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こんにちは。
今日の動画の主役はこの動物です。
タヌキです。
皆さん、本物のタヌキ見たことありますか?
タヌキって、私たち日本人にとってはとても馴染み深い身近な動物なんですけど、皆さんの国ではどうですか?
タヌキはもともとは日本と東南アジアの一部にしか生息しない、世界的に見るととても珍しい動物です。
なので、西洋の方にとっては馴染みの薄い動物なんだそうですね。
日本のアニメやゲームなどのコンテンツでは、タヌキがよく登場します。
例えば、有名なところで言うと、マリオ。
任天堂のゲームのマリオですね。
マリオはアイテムを取って色々と変身するんですけど、その1つにタヌキマリオというものがあります。
それから海外でもよく知られているゲーム「あつまれどうぶつの森」略して「あつもり」って言ったりしますけど、
これにもタヌキのキャラクターが登場しますよね。
あとはジブリ映画にも「平成狸合戦ぽんぽこ」っていうタヌキが主役の映画があります。
私もこの映画は小学生の時に映画館に見に行った記憶があります。
そんな風に、日本のコンテンツに接していれば、必ずどこかでタヌキを目にする機会があると思うんですね。
でも、ネットでいろんな記事を読んでいたら、海外の人の中には、タヌキは実在しない、
本当は存在しない架空の生き物だと思ってる人もいるなんて書いてあるものもありました。
皆さんの中にもタヌキは妖怪のような架空の生き物だと思っていた方はいますか?
タヌキは正真正銘、今でも普通に日本に暮らしている動物です。
日本人にとってはとても身近な動物です。
少し前に、そんな海外の方にとっては珍しい動物「タヌキ」をテーマにした動画のリクエストをいただきました。
今日はタヌキについて深く掘り下げてお話ししてみたいと思います。
タヌキについてお話しするにあたって、ネットでもいろいろと調べたんですけど、実は本を1冊買って読んでみました。
この本なんですけど、その名も「たぬきの本」。タヌキだけについて書かれた本です。
ここに著者の名前が書いてあるんですが、5人のタヌキを愛する狸愛好家の人たちが共同で書いた本です。
5人の方の共著です。
例えば、タヌキの写真をいっぱい撮ってタヌキの写真集を出版したフォトグラファーとか、
信楽焼っていうこういうタヌキの置物のマニアの人とか、
あとは怪我をした野生のタヌキを保護して自宅で飼育した人とか、そういう狸愛好家の方たちが書いた本です。
かなりマニアックな本ですよね。
タヌキについて、いろんな角度からの話が書かれています。
なかなかない本だと思います。
私もこんな機会じゃないとタヌキについての本を読むなんてなかなかないだろうと思って、買って読んでみました。
結構マニアックな内容でしたけど、面白かったです。
今日はまずはタヌキってどんな動物なのか、タヌキの生態について、それから私たち日本人にとってタヌキとはどういう存在なのか、
それからさっきも出てきたこのタヌキの置物は一体何なのか、そんなことを中心にお話ししていきます。
あと、日本語にはタヌキにまつわる、タヌキに関係する慣用句とかことわざもいっぱいあるんですね。
なので、そういったものも最後にちょっと紹介したいと思っています。
今回、結構長めの動画になりそうです。
私もこの動画で話す内容を色々と考えながら、「タヌキについてお話しできることがこんなにあるんだ!」ってびっくりしました。
ちょっと長くなりますが、お付き合いください。
じゃあ始めます。
まずはタヌキとはどんな動物なのか、タヌキの生態についてお話しします。
タヌキは、哺乳類、ネコ目、イヌ科、タヌキ属に属する動物です。
イヌ科なので、犬の仲間なんですね。
生き物の分類としては、犬の仲間です。
でも見た目はアライグマによく似ています。
ま、違いは色々とあるんですけど、1つ大きな違いが尻尾です。
アライグマの尻尾は縞々ですよね。
でもタヌキの尻尾は縞々じゃありません。
でもこれ結構、ちょっと混同してしまって、間違えてタヌキの絵を描く時に、アライグマのような縞々の尻尾を描いてしまう人が結構多いんです。
次にタヌキはどこに住んでいるのか、タヌキの生息地なんですが、さっきも言った通り、元々は日本や東南アジアのみに生息する動物でした。
ただ、タヌキの毛皮を取る目的でロシアがタヌキを輸入していた時代があったそうで、そのタヌキが野生化して、
現在では、ヨーロッパにも一部、野生のタヌキが住む地域があるんだそうです。
タヌキは主には野山に住んでいます。
でも人が住んでいる地域、人里に降りてきているタヌキもいますし、最近では都市部で目撃されることも増えているみたいです。
本当に日本全国あらゆる場所に生息しています。
ただ、都市部にもいるにはいるんですけど、普段私たちが生活していてタヌキを見かけることはほとんどないですね。
というのも、タヌキは夜行性なんですね。
夜活動する夜行性の動物です。
だから昼間はあまり活動していないんですね。
私も普段、普通に生活していてタヌキを見かけることってまずないんですけど、
でも時々車で田舎の方の道を通っていると、道路で野生のタヌキが車に轢かれて死んでいるのを見かけることがあります。
まぁタヌキに限らず、田舎の方に行くと山から降りてきた野生の動物が車に轢かれてるるっていうのは時々見かけますね。
次に、タヌキは何を食べるんでしょうか?
肉食でしょうか?
それとも草食でしょうか?
タヌキはですね、雑食性の動物です。
肉食でも草食でもなく、雑食です。
つまり何でも食べます。
果物とか昆虫とか小動物、それから人間が出した生ごみとか、本当に何でも食べる雑食の動物です。
なので、人間目線で言うと、畑を荒らされたり、ごみを荒らされたりっていう被害もあるんですね。
それからタヌキの性格なんですが、タヌキってどんな性格の動物だと思いますか?
実はタヌキはすごく臆病で、警戒心の強い性格だと言われています。
タヌキは群れで、集団で狩りをしたりする習性もないし、相手を攻撃できるような鋭い牙も持っていません。
体も比較的小さい動物です。
そして、足が短くて走るのも遅いんだそうです。
だからあんまり強い動物ではないんですよね。
そんなタヌキが、例えば熊みたいなもっと大きい動物に食べられずに山で生き延びていくためには、その警戒心の強さというのがとても重要なのかもしれませんね。
敵が来たら敏感に察知して、すぐに気づいて、身を潜めたりする。
その警戒心があったからこそ、タヌキはずっと山で生き延びてこられたんじゃないかとも言われています。
タヌキは本当に怖がりで、驚くと一時的に気を失って倒れる、気絶することもあるぐらいなんだそうです。
それからもう1つ、タヌキの特徴的な習性として、「ため糞」というものがあります。
ため糞。
「糞をためる」で、ため糞です。
タヌキの家族は、みんな同じところで、決まった場所で糞をする、トイレをするという習性があります。
自分たちの行動圏内にいくつかため糞をする場所、つまりトイレですね、があって、みんなそこで糞をして糞をためていくんだそうです。
これはすごく珍しい、タヌキに特徴的な習性なんだそうです。
何のためにため糞をするのか、その理由は、おそらくマーキングのためじゃないかと言われています。
他の動物に対して自分たちの存在を知らせたり、または仲間に対して餌の場所を伝えたり、
そういった何らかのコミュニケーションの手段としてため糞を利用しているんじゃないかと考えられています。
1つのため糞が親から子に、次の世代にも受け継がれて、10年以上使われることもあるんだそうですよ。
そんなタヌキなんですが、どうして私たち日本人はタヌキを身近に感じるんでしょうか。
これ、すごく不思議なんですね。
さっきも言ったように、今の時代、普通に生活しててタヌキを見る機会ってそうそうないんですね。
でも、とても馴染み深い動物なんです。
私も多分ほぼ見たことありません。
なのに、とても馴染み深く感じる動物なんです。
だけど、馴染み深いんですけど、かと言って、タヌキが大好きって人はあんまり見たことがありません。
この本の著者の人たちは別ですけど、「好きな動物は?」って聞かれて「タヌキ」っていう人はすごく珍しいと思います。
でも、なぜかとても身近に感じる動物なんですね。
本当に考えてみると、ま、今まで考えたことなかったですけど、考えてみると本当にタヌキって私たちにとって不思議な存在です。
じゃあなんでタヌキに馴染みがあるかって考えたら、やっぱり小さい頃に読んだ昔話とか、小さい頃に歌った童謡の中にタヌキが登場したからだと思うんですよね。
ちょっとさっき子供たちの本棚を見たら、うちにも2冊ほどタヌキが主役の昔話の絵本がありました。
カチカチ山とぶんぶく茶釜です。
確かこの、ぶんぶく茶釜の方は、息子が保育園の時、保育園で毎年劇の発表会があるんですけど、
何歳の時だったかちょっと忘れたけど、一度ぶんぶく茶釜の劇をやった年があったような気がします。
これは2つとも、日本人だったら誰でも知ってる、誰でも子供の時に聞いたことのある昔話です。
こういった昔話の中によくタヌキが登場します。
で、大抵タヌキは、何かいたずらをしたり、ちょっと悪いことをしたりするんだけど、
でもなんか憎めない、愛嬌のあるキャラクターとして描かれていることが多いんですね。
例えば、こっちのカチカチ山というお話の中では、タヌキは畑を荒らしていたずらをする悪いやつなんですよ。
優しいおばあさんを騙して怪我をさせたり。
で、後でウサギに仕返しをされるんですけど。
でも悪いやつなんだけど、なんか憎めないキャラクターなんですよね。
こっちのぶんぶく茶釜の方では、タヌキが茶釜に化けて人を脅かすんですけど、でも最終的には人に恩返しするんですね。
タヌキっていうと、なんかそういうイメージがついています。
こういった昔話を通して、そういうイメージが私たちの中に定着しているんですね。
あとは、私はあんまり詳しくないんですが、落語ありますよね。
落語の中にもタヌキってよく登場するんですって。
で、そこでも、ひょうきんな、ちょっとふざけた人を笑わせるキャラクターとか、
何かに化けて人を騙そうとするんだけど、すぐ見つかっちゃう、すぐバレちゃうとか、
なんかいろいろ失敗したりする、なんだろう...ちょっと抜けたキャラクターとして描かれていることが多いんですって。
それからタヌキは、昔の浮世絵なんかにもよく描かれていたんだそうです。
そうやって昔の人たちが昔話や落語、それから浮世絵などの中にタヌキをたくさん登場させた。
そして、それがずっと語り継がれてきている。
だから、現代の私たちも、ま、実際のところ、大半の人はタヌキと直に接する機会はほぼないにもかかわらず、
なんかたぬきに馴染みがあるし、うん、身近に感じるし、「たぬき」って言ったら、そういう、
「いたずらものなんだけどなんか憎めない愛らしいキャラクター」というイメージを持っているんですね。
じゃあなんで昔の人はそうやってタヌキをお話などの中に登場させるようになったのか。
その理由は実際のところは分からないんですけど、この本の著者の一人の方が、その人なりの考察を書いていましたので、それをちょっと紹介したいと思います。
その著者曰く、タヌキという動物は古くからずっと人間の生活圏内の中で人間と一緒に暮らしてきました。
だけど、犬や猫のように人間に懐いてペットとして可愛がられる対象ではなかったんですね。
さっきも言ったように、とても警戒心が強いですから、基本的には人には懐きません。
人に懐く、可愛がられる対象ではなかった。
かといって、例えば牛とか豚のように家畜として人間が飼育する、育てる対象でもなかったんです。
ちなみにタヌキの肉ってすごいまずいんだそうです。
もちろん食べたことないので実際のところは分からないんですけど、まずいそうです。
だから食用には向かない。
なので家畜として買われることもなかった。
かといって、例えば昔の馬のように人間にとって役に立つ動物ということでもなかった。
畑を荒らしたりして、むしろ迷惑を被ることの方が多かった。
という風に、タヌキと昔の人、昔の日本人というのは、同じ空間にいながら付かず離れずの程よい距離を保ちながら暮らしてきたんですね。
付かず離れず。つまり近くなりすぎることもなく、離れすぎることもない。
微妙な不思議な距離感を保ちながら人間と共存してきた動物。
それがタヌキだったんです。
そんな不思議な距離感が、タヌキという生き物に対する人間の想像力を掻き立てて、物語などのキャラクターに描かれるようになったんじゃないか
と、この本の著者の一人は考察していました。
で、さっきのこのぶんぶく茶釜の中では、タヌキは茶釜に化けるという話をしましたけど、
タヌキと言うと、やっぱり「化ける」「何かに変身して人を騙す」そんなイメージがあるんですね。
ジブリのこの映画でも、見た方は分かると思うんですが、タヌキが他のものに化ける様子がたくさん描かれていたと思います。
なぜ「タヌキ=化ける」というイメージが定着したのか。
これにも諸説あるようですが、そのうちの1つは、夜行性で夜活動することや、さっき言った警戒心が強くて人が近づくと身を隠したり気を失って倒れたりする姿が、
ちょっとミステリアスなイメージに繋がって、タヌキといえば化けるキャラクターになったんじゃないかという説です。
それから、「タヌキ=化ける」っていうイメージは、元を辿ると中国から伝わったお話に由来するっていう説など、いろいろあるようです。
どれが事実なのかは分かっていないそうです。
では、次はこれについてお話しします。
現代の日本人がタヌキと聞くと、もしかしたらこっちよりもこっちを思い浮かべる人が多いかもしれません。
タヌキの置物です。
皆さんの中で日本に住んでる|方かたう》、もしくは日本に来たことがある方、日本の街を歩いていて、こんなタヌキの置物を見たことはありませんか?
これ日本全国いろんな場所で目にします。
家の前とかお店の前などによく置かれているんですね。
このタヌキの置物にもいろんな種類があるんですけど、一番よく見る、一番有名なのは、信楽焼と言われる滋賀県で作られている焼き物のタヌキです。
実はうちのすぐ近所にも、玄関先に小さい信楽焼のタヌキを3体ぐらい置いている家があって。
でも私、つい最近までその存在に気づいてなかったんですよ。
本当によく...よくと言うか、毎日のように通る場所なんですけど、全然目に入ってなくて、気づいてなかったんですね。
でもタヌキをテーマにした動画を作ろうと決めてタヌキのことを色々調べていたら、不思議なもので、
今まで全く目に入ってなかったその近所のタヌキの置き物が急に目に入ってくるようになりました。
不思議ですね。
なんかこう、意識すると自然と目に入ってくるようになる。
そういうことありませんか?
はい、まぁそれは余談なんですが、よく見る信楽焼きのタヌキってこんな姿をしています。
目が真ん丸で、顔も丸くてふくよかな感じで、ニコニコ笑って可愛らしい顔をしています。
そして、人間のように二本足で立っています。
それから決まってこんな笠をかぶっていたり、手に徳利っていうお酒が入った容器を持っていたりします。
少し擬人化されたタヌキです。
人間っぽく変えられたタヌキです。
このタヌキの置物の歴史をちょっと紹介すると、古くは江戸時代からこのような擬人化されたタヌキの置物が作られていたそうです。
さっき言っていた落語にタヌキが登場したり、浮世絵でタヌキの絵が描かれていたりしたのとちょうど同じ頃ですね。
古くからタヌキの置物自体は生産されていたんですけど、よく見るこのスタイル、さっき言った信楽焼きという焼き物の、
笠をかぶって、お酒を持ったタヌキの置物を初めて作ったのは、藤原銕造という人だと言われています。
この人は1878年から1966年まで生きていた人なので、もう60年ほど前に亡くなっている人です。
この方が生きていた時代なので、おそらく1900年代の初めから中頃ぐらいに初めてこの信楽焼のタヌキが作られたということだと思います。
初めて作ったのはその藤原銕造さんだとわかっているんですけど、でもこの人が一体何をモチーフにして、何に着想を得て
こんなタヌキを作ったのかというのは、詳しくは分かっていないんだそうです。
でもおそらく、江戸時代から語り継がれていた「豆狸」という名前のタヌキの妖怪をモチーフにして作ったんじゃないかと言われています。
豆狸。豆、狸と書いて「まめだ」って読むんだそうです。
豆狸は陰嚢を大きく広げて、それを笠のようにかぶって、雨の日の夜に歩いてお酒を買いに行く妖怪なんだそうです。
それに着想を得て、こんな風に徳利を持っていたり、通い帳と言われる、お酒を買った時に買ったものを記録する紙、
通い帳って呼ばれていたそうなんですけど、そんなものを手に持っていたり、
そして陰嚢が大きかったりするタヌキの置物を作ったんじゃないかと言われています。
それから豆狸という妖怪に関しては、こんな迷信もあったそうです。
豆狸は美味しいお酒を作る酒屋に住みつく妖怪で、豆狸が住みついている酒屋は儲かる。
そんな迷信もあったんだそうです。
藤原銕造さんが作り始めたこの徳利を持ったスタイルのタヌキの置物、誰が最初に購入したのか、
これも記録は残っていないんですけど、京都にある一休庵っていう料亭、料亭っていうのは日本料理を出す、ちょっとね、高級な感じのお店ですね。
そこに初期の頃に作られたとされる信楽焼きの置物が置いてあったということは分かっています。
で、1920年代、30年代頃でしょうか。ちょっと詳しい時期は分かりませんが、その一休庵という料亭で、
例えば泥棒が入ろうとしたんだけど、なぜか何も盗まずに逃げていったとか、そのお店がすごく繁盛したとか、そういう逸話があったんだそうです。
そういう話があったんだそうです。
それで、当時の京都でその口コミが広がって、一休庵が泥棒に入られたけど何も盗まれなかったりとか、お店がすごく繁盛した人気になったのは、
タヌキの置き物を置いていたからなんじゃないかっていう風に噂が広まって、それで京都でこの信楽焼のタヌキが人気になったんだそうです。
で、人気が出たので、もっと作ろうということで、藤原家家族みんなでいっぱいこのタヌキを作るようになります。
でもその時はまだ京都だけだったんですね。
でもその後、この信楽焼のタヌキが全国的に広く知られるようになったきっかけとなる出来事が1951年に起きます。
1951年、この年、昭和天皇がこのタヌキが生産されている滋賀の信楽という町を訪れることになったんですね。
当時天皇が自分の街にやってくると言ったら、もう一大イベントです。
街をあげてみんなで天皇陛下を歓迎します。
その時、天皇陛下を歓迎する意味で、日の丸の旗、日本の国旗を手に持たせた信楽焼のタヌキの置物を、道にたくさん並べて飾ったんだそうです。
で、それを見た昭和天皇が、素晴らしいって感銘を受けて、で、たぬきを題材にした歌を詠みました。
ここで言う歌というのは、歌う歌ではなくて、短歌ですね。五七五七七の短歌です。
天皇陛下が詠んだその歌が、その短歌が新聞に取り上げられて、その新聞が全国の人に読まれて、それで信楽焼のタヌキは一躍有名になったそうです。
一気に全国に知れ渡りました。
全国的に認知度が高まったんですね。
はい、それが1つ目のたぬき流行のきっかけでした。
もう1つ、さらに流行に拍車がかかるきっかけがあったんですが、それが「八相縁起」と言われるものです。
八相縁起。
1950年代、先ほど言った、天皇が信楽を訪れたのと、ちょうど同じ頃ですね。
狸愛好家の石田豪澄さんという人がいました。
その人が、信楽焼のタヌキの笠だったり目だったり、こういった8つの特徴的なパーツを縁起のいいことに関連付けて、
「八相縁起」っていうものを考えて提唱しました。
どういうことかというと、例えば「この笠にはこういう意味があるんだ」「この目にはこういういい意味があるんだ」っていう風に、
後付けで、後で意味をつけていったんですね。
それを八相縁起って呼んだらしいんですけど、どんな内容だったのか、8つ紹介しますね。
まずはタヌキが頭にかぶっている笠。
笠はもともと雨とか雪とか日差しを防ぐものです。
信楽狸のこの笠は、石田豪澄さんが作った八相縁起によると、「思いがけない災難、悪い出来事から身を守る」という意味があります。
次に目。この大きな真ん丸の目は、「周囲をよく見渡して、よく周りに気を配って正しい判断をする」という意味があります。
次はこのニコニコしたタヌキの笑顔。
これは「お互いにいつも笑顔で愛想よく接する」。
次、この大きなお腹は、どっしりと構えた「冷静さと大胆さ」この2つを両方とも持ち合わせるという意味があります。
そしてこの徳利。お酒を入れる徳利ですが、徳利って漢字で書くとこんな風に書きます。
人徳の徳という字が使われています。
なので、人から信頼されて慕われるような「人徳を身につけること」を象徴しています。
そして、反対の手には通い帳と呼ばれるものを持っています。
これはさっきもちょっと出てきたんですけど、昔買い物をする時に、ツケで払うことがよくあったんだそうです。
ツケで払うというのは、買ったその時に代金を支払うんじゃなくて、いつ何を買ったっていうのを控えておいて、後で払うってことです。
ツケで払う。で、昔その買ったものを記録しておくノートみたいなものを「通い帳」って言っていたそうです。
タヌキが手に持っているのは、その通い帳です。
ツケで払うというのは、信頼関係がないとできないですよね。
「この人、ちゃんと払ってくれるかどうか分からない」って思われていたら、ツケ払いはできませんよね。
信頼関係がないとできません。
だからこの通帳は、「信用第一」、人とちゃんと信頼関係を結ぶのがとても大事だよということを象徴しています。
そしてこの部分、通称「金袋」と呼ばれるんだそうです。
とても大きく誇張して描かれていますね。
これは金運の象徴です。
お金の運がアップするということです。
そして最後、尻尾ですね。
太い尻尾。
尻尾には終わりという意味がありますから、立派に太くデフォルメされた尻尾は、「何事も終わりが大事だよ」ということを象徴しています。
「終わりよければすべてよし」っていうことわざもありますけど、最後、終わりをしっかりと締めくくるという意味です。
そんな風にその狸愛好家の石田豪澄という人が、1950年代にこの信楽焼のタヌキの8つの特徴的なパーツに、1つ1つ縁起のいい意味をつけていったんですね。
で、それを全部合わせて「八相縁起」という風に呼んで紹介したんだそうです。
ま、日本人、特に昔の人はそういう縁起物が大好きですから、それが話題になって流行りました。
それでこのタヌキの置物は、縁起物、持っていると縁起がいい、いいことがある縁起物として広く認知されるようになりました。
それで「家族にいいことがありますように」と願って家の前に置いたり、
「商売がうまくいきますように」「お店が人気になりますように」と、商売繁盛を願ってお店の前に置いたりする人が増えていったんですね。
はい。これが1つの理由です。
タヌキが縁起物として全国的に広まった理由の1つです。
あともう1つあります。
たぬきという字、漢字で書くと本当はこうなんですけど、日本人は結構当て字をするのが好きですね。
実際とは違う漢字を当てて言葉遊びをするのが大好きです。
タヌキはこんな漢字を当てることができます。
「他を抜く」で「他抜き」。
だからタヌキの置き物を置いていると、ライバルの他のお店を抜くことができる。
他の店よりも繁盛するということで、タヌキは商売繁盛の象徴として店先に置かれるようにもなったんです。
ま、そういった経緯でタヌキの置物は全国に広まりました。
縁起物として全国に広まりました。
だから日本各所で玄関先や店先にこのタヌキが置かれているんですね。
ま、昔ほどではないかもしれないですけど、今でも置いている家やお店を見かけることは珍しくありません。
じゃあ最後にタヌキにまつわる言葉を色々と紹介したいと思います。
タヌキという言葉が入った慣用句、結構たくさんあるんですね。
まず1つ目は、「狸寝入り」。
これ聞いたことあるでしょうか?
これは実は初めの方で紹介したタヌキの習性に関連しています。
タヌキは驚くと気絶すると言いました。
気を失って倒れるんですね。
で、これ、今ではちゃんと研究が行われて、タヌキは本当に驚いて気を失っているんだということが分かっているそうなんですが、
昔の人はタヌキが死んだふりをしている、わざと動かないで死んだふりをして、人間を欺いている、騙していると思っていたんだそうです。
それに由来して、本当は寝ていないのに、起きているのに、寝たふりをすることを「狸寝入りする」と言います。
一般的には、ただ単に寝たふりをするというよりかは、何か自分に都合の悪い時に、寝たふりをして誤魔化すみたいなニュアンスで使われることが多いと思います。
次は「捕らぬ狸の皮算用」です。
このことわざ聞いたことありますか?
捕らぬ狸の皮算用。
昔はタヌキを捕まえてその皮を売ると、かなりのお金になったそうです。
捕らぬ狸の皮算用という言葉は、まだタヌキを捕まえてもいないのに、捕ってもいないのに、
「よし、タヌキを10匹捕まえてその皮を売ったらこれだけお金が手に入るぞ」「じゃあそのお金であれを買おう」っていう風に考えるという意味です。
つまり、まだ実際に本当に手に入るかどうかも分かっていないのに、それを当てにして計画を立てること。そういうことを捕らぬ狸の皮算用と言います。
例えば、まだ今年は会社からボーナスが貰えるって決まったわけじゃないのに、もしかしたら今年はボーナスないかもしれないのに、
「よし、ボーナスを貰ったら海外旅行に行こう」って先に計画を立てるとか、そういうことですね。
次の慣用句は「同じ穴のムジナ」です。
タヌキって言葉は出てきてないんですけど、ムジナにタヌキが含まれているんです。
ムジナっていうのは、主にはアナグマという動物のことを指しているんですけど、
でもその他のタヌキとかハクビシンとか、そういう動物のことをまとめて、総称して「ムジナ」と呼ぶこともあります。
これらのムジナの仲間は、違う動物なんだけど、同じ穴を共有することがあるんだそうです。
例えばアナグマが掘った穴を、同じムジナの仲間であるタヌキが使ったりすることがあるんですって。
その行動に由来した慣用句です。
同じ穴のムジナ。
これはどういう意味かというと、一見アナグマとタヌキって別の動物に見えるんだけど、でも実際のところは同じ穴を使っている同じムジナの仲間だ、
ということに由来して、一見全然違う、関係ないように見えても、よく考えると実際のところは同類だ、
同じようなものじゃないか、という意味で使われます。
通常は悪い意味で使われますね。
両方とも同じように悪いじゃないか、悪い部分が共通してるよねっていう時に使います。
例えばですけど、ある政治家が別の政治家を批判して言います。
「あの政治家はこういう不正をしてる。こういう悪いことを裏でやってる」って批判します。
でも実はこの人も裏で別の悪いことをしていた。
そういう時に「ああ、ああやって別の政治家のことを批判してるけど、あの人だって結局は同じ穴のムジナだ」みたいな、そんな風に使うことができる言葉です。
次はことわざじゃないんですけど、タヌキが入った言葉です。
これ。「たぬき親父」もしくは「たぬきじじい」。
これはずる賢い性格のおじさんやおじいさんのことを指します。
タヌキと言ったら人を騙したりするずる賢い性格というイメージがあることは、さっきもお話ししましたね。
なので、そんな性格のおじさんやおじいさんを悪く言う言葉ですね。
たぬき親父、たぬきじじい。
次に紹介する言葉は「たぬき顔」です。
たぬき顔の人って言ったら、どんな顔立ちの人でしょうか。
たぬき顔の特徴は、例えば輪郭、顔の形はどちらかというと丸顔で、目とか鼻とかも丸っこい。
目は丸くてちょっと垂れ目。
吊り上がった目じゃなくて垂れ目で、可愛らしい印象の顔立ちの人。
主には女性に対して使われることが多いと思うんですけど、たぬき顔っていうのはそういう顔立ちの人ですね。
対照的なのは、キツネ顔です。
キツネ顔って言ったら、キツネのようにシャープな輪郭で、目はどちらかというと細くて切れ長な感じ。
たぬき顔が可愛らしい印象だとしたら、キツネ顔は逆でクールな印象ですね。
「たぬき顔だね」「キツネ顔だね」っていうのを褒め言葉として捉えるかどうかは、人によると思います。
はい。
最後はタヌキが入った食べ物です。
タヌキが入ったと言っても、実際にタヌキの肉が入ってるわけじゃなくて、名前にタヌキという言葉が入った食べ物です。
これ、たぬきそばと言います。
何にも入っていない普通のそば、かけそばに、ネギと揚げ玉をのせたものです。
なんでこれがたぬきそばと呼ばれるのか。
由来は諸説あるんですけど、1つはこの色合いがたぬきっぽいからという説です。
あとは、このそば、これと言って具らしい具が入ってませんよね。
ネギと揚げ玉しか入ってません。
ちゃんとした具、具らしい具が入ってません。
で、具のことを別の言い方で「種」という場合もあるんですけど、特に種らしい種が入っていないので、
「種がない」「種抜き」で、「たぬき」になったという説もあります。
これも言葉遊びですね。
どっちの説が正しいかは分かりません。
ちなみに、きつねうどんというものもあります。
きつねうどんはこれです。
油揚げがのったうどんです。
これは昔から、油揚げはキツネの大好物だと言い伝えられているんですね。
それで油揚げをのせたうどんは、きつねうどんと呼ばれています。
はい。今日はタヌキについていろんな角度から掘り下げてお話ししてみました。
タヌキについていろいろ調べて詳しくなって、私はタヌキ博士になった気分です。
皆さんもタヌキ博士になったでしょうか?
じゃあ今日はここまでにします。
References: たぬきの本: 里山から街角まで By Tetsuro Murata et al. www.amazon.co.jp/dp/4907986300
Image of Hassouengi: https://www.e-shigaraki.org/knowledge/八相縁起って何?/