたくさん書いていた作家です。
彼の代表作、代表的な有名な作品には、例えば「蜘蛛の糸」「藪の中」「羅生門」「鼻」などがあります。
今日はそんな彼の代表作の1つ「蜘蛛の糸」を話したいと思います。「蜘蛛の糸」の原文、元々芥川龍之介が実際に書いた文章は、ちょっと難しいです。
今日はちょっと簡単な言葉、易しい言葉に言い換えて話したいと思います。
それでは始めます。蜘蛛の糸。
ここは極楽です。極楽というのは簡単に言うと天国のような場所です。仏教では人は亡くなると極楽に行くと言われています。
ここは極楽です。池があります。蓮の花がたくさん咲いた池があります。お釈迦様がこの蓮池の周りを一人で散歩していました。
真っ白な蓮の花からいい香りがします。いい匂いがします。極楽は今、朝です。散歩をしていたお釈迦様が立ち止まりました。
立ち止まって蓮の葉の間からふと下の様子を見てみました。
この池の下には実は地獄があります。地獄です。
地獄とは、生きている間に罪を犯した人、悪いことをした人が死んだあとに行く場所です。
蓮池を覗くと、地獄の様子がよーく見えます。三途の川が見えます。
三途の川とは「この世」、生きている人が住んでいる世界「この世」と「あの世」、死んだ人が住む世界「あの世」の間を流れる川です。
地獄にはこの世とあの世を分ける三途の川が流れています。
それから針の山も見えます。これが針です。先が尖っていて刺さると痛いです。針が植えてある針の山です。
それから血の池も見えます。血でできた池です。
地獄では生きているときに罪を犯した罪人たちが、針の山を歩かされたり、血の池に沈められたりして苦しんでいます。恐ろしい場所です。
その中に犍陀多という男がいました。この男は生きているときに人を殺したり、家に火をつけたり、たくさんの罪を犯した悪者です。
でもそんな犍陀多も、たった1つだけ良い行いをしました。それは小さな蜘蛛を助けたことです。
ある時、犍陀多がまだ生きていた頃、林の中を歩いていると1匹の小さな蜘蛛がいました。
蜘蛛を見た犍陀多は思わず足で踏もうとしました。足で踏み殺そうとしました。
でも「こんな小さな蜘蛛にだって命がある。殺すのはかわいそうだ」と思って踏み殺すのをやめました。
これがたった1つ、犍陀多が生きているときにした善い行いでした。お釈迦様は犍陀多の姿を見てそのことを思い出します。
悪いこともしたけど、いいこともした。この男を地獄から助けてやろう、地獄から救い出してやろうと思いました。
お釈迦様が横をみるとちょうどそこに蜘蛛がいました。蜘蛛が糸を出しています。
お釈迦様はそっとその蜘蛛の糸を手にとって地獄に下ろしました。するするするーっと地獄に糸を下ろしました。
犍陀多はというと、地獄で苦しみもがいています。犍陀多がふと頭を上げて上を見ると、蜘蛛の糸がするするするっと自分のところへ下りてきます。
犍陀多はこれを見て喜びます。
この糸を登っていけば地獄から抜け出せるかもしれない、もし上手く行けば極楽に行けるかもしれない、そう思って蜘蛛の糸を握って登り始めました。
地獄から極楽はものすごく遠いです。登っても登っても登っても登ってもなかなか辿り着きません。
犍陀多はとうとう「はぁー」疲れて途中で少し休憩することにしました。糸の途中にぶら下がって下を見てみます。
すると地獄が遥か遠くに見えます。犍陀多は「よし、これで地獄から抜け出せるぞ」と喜んでいました。
ところがふと気がつくと、犍陀多の後をつけて大勢の罪人たちが登ってきていました。
糸はこんなに細いんです。こんなにたくさん登ってきたら糸が切れてしまう、そしたらまた地獄に落ちてしまう、
そう思った犍陀多は、罪人たちに向かって大声で言いました。「この蜘蛛の糸は俺のものだ!お前たちは下りろ!」
犍陀多がそう言った途端、ぷつんっ!糸が切れて犍陀多も他の罪人たちも真っ逆さまに、地獄に落ちてしまいました。
お釈迦様はその様子を全部、最初から最後まで一部始終、見ていました。
お釈迦様は犍陀多が落ちていく姿を見ると悲しそうな顔をして、また歩き始めました。
犍陀多は、自分だけが助かろう、自分だけ地獄から抜け出そうという自分勝手な考えをしていました。
自分のことしか考えていない、他人のことは考えていませんでした。その罰として地獄に落ちてしまったんです。
そんな様子を見てお釈迦様は悲しい気持ちになったんでしょう。
極楽の蓮池の蓮はそんなことは気にせず、美しく咲いて、いい匂いを漂わせています。極楽はもう昼です。
蜘蛛の糸のお話でした。おしまい。
Original text - https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html