
Correction
こんにちは。
今回の上級の動画では、この本を紹介したいと思います。
「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼」という、とっても長いタイトルの本です。
ここにえっと、見えますかね、「ゆる言語学ラジオ」とありますけど、ゆる言語学ラジオっていうのは、ユーチューブチャンネルの名前です。
知ってる方いますか?
ユーチューブだけじゃなくて、ポッドキャストもあります。
これ、私のすごく好きなユーチューブチャンネルです。
とっても面白いし、面白いだけじゃなくて勉強にもなります。
どういうチャンネルかちょっと紹介すると、堀元さんと水野さん、この男性2人でやってるんですけど、
この水野さんという方が、あの、言語オタクで、もう子供の頃から言語にすごく関心があって、
例えば辞書、こんな分厚い辞書を通読っていって、最初から最後まで通して読むぐらい言語が好きらしいんですね。
そして、えっと、大学では言語学を専攻して、で、今は出版社で編集者をしているという、もう筋金入りの言語オタクです。
堀元さんの方は、もともと専門は情報工学、コンピューター関係が専門で、言語に関しては素人です。
で、言語オタクの水野さんが言語学をあんまり知らない堀元さんに対して、言語学にまつわる面白い話を色々説明するというような内容のチャンネルです。
でも、言語学と言っても、学者さんが、専門家の人がこう説明するみたいな堅い話じゃなくって、
ちょっと笑いを交えながら、面白いことも言いながら、言語学にまつわる話をしていくというスタイルです。
そんな感じで堅苦しくなく、ゆるく楽しく言語学について話すチャンネルなので、ゆる言語学ラジオっていう名前がついてます。
で、このお2人、お2人ともものすごい読書家なんですね。
すごく本をたくさん読む方たちなので、ものすごい知識が豊富なんですよ。
うんちくがすごいんですよ。
うんちくっていうのは、雑学ですね。
いろんなことを知ってます。
本当に多岐に渡るいろんな分野の知識が豊富で、それをまた真面目にではなくて面白く話してくれるんですよね。
だからすごく笑えるし、同時にいろんな知識もつくしで、とても面白いチャンネルです。
ま、ちょっと内容とか話すスピードとかは、本当に普通にネイティブ向けなので、結構難易度は高めかなとは思うんですけど、
ま、興味がある方は是非チャレンジしてみて、感想を教えてください。
で、ですね、そのユーチューブ、ポッドキャストをされているお2人が去年本を出したんですよ。
去年の春ぐらいかな、この本を出版しました。
で、私は最近になってこれを読みました。
タイトルに「言語沼」とありますね。
ちょっとね、このタイトルにある沼という言葉を説明させてください。
この「沼」なんですけど、沼っていうのはこういう場所ですね。
ドロドロした泥が多い池みたいなところを沼って言います。
で、沼というのは、足を踏み入れるとズボッとはまってなかなか出られなくなります。
一旦沼にはまったらなかなか抜け出せません。
身動きが取れなくなってしまいます。
動けなくなってしまいます。
それに例えて、何かにものすごく夢中になって、どっぷりハマることを、
この沼という言葉を使って「〇〇沼にハマる」とか、「沼落ちする」という言い方をするらしいです、最近の若者の言葉で。
あとはすごく面白いなと思ったんですけど、「沼る」とか「沼らせる」という風に動詞として使ったりもするみたいです。
結構アイドルとかアニメとか、そういう趣味に対してよく使われる言葉みたいなんですけど、えっと、恋愛の話をする時にも使われることがあるみたいです。
ま、多分、まあね、さっきも言ったようにどっちかというと若者言葉なので、私は使ったことないんですけど、
試しにユーチューブで「沼る」って言葉を検索してみたら、例えば「男性を沼らせる言動」とか、
「女の子を沼らせるテクニック」みたいな動画もあったりして、うん、面白い日本語だなと思いました。
なので、えっと、この本の話に戻ると、このタイトルの「言語オタク」というのが水野さんのことで、
水野さんが友達の堀元さんに、ね、ずーっと700日間ユーチューブの収録で言語学について語っていたら、
いつの間にか堀元さんも言語沼にハマってしまったってことですね。
このイラストも2人で言語の沼にハマっています。
で、さっきユーチューブとかポッドキャストの方はちょっと難しめかな、難易度高めかなって言ったんですけど、
この本の方は、おそらくこの動画を理解できるぐらいのレベルの方には結構読みやすいんじゃないかなと私は思いました。
私自身もサクサクっと1日2日で読んでしまいました。
読みやすい本です。
こんな感じで、中を見ると、まあちょっとイラストもあったりして、文字もそんなに多くないし、
えっと、堅い文章じゃなくって堀元さんと水野さんの会話形式になっているので、すごく読みやすいです。
しかもその会話も結構、例えば小説とかで出てくる会話の文体ってすごく堅くて、
実際にはあんまり言わないような言い回しも出てきたりするんですけど、
ここに出てくる会話の文体は本当に自然なので、日本語のインプットとしてもすごく、あの、いいと思います。
お勧めしたい本です。
で、今日はこの本に出てきた言語学のお話の中から、1つだけ皆さんに紹介したいと思います。
私が皆さんにご紹介したいのは、アニマシーの話です。
アニマシー。
アニマシーというのは、簡単に言うと、アニマルっぽさ、動物っぽさのことです。
日本語という言語は、動物っぽさを感じるかどうかによって、言葉を、意識せずね、無意識に使い分けているという話をしたいと思います。
まず皆さん、助数詞って何かわかりますか?
助数詞は1個とか1枚とか1匹とか、1本みたいに、物を数える時に、数字の後に付ける言葉ですね。
それを助数詞と言います。
言語によっては助数詞がない言語もあると思うんですけど、日本語はこの助数詞の種類がすごく多い言語です。
通常、物の形状、形とかによって、どの助数詞を使うかっていうのは決まってますよね、大体。
例えば長いものなら1本、2本とか、紙みたいな薄くてペラペラしたものだったら、1枚、2枚とか。
動物は小さいものは1匹、2匹だけど、大きくなると1頭、2頭みたいな。
大体こう、見た目で決まってます。
じゃあ皆さん、これはどう数えますか?
これ、犬型ロボットです。
アイボという名前の犬型ロボットです。
皆さんだったらロボット犬には何の助数詞を使いますか?
これ、この本によると、今現在、日本人にアイボをどうやって数えるかって聞いたら、1匹、2匹と数える方が多数派なんだそうです。
多くの人が1匹、2匹と数えるそうです。
私も考えてみたら、1匹、2匹と数えるのがしっくりきますね。
でも、このアイボという商品が最初に出始めた頃、発売された当初は、
実は1匹、2匹ではなくて、1体、2体って数える方が多数派だったらしいんですよ、この本によると。
体という字を書いて「たい」と読むこの助数詞は、例えば銅像とかマネキンとか、幽霊とか怪獣とかロボットみたいに、
見た目は人間や動物に近い姿形をしているけれど、人間や動物ではないものに使われます。
最初出た頃は、アイボも、形は犬っぽいけど、犬ではない。命はないですから、ロボットですから犬ではない。
なので、1体、2体と数えられてたんだそうです。
それが発売から時間が経つにつれて、みんなアイボに対して徐々に愛着が湧いてきて、ちょっとずつ動物っぽさを感じ始めました。
ロボットよりも犬に近いような気がし始めました。
更に言うと、技術の進歩によって、テクノロジーの進歩によって、アイボ自体もだんだんリアルになってきました。
犬っぽさが増してきました。
それで時が経つにつれて、徐々に1体、2体と数える人よりも1匹、2匹と数える人の方が多くなったんだそうです。
面白くないですか?
それからこのロボット。
これはソフトバンクという会社が作ったペッパーという名前の有名なロボットなんですけど、これはなんと数えるでしょうか。
これは見た目は人っぽいロボットですよね。
1人、2人と数えるでしょうか。
うーん...実はですね、このペッパーに関しては、1人、2人よりもやっぱりまだ1体、2体のほうがしっくりくるという人が多いようです。
ま、人型ロボットとはいえ、人間とはやっぱりちょっと違いますからね。
自分たち人間と同じ1人、2人という数え方をするのは、うーん...ちょっとまだ抵抗がある人がどうやら多いみたいです。
私も多分ペッパーは1体、2体って数えるかなと思います。
あ、ちなみにこれは、ほんと、人それぞれの感覚なので、あのどっちが正解とかいうわけではありません。
はい。
でもじゃあペッパーが「いる」って言うか、もしくはペッパーが「ある」って言うか、
どっちがしっくりくるかと考えると、それはなんとなく「いる」の方がしっくりくる気がします。
普通は生き物に対しては「いる」、そして生き物じゃない無生物に対しては「ある」を使いますよね。
ペッパーはどう考えても生き物ではありません。
ロボットですから命はないわけですけど、でも、まあ生き物のように動くし、喋るし、ある程度の生き物っぽさがあります。
なので、アニマシーを感じて、動物っぽさを感じて「いる」を使う人の方が多いみたいです。
ただ、ペッパーが故障して、壊れて動かなくなるとどうなるかというと、故障すると途端にそのアニマシーがなくなります。
なので、故障したペッパーは、「いる」じゃなくて、「ある」の方が自然な気がします。
こういったことは、私たちは全く意識していません。
無意識に助数詞や「いる・ある」を使い分けています。
私も意識したことがなかったです。
でも、言われてみると、確かにそうやって使い分けてるなと思いました。
もう1つ、アニマシーで「いる・ある」を使い分けている例を挙げると、乗り物です。
皆さん、普通は乗り物には「いる・ある」どっちを使いますか?
生き物じゃないですから、普通に考えたら「ある」ですよね。
でも、アニマシー、動物っぽさを感じると、私たちは乗り物にも「いる」を使うことがあります。
どんな時に乗り物にアニマシーを感じるか、わかりますか?
例えば、こんな時です。
電車がもうホームに到着して、乗客が乗り降りして、今にもまた出発しそうな時。
車掌さんが「まもなくドアが閉まります。」とアナウンスしてる。
そんな今にも動き出しそうな状態の電車には、「ある」ではなくて「いる」と言ってるんです。
不思議ですけど。
例えば「電車まだホームにいるから走れば間に合うよ。」みたいな言い方をしますよね。
あとは、駅前でお客さんを待ってる状態のタクシーなんかもそうです。
例えば、普通にタクシーが駐車場に停まっている状態だったら、タクシーを「物」と捉えるので、「ある」と言いますけど、
運転手さんも乗っていて、もうお客さんが乗り込みさえすれば、すぐにでも動き出しそうな状態のタクシーには「いる」を使います。
でも、これも当然無意識で、いちいちそれを考えて使い分けてるわけではありません。
「あ、もうすぐ動き出しそうだから、『いる』だ!」とか思ったりはしません、当然ですけど。
実は私もつい最近まで、本当につい最近まで、自分が乗り物に対して「いる」を使ってる時があることに気づいてすらいませんでした。
何ヶ月か前にめいか先生がこの「ある・いる」の使い分けを、ま、初心者さん向けに紹介する動画を作ってくださったんですけど、
この動画の中で、めいか先生が乗り物に「いる」を使う例を紹介してたんですね。
実は私、めいか先生が作ったその動画を見て、初めてそのことに気づきました。
それまでは乗り物には「ある」を使うって思ってたけど、「あ、確かにいるって言ってる時ある!」って初めて気づきました。
それぐらい無意識でした。
もう1つ、ちょっと関連したお話をすると、実はこのアニマシーの話をこの本で読んだ直後にスーパーで買い物をしてる時に、
実際に「あ、これアニマシーを感じちゃってるから、こういう言い方したんだ!」っていう、面白い日本語の使い方に遭遇しました。
ちょっとそれを紹介したいと思います。
スーパーで私が1人で買い物してた時、こんな商品がありました。
ロールちゃんという名前のロールケーキです。
この商品の前で1組の親子が立ち止まったんですね。
お母さんと高校生ぐらいの娘さんが立ち止まりました。
で、お母さんが娘さんにこう言いました。
「あ、ロールちゃんだ!買っとこっか。」そしたら娘さんが「確かロールちゃん、まだ冷蔵庫にいたよ。」って言ったんです。
私は横でその会話を聞きながら、「え、待って待って、今、ロールケーキにいるって言った?」と思いました。
アニマシーの話をこの本で読んだばかりだったので、その親子の会話がすごく気になったんですね。
なので、そのまま横で聞いていました。
そしたらお母さんも「え、まだいた?じゃあ買わなくていいか。」って、また「いる」を使ったんですね。
普通に考えたら、ちょっと変な日本語ですよね。
ロールケーキに「いる」って。
でも、うーん、きっとこの親子はロールケーキにアニマシーを感じて「いる」って言っちゃうほど、
この商品が好きなんだろうな、この商品に愛着を持っているんだろうなと私は解釈しました。
しかも商品名が「ロールちゃん」ですしね。
この名前にもちょっと生き物っぽさがあるじゃないですか。
「ちゃん」ってついてますから。
なので、そのせいもあるのかなと思いました。
考えてみると、自分も例えば自分が愛着を感じるものに対しては、物でも無意識に「いる」って言ってる時が確かにあるなと思いました。
特にうちの4歳の娘はよく使ってますね、物に対して「いる」って。
例えばですけど、うちの娘はこういうアクセサリーとかが大好きなんですよね。
でも、よく失くすんですよ。
よく失くして、いつも「あれ?どこ行った?」って探してます。
そういう時にも、例えば「お母さん、私のネックレスちゃんがいないの。」って言ったり、
探して探して見つかったら、「あ、ここにいたんだ!」って言ったりよくしてます。
ま、ちょっと実際にはどうなのか分からないですけど、うん、もしかしたら娘は、このネックレスにちょっと生き物っぽさを感じちゃうぐらい、
こう、愛着を持っているのかな、それぐらい大好きなのかなって思ったりしました。
はい、ということで、今回はアニマシーの話を取り上げましたけど、ま、この本にはそんな感じで、
無意識に使い分けてたけど、言われてみると確かに不思議だな、面白いなって思うような日本語のエピソードが他にも色々載ってます。
私は個人的にはフィラーについての話が一番面白かったです。
フィラーって、「えっと」とか、「あのー」とか、「そのー」とか言いますよね。
これがフィラーですよね。
これも何も考えずに無意識に使い分けてますけど、ちゃんとそれぞれ違った役割があって、
場面によって使えるもの、使えないものがあったり、あと、どのフィラーを使うかによって、こう、相手に与える印象が変わったりするんですって。
「えっとー」と「あのー」をどう使い分けるかなんて、今まで全く考えたこともありませんでしたが、
言われてみたら、ああ、確かに違うな、違う使い方をしてるなと思って、すごく面白かったです。
詳しい内容が気になる方は、是非本を読んでみてください。
皆さんは日本語を学んでいて、日本語のこの使い方、すごく面白いなとか、不思議だなって感じることありますか?
もし何かあったら是非教えてください。
じゃあ今日はこの辺にします。
References: 「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼」 https://www.amazon.co.jp/dp/486667380X YouTube「ゆる言語学ラジオ」 https://www.youtube.com/@yurugengo
Image of aibo ("aibo") by kate nev, licensed under CC BY 2.0. Image of Pepper ("Pepper at Opening Ceremony of the 28th Tokyo International Film Festival") by Dick Thomas Johnson, licensed under CC BY 2.0.