
Your support helps me continue creating Japanese learning content. If you enjoy learning Japanese with Nihongo no Jikan, please consider supporting the project with a donation.
Amount (USD)
Already a monthly supporter?
Manage or cancel your subscription
You can also donate via Ko-fi or Patreon
こんにちは。
今日は以前坊ちゃんシリーズをやった時にも紹介した、この青空文庫というサイトを使って、日本の古いお話を読んでいきたいと思います。
以前も紹介した通り、このサイトはですね、作者の死後何十年も経って著作権が切れた古い作品がたくさん掲載されています。
この中から今日はこの『竹取物語』というお話を読んでいきたいと思います。
竹取物語、聞いたことありますか?
もしかしたら『かぐや姫』というタイトルだったら聞いたことある方、いらっしゃるかもしれません。
竹取物語と呼ばれることもありますが、一般的にはかぐや姫というタイトルの昔話として親しまれています。
そして皆さんの中に、この映画をご覧になったことある方、いらっしゃいますか?
これはスタジオジブリの作品です。
2013年に公開されたこの竹取物語を題材にしたジブリ映画です。
私は見たことないんですよ。
でも、この動画を作るにあたって、ちょっとユーチューブで短い予告編の動画を見てみたり、あと、ジブリのサイトで画像を見たりしてみました。
絵がすごく綺麗なんですよね。
色がすごく綺麗で見てみたくなりました。
皆さんも機会があったら是非見てみてください。
そして見たよという方は是非感想を教えてください。
この『かぐや姫』または『竹取物語』というお話は、実は現存する日本最古の物語と言われています。
今でも存在する日本のお話の中で最も古いものだと言われているんですね。
でも実際にどれぐらい古いものなのか、このお話が作られたはっきりとした年というのは不明なんです。
いつできた物語なのか、はっきりとはわかっていないんだそうです。
でもおそらく平安時代、9世紀後半から10世紀の前半頃に書かれたものであろうと言われています。
そして実はこのお話は作者も不明なんですね。
誰が書いたのか、まあ何人か、この人が書いたんじゃないかって言われている人物はいるにはいるらしいんですけど、
でも、はっきりと「この人が作者」という風に特定はされていません。
はい。
竹取物語って言ったら、さっき言ったように日本最古の物語で、とても有名なんですね。
で、実は日本の中学校かな。中学校の国語の教科書にも載っています。
国語の授業って、いろんな文章を読むじゃないですか。
大きく分けると現代文、古文、漢文。この3種類の文章を習うんですね。勉強するんですね。
現代文は、まあ普通の現代の文章ですよね。
現代の物語。
3つ目に言った漢文っていうのは、中国の古いお話。
で、古文というのが日本の古いお話です。
で、この竹取物語は、中学校の古文の学習の時にみんな習うんですね。みんな読むんですね。
全部じゃなかったと思います。冒頭の部分だけだったと思うんですけど、古文の授業で出てきます。
今ね、私がここに出している、青空文庫に載っている竹取物語というのは、現代語訳されたものです。
現代の言葉に訳されたもの。
この和田万吉さんという人が昭和初期に現代語訳したものです。
で、日本人がみんな義務教育で習う、古文の竹取物語の冒頭は、こんな風に始まります。
今は昔、竹取の翁というものありけり。
今は昔、竹取の翁というものありけり。
元々の古い古文はそんな文章なんですけど、それを和田万吉さんが、「昔、いつの頃でありましたか、竹取の翁という人がありました。」という風に、
現代語訳したんですね。
今日はそのバージョンを読んでいきます。
ただ、現代語訳とは言っても、これが出版されたのが1928年なので、それももう100年近く前なんですよね。
だから現代語訳とは言いつつも、結構古い言葉が使われています。
漢字が今と違ったり、読み方が今と違ったり。
あと、例えばここね、「いふ」。「いう」「言う」ですね、を「いふ」って書いていたり、
ここも。「はひつて」ですが、これは「はいって」のことです。
こんな風に、ちょっと今とは違う言葉が使われています。違う書き方がされています。
はい。その点はご了承ください。
難しい言葉とか分かりにくい表現はちょっと解説を加えながら、必要に応じてイラストを入れながら読んでいきたいと思います。
じゃあ始めますね。
『竹取物語』和田万吉。
昔、いつの頃でありましたか、竹取の翁という人がありました。
翁というのはおじいさんのことです。
本当の名は讃岐の造麻呂というのでしたが、毎日のように野山の竹藪に入って、竹を切り取って色々のものを作り、
それを商うことにしていましたので、俗に竹取の翁という名で通っていました。
えっと、この記号、上に上がって下に下がるこの記号は、前の言葉を繰り返すという意味があるみたいなので、ここはこれで「いろいろ」と読みます。
この字、このひらがな、現代では使われない文字なんですが、これは「い」です。
古い「い」という字です。
本当の名前は讃岐の造麻呂って言うんですけど、竹藪で竹を切っていろんなものを作って、それで商売をしていたので、みんなに竹取の翁と呼ばれていました。
ある日、いつものように竹藪に入り込んでみますと、1本妙に光る竹の幹がありました。
不思議に思って近寄って、そっと切ってみると、その切った筒の中に高さ三寸ばかりの美しい女の子がいました。
この寸というのは、長さの単位です。
一寸が約3センチ。
だから三寸、これ三「ずん」って書いてますかね。
さんずん。三寸と言ったら、9センチぐらいですね。
竹を切ってみると、その筒の中にこれぐらいの小さい女の子が、美しい女の子がいました。
いつも見慣れている藪の竹の中にいる人ですから、きっと天が我が子として与えてくれたものであろうと考えて、
その子を手の上に乗せて持ち帰り、妻のおばあさんに渡してよく育てるように言いつけました。
おばあさんも、この子のたいそう美しいのを喜んで、籠の中に入れて大切に育てました。
このことがあってからも、翁はやはり竹を取ってその日その日を送っていましたが、奇妙なことには多くの竹を切るうちに、
節と節の間に黄金が入っている竹を見つけることが度々ありました。
それで翁の家は次第に裕福になりました。
ところで、竹の中から出た子は育て方が良かったと見えて、ずんずん大きくなって三月、三ヶ月ばかり経つうちに一人前の人になりました。
そこで、おとめ。これ普通は「しょうじょ」って読みますけど、ここ振り仮名が「おとめ」になってますね。
ま、女の子という意味ですね。
少女にふさわしい髪飾りや衣装をさせましたが、大事な子ですから、家の奥に囲って外へは少しも出さずにいよいよ心を入れて養いました。
平安時代ですから、こんな服装をしてたんじゃないでしょうか。
こんな衣装を着ていたんだと思います。
もうね、家から一歩も外に出さずに大事に育てました。
大きくなるに従って、少女の顔形はますます麗しくなり、とてもこの世界にないくらいなばかりか、家の中が隅から隅まで光輝きました。
女の子はものすごく美しかったんですね。
この世のものとは思えないぐらい美しくて、その子がいるだけで家の隅から隅まで家中が光輝いていました。
翁にはこの子を見るのが何よりの薬で、また何よりの慰みでした。
この子を見るのが何よりの薬。どんな薬よりも効くってことですね。
だからどんな悪いことがあっても、この子がいればそれだけで幸せになれるし、何よりの楽しみでした。
その間に相変わらず竹を取っては黄金を手に入れましたので、ついには大した身代になって、家や敷も大きく構え、
召使いなどもたくさん置いて世間からも敬われるようになりました。
竹藪で見つけた黄金で翁はお金持ちになって、地位も上がって、大きな家を構えて、
召使い、お手伝いさんをたくさん雇って、世間の人々から敬われる、尊敬されるようになりました。
さて、これまでつい少女の名をつけることを忘れていましたが、もう大きくなって名のないのも変だと気づいて、いい名付け親を頼んで名をつけてもらいました。
まだ名前も付けてなかったんですね。
何て呼んでたんでしょう。
名前を付ける人に頼んで、女の子の名前を付けてもらいました。
その名は嫋竹の赫映姫というのでした。
その頃の習わしに従って、三日の間大宴会を開いて、近所の人たちやその他多くの男女を呼んで祝いました。
子供の名前をつけたら、いっぱい人を呼んで三日間宴会を開くというのがその当時の習わしだったようです。
たくさんの人を呼んでお祝いしました。
この美しい少女の評判が高くなったので、世間の男たちは、妻にもらいたい、また見るだけでも見ておきたいと思って、
家の近くに来て隙間のようなところから覗こうとしましたが、どうしても姿を見ることができません。
かぐや姫がどうやらものすごく美しいらしいという噂が広まったんでしょうね。
男の人たちが、妻にもらいたい、結婚したい、またはそれが無理なら見るだけでも見ておきたいと思って、
覗こうとしたんですが、翁たちはかぐや姫を家の奥に囲って育てていますから、姿を見ることができません。
せめて家の人に会って物を言おうとしても、それさえ取り合ってくれぬ始末で、人々はいよいよ気を揉んで騒ぐのでした。
家の人、つまり翁とおばあさんに会って、話だけでもと思っても、それさえさせてもらえない。
人々は気を揉んで、気を揉むというのは、心配でやきもきする。心配でもやもやする。
そんな気持ちですね。気を揉んで騒ぎました。
そのうちで、夜も昼もぶっ通しに家の側を離れずに、どうにかしてかぐや姫に会って志を見せようと思う熱心家が5人ありました。
毎日たくさんの男性がかぐや姫に会いたいと言ってきたんですけど、だんだんみんな諦めていったんですね、会えないから。
でもその中で、夜も昼もぶっ通しで、一日中ずっと家の側を離れずに、かぐや姫に会って自分の気持ちを見せようと思う熱心な男性が5人いました。
ここ「ありました」「5人ありました」となってるんですけど、普通、現代では、現代の日本語では、
人とか動物に対しては、「ある」ではなくて「いる」を使いますよね。
で、物に対してあるって使いますよね。
でもここでは、5人の人に対して「ありました」「ある」という言葉を使っています。
昔の日本語では、こういう風に人に対しても「ある」というのがよく使われていたんだそうです。
皆、位の高い身分の尊い方で、一人は石造皇子、一人は車持皇子、一人は右大臣阿倍御主、一人は大納言大伴御行、一人は中納言石上麻呂でありました。
その5人の男性というのは、みんな位の高い偉い人たちだったんですね。
この人たちは思い思いに手立てを巡らして姫を手に入れようとしましたが、誰も成功しませんでした。
この5人はそれぞれいろんな方法で姫を手に入れようとしましたが、誰も成功しませんでした。
翁もあまりのことに思って、ある時姫に向かって「ただの人でないとは言いながら、今日まで養い育てたわを親と思って、
わしの言うことを聞いてもらいたい。」と前置きして、
「わしは七十の坂を越して、もういつ命が終わるかわからぬ。今のうちに良い婿を取って心残りのないようにしておきたい。
姫を一生懸命に思っている方がこんなにたくさんあるのだから、このうちから心にかなった人を選んではどうだろう。」
と言いますと、姫は案外の顔をして答え渋っていましたが、思い切って「私の思い通りの深い志を見せた方でなくては、夫と定めることはできません。
それは大して難しいことでもありません。5人の方々に私の欲しいと思うものを注文して、
それを間違いなく持ってきてくださる方にお仕えすることにいたしましょう。」と言いました。
ちょっと長かったですね。
はい。ここからですね。
翁もあまりのことに思って、まぁこの5人の男性がちょっとかわいそうって思ったんですかね。
姫に、今まで育ててきた私を親と思って。ま、実際にはあの実の親ではないんですけど、
今までずっと育ててきた私を親だと思って、ちょっと言うことを聞いてほしい、と前置きして、
私はもう70を超えて、いつ死ぬか分からない。だから大事なかぐや姫が良い婿をとって、いい男性と結婚して、
心配のないようにしておきたい。
このままかぐや姫が一人のままで自分が死んでしまったら、「かぐや姫一人で大丈夫かな」って心配しながら死んでいかないといけないですよね。
それは嫌だと。うん、そうならないようにしておきたい。
こんなに一生懸命言ってくれてるんだから、この中から誰か一人心にかなった人、気に入った人を選んだらどう?
というと、姫は案外の顔をしました。
案外の顔。
あんまり使わない表現だと思います。
案外というと、今は普通は、「意外」という意味で使いますよね。
「案外良かった」って言ったら、あんまり良くないと思ってたけど、意外とよかった。
期待に反してよかったみたいな時に「案外良かった」って言ったりしますよね。
でもここでは、えっと、ちょっと調べてみたところ、「心配」という意味で使われているみたいです。
姫は心配そうな顔をして答え渋っていました。
渋る。渋るっていうのは、うん、あんまりこう...気が進まない。
うーん、どうしよう...みたいな感じですね。答え渋っていました。
すぐには答えませんでした。
でも思い切って、私の思い通りの深い志、気持ちを見せてくれた人じゃないと結婚できません。
5人の男性に私の欲しいものを注文して、それを間違いなく注文通りに持ってきてくれた人にお仕えします。
仕えるというのは、その人のために奉仕するということですね。
だからつまり、妻となります、結婚しますと言いました。
翁も少し安心して、例の5人の人たちの集まっているところに行って、そのことを告げますと、皆、異存のあろうはずがありませんからすぐに承知しました。
はい。かぐや姫の意向を伝えました。
誰も異存はありません。
異存というのは反対意見ということですね。
なので、みんなすぐに承知しました。オッケーしました。
ところが、姫の注文というのはなかなか難しいことでした。
さっき大して難しいことじゃないって言ってたんですけど、実際はなかなか難しい注文でした。
それは5人とも別々で、石造皇子には、天竺にある佛の御石の鉢、車持皇子には東海の蓬莱山にある銀の根、金の茎、白玉の実を持った木の枝1本、
阿倍の右大臣には唐土にある火鼠の皮衣、大伴の大納言には龍の首についている五色の玉、石上の中納言には燕の持っている子安貝1つというのであります。
はい、5人にそれぞれ違う注文をしました。
1人目の石造皇子には、天竺、これはインドのことです。インドにある佛の御石の鉢。
これはですね、お釈迦様が使っていたとされる、ものすごい光を放つ鉢だそうです。
鉢というのは器ですね。
2人目の車持皇子に注文したのは、東海、これは中国にある地域。
東海の蓬莱山という山にある、銀の根、金の茎、白玉の実を持った木の枝1本。
次、3人目の阿倍の右大臣に注文したのは、唐土、これは中国です。
中国にある火鼠の皮衣。
火鼠というのは、伝説の生き物。
だから実際にはいない、実在しない伝説上の生き物で、その皮衣を持ってきてくださいと。
火鼠の毛皮で作った衣、布ですね、は、火をつけても燃えないという伝説があるんだそうです。
それを持ってきてください。
次の大伴の大納言には、龍、龍ですね、の首についている五色の玉。
そして石上の中納言には、燕が持っている子安貝。貝ですね。はい。
子安貝っていうのは本当にある貝なんですけど、これも伝説で、ツバメが子安貝を生むっていう伝説があったらしくて、
はい、だからツバメが生んだ子安貝を持ってきてください。
そういう注文をしたんですね。
そこで翁は言いました。
それはなかなかの難題だ。
そんなことは申されない。そんなことは言えない。
しかし、姫は「大して難しいことではありません」と言い切って、はっきりと言って、平気でおります。
そんなの難しくないですよ、普通のことですよっていう顔をしています。
翁は仕方なしに姫の注文通りを伝えますと、5人の男性に伝えると、皆呆れ返って家へ引き取りました。
なんだそれ、そんなの無理だよと思って、みんなもう帰っちゃいました。
それでもどうにかしてかぐや姫を自分の妻にしようと覚悟した5人は、それぞれ色々な工夫をして注文の品を見つけようとしました。
みんな見つけてくることができるんでしょうか。
第一番に石造皇子は、ずるい方に才のあった方ですから。この人はずる賢いことを考えるのに才能がありました。
なので、注文の佛の御石の鉢を取りに天竺へ行ったように見せかけて、3年ばかり経って、
大和の国のある山寺の賓頭廬様の前に置いてある石の鉢の真っ黒に煤けたのを、
もったいらしく錦の袋に入れて姫のもとに差し出しました。
はい、この人はずるい人でした。
なので注文された鉢をインドに取りに行ったと見せかけて、本当は行かなかったんですね。
で、三年後、当時はね、当然飛行機とかないですから、本当にインドまで行こうと思ったら3年ぐらいかかるんでしょうね。かかってたんでしょうね。
行って帰って。3年ぐらいかかってたんだと思います。
なので、3年ぐらい経った頃に、大和の国、これは今の奈良県、日本の奈良県です。
大和の国のお寺にあった石の鉢が真っ黒に煤けたの。
あ、この記号、「す」の後にこう記号がありますね。
これは1個前の文字を繰り返すっていう意味があるので、これで「すすけた」って読みます。
煤けたっていうのは燃えて灰で黒くなった。
煤けた鉢、真っ黒な鉢を、もったいらしく、いかにもすごいものかのように錦の袋に入れて、
錦というのは織物ですね。
そういう錦という名前の高級な織物です。
その袋に大事そうに入れて、で、姫に差し出しました。
ところが立派な光のあるはずの鉢に蛍火ほどの光もないので、すぐに注文違いと言ってはねつけられてしまいました。
もし本物だったらものすごい光を放っているはずなのに、蛍の光よりも光がなかったので、
注文違い、注文したものと違いますと言って、はねつけられてしまいました。
第二番に車持皇子は、蓬莱の玉の枝を取りに行くと言いふらして船出をするにはしましたが、
実は3日目にこっそりと帰って、かねがねたくんでおいた通り、上手の玉職人を多く召し寄せて、
ひそかに注文に似た玉の枝を作らせて姫のところに持っていきました。
この人もずるいですね。
蓬莱の玉の枝取りに行ってくるって、みんなに言って、みんなに言いふらして船で出発したんですけど、
3日目にこっそり帰ってきました。
そしてかねがね、もともと、たくんでおいた。これは企んでいた?計画していた?みたいな意味でしょうか。
計画していた通り、玉職人、玉を作る職人たちをたくさん呼んで、密かに、こっそりと蓬莱の玉の枝に似た玉の枝を作らせました。
そして、その偽物を持っていきました。
翁も姫もその細工の立派なのに驚いていますと、そこへ運悪く玉職人の親方がやってきて、
千日余りも骨折って作ったのに、まだ細工賃を下さるという御沙汰がないと苦情を持ち込みましたので、
まかしものということが分かって、これもたちまち突っ返され、皇子は大恥をかいて引き下がりました。
翁も姫もその偽物を見て、最初は偽物だと気づかなかったんですね。
すごく細かい細工がしてあるので、「わあ、すごいな」って思ってたんですけど、そこにちょうどそれを作った職人の親方、リーダーがやってきて、
千日余り、つまり3年ぐらい骨折って苦労して作ったのに、まだその代金をもらっていません。
御沙汰がない、連絡がないと苦情を言いに来た。
なので、まやかしもの、偽物ということが分かって、これもたちまち、すぐにつっ返されて、皇子は大恥をかきました。
はい。次の人はどうでしょうか。
第三番の阿部の右大臣は財産家でしたから、お金持ちでしたから、あまり悪ごすくは巧まず、悪知恵を使ったりはせずに、
ずるいことはせずに、ちょうどその年に日本に来た唐船、中国の船ですね、に誂えて、注文して、
火鼠の皮衣というものを買ってくるように頼みました。
お金があったので、お金を渡して人に頼んだんですね。
やがてその商人、その商人ですね、唐船に乗っていた商人は、ようようのことで元は天竺にあったのを求めた
という手紙を添えて、皮衣らしいものを送り、前に預かった代金の不足を請求してきました。
この商人が、「やっと見つけましたよ。もともと天竺、インドにあったその火鼠の皮衣を求めました。買いました。」
皮衣らしいものを送ってきました。
そしてそれと一緒に、前に預かってた代金じゃ足りなかったからと言って、不足分を請求してきました。
大臣は喜んで品物を見ると、皮衣は紺青色で、紺色、濃い青い色ですね。
で、毛の先は黄金色をしています。
これならば姫の気にいるに違いない。
きっと姫が気に入るぞと思って、そしてきっと自分は姫のお婿さんになれるだろうなどと考えて、大めかしにめかしこんで出かけました。
めかしこむっていうのは、おしゃれをする、着飾るということです。
例えば、デートするとき、「おめかししていく」とか言いますね。
めかしこんで姫のところに行きました。
姫も一時は本物かと思って内々心配しましたが、もし本物なら火に焼けないはずだから試してみようというので、
火をつけさせてみると、ひとたまりもなく、すぐに、メラメラと焼けました。
偽物だったんですね。
右大臣はこの商人に騙されたんですね。
まんまと騙されてしまいました。
そこで右大臣もすっかり当てが外れました。
当てが外れるっていうのは期待してたけどダメだった。
次です。残り2人しかいません。
四番目の大友の大納言は、家来どもを集めて厳命を下し、厳しく命令をして、
「必ず龍の首の玉を取ってこい」と言って、邸内にある絹、綿、銭のありたけを出して路用にさせました。
邸、ね、家にある絹とか綿とか銭、お金?もうありったけを出して、あるだけ全部出して路用にさせました。
路用っていうのは、旅費、旅の費用のことだそうです。
ところが家来たちは主人の愚かなことをそしり、玉を取りに行くふりをして、めいめいの勝手な方へ出かけたり、自分の家に引きこもったりしていました。
家来たちに行って来いって言ったんですけど、家来たちは主人の愚かな、馬鹿なことをそしって。
そしるっていうのは、悪口を言うとか、非難する、けなすという意味だそうです。
つまり家来たちは主人のことを馬鹿にしていたんですね。
うん、なので命令を聞かずに、玉を取りに行くふりをしてめいめい、各々、それぞれ好きなところに出かけたり、
自分の家に引きこもったりしていました。
右大臣は待ちかねて、自分でも遠い海に漕ぎ出して龍を見つけ次第矢先にかけて射落とそうと思っているうちに、
九州の方へ吹き流されて激しい雷雨に打たれ、その後、明石の浜に吹き返され、波風に揉まれて死人のようになって磯端に倒れていました。
右大臣は家来に命じて龍を探しに行かせたんですけど、あまりにも帰ってこないから、待ちかねて、もう待てなくなって、自分も行ったんですね。
海に漕ぎ出しました。
そして龍を見つけたら射落としてやろうって思っていたんですけど、そのうちに九州の方に流されてきて激しい雷雨に打たれて、
今度は明石の浜、明石っていうのは兵庫県です。
明石の浜に吹き返されて、波風に揉まれて、もう死人のようになって磯端、海岸に倒れていました。
ようようのこと、やっとのことで、国の役人の世話で手輿に乗せられて家に着きました。
手輿っていうのは、お神輿みたいに人を乗せて担いでいくものですね。
そこへ家来どもが駆けつけてお見舞いを申し上げると、大納言はすもものように赤くなった眼を開いて、
「龍は雷のようなものと見えた。あれを殺しでもしたらこの方の命はあるまい。お前たちはよく龍を取らずに来た。ういやつどもじゃ。」
とお褒めになって、家に少々残っていたものを褒美に取らせました。
家来たちがお見舞いに来ると、すもものように、すももっていうのはあの赤い果物です。
すもものように真っ赤な、あ、目ですね。
目を開いて、龍はどうやら雷みたいなものらしい。
だからこの雷雨に打たれたこれを龍だと思ったんですかね?
あれを殺そうとしたらこっちが死んじゃう。
お前たちよく龍を取らず無事に帰ってきたな。
ういやつども。
えっと、これは、ういやつっていうのが、ういういしい可愛いやつみたいな意味だそうです。
ちょっと私は初めて聞いた言葉なんですが。
で、「ども」は「〇〇たち」という意味ですね。男どもとか女どもとかね。
はい。だから、まぁ「おまえたちかわいいやつらだな」みたいな意味でしょうか。
と、褒めて「よく取らずに帰ってきた」って褒めて、家に少しばかり残っていたものを、「これがご褒美だ。よく帰ってきた。ご褒美だ。」って言って渡しました。
もちろん姫の難題には怖気をふるい、「かぐや姫の大がたりめ!」と叫んで、またと近寄ろうともしませんでした。
はい、もうね、怖気づいて、怖くなって諦めてしまいました。
そして負け惜しみのように、「かぐや姫の大がたりめ!」と叫びました。
これも私は知らない言葉だったんですけど、「かたり」というのが人を騙してお金とか物を巻き上げる人のことなんだそうです。
はい、だからかぐや姫に騙されたと言って、もう近寄ろうともしませんでした。
はい、最後の人です。
五番目の石上の中納言は、ツバメの子安貝を取るのに苦心して、苦労して、色々と人に相談してみた後、ある下役、下っ端の男のおすすめにつくことにしました。
そこで、自分でかごに乗って、綱で高い屋の棟に引き上げさせて、ツバメが卵を産むところを探るうちに、ふと平たいものを掴みあてたので、
嬉しがってかごを下ろす合図をしたところが、下にいた人が綱を引き損なって、綱がぷっつりと切れて、運悪くも下にあった鼎の上に落ちて目を回しました。
この人は人にさせるんじゃなくて、自らかごに乗って、で、下にいる人たちに綱を引っ張ってもらって、ロープを引っ張ってもらって、
家の高いところに上がったんですね。
そしてツバメの巣をこうやって探るうちに、平たいものを掴みあてました。
なんか平たいものがありました。
子安貝があったぞと思って、下にいる人に下ろしてって合図をしたところ、下にいた人が綱を引き損なって、うまく引けなくて、綱がぷつっと切れてしまいました。
そしてかごがピューッと落ちて、運悪く下にあった鼎、鼎というのは、金属でできた、なんか昔の大きい器だそうです。
そこに落ちて目を回しました。
ま、倒れたんですね。
で、水を飲ませられてようやく正気になった時、正気になった、元の普通の状態に戻った時、
「腰は痛むが子安貝は取ったぞ。それ見てくれ。」と言いました。
皆がそれを見ると、子安貝ではなくてツバメの古糞でありました。
古糞、つまり古くなって固まった糞、うんちですね。
中納言はそれきり腰も立たず、気病みも加わって死んでしまいました。
かわいそうですね。この人ちゃんと自分で頑張ったのに。
ずるとかせず、ね、頑張ったのに。
腰もね、痛いし、気も病んで死んでしまいました。
5人のうちであまり物入りもしなかった代わりに、知恵のないざまをして一番むごい目を見たのがこの人です。
物入りしなかったというのは、お金がかからなかったということです。
確かにお金はかかりませんでしたね。
でも、その代わり知恵のないざまをして、頭が悪い様子をさらして、馬鹿なことをして、一番ひどい目にあったのがこの人でした。
そのうちに、かぐや姫が並ぶもののないほど美しいという噂を時の帝がお聞きになって、一人の女官に姫の姿がどのようであるか見て参れと仰せられました。
時の帝、当時の帝、帝は一番偉い人、王様とか天皇とか、そういう人です。
帝が、かぐや姫っていう女性がいて、並ぶものがないほど、他の女性とは比べ物にならないほど美しいらしいっていう噂を耳にしました。
そして一人の女官、女性の役人に、どんな姿をしているのか見てこいとおっしゃいました。
その女官が早速竹取の翁の家に出向いて、勅旨を述べ、ぜひ姫に会いたいと言うと、翁はかしこまってそれを姫に取り継ぎました。
勅旨というのは天皇の意思や命令を書いた文書です。
それを持って竹取の翁の家に行って、天皇が、帝が、ぜひ姫に会いたいと言ってますと翁に伝えると、かしこまってそれを姫に取り継ぎました。
姫に伝えました。
ところが姫は、「別に良い器量でもありませぬから、お使いに会うことは御免を蒙ります。」と拗ねて、どうすかしても叱っても会おうとはしませんので、
女官は面目なさそうに、宮中に立ち返ってそのことを申し上げました。
器量というのは才能とか見た目の美しさ。
別に私はそんなに美しくもないですから、その使いの女官に会うことは御免蒙ります。
御免蒙るっていうのは断る、遠慮しときますということです。
「お断りします。」と言って、どう機嫌を取っても、叱っても、会おうとはしませんでした。
なので女官は面目なさそうに、面目ないっていうのはもう恥ずかしくて合わせる顔がない、申し訳なくて合わせる顔がない。
帝に申し訳ないという様子で、宮中に帰って帝にそれを伝えました。
帝はさらに翁にご命令を下して、「もし姫を宮仕えに差し出すならば、翁に位をやろう。どうにかして姫を説いて納得させてくれ。
親の身でそのくらいのことのできぬはずはなかろう。」と仰せられました。
もし姫を宮仕えとして帝の住む宮中に差し出せば、宮中に来させてくれたら、翁、お前に位をやる。
偉くしてやるってことですね。
「どうにか姫を説得してくれ。親なんだからそのくらいのことできるだろう」とおっしゃいました。
翁はその通りを姫に伝えて、「是非とも帝のお言葉に従い自分の頼みを叶えさせてくれ。」と言いますと、
「無理に宮仕えをしろと仰せられるならば、私の身は消えてしまいましょう。あなたのお位をお貰いになるのを見て、私は死ぬだけでございます。」
と姫が答えましたので、翁はびっくりして、「位をいただいてもそなたに死なれてなんとしよう。
しかし宮仕えをしても死ねばならぬ道理はあるまい。」と言って嘆きましたが、
姫はいよいよ渋るばかりで少しも聞き入れる様子がありませんので、翁も手のつけようがなくなって、「どうしても宮中には上がらぬ」ということをお答えして、
「自分の家に生まれた子供でもなく、昔山で見つけたのを養っただけのことでありますから、
気持ちも世間普通の人とは違っておりますので、残念ではございますが...」と恐れ入って申し添えました。
はい、ちょっと長い文でしたね。
翁は帝に言われた通り姫に伝えて説得しようとしたんですけど、無理やりに宮仕えをしろ、宮中に仕えろ...
帝のために奉仕するということですね...とおっしゃるなら、私は死んでしまいます。
「あなたが位をもらって偉くなるのを見て、私は死にます」と言いました。
いくら位をもらっても偉くなっても、そなた、あなたに死なれたらどうしようもない。
でも宮仕えしたからって死ななくたっていいじゃないかと言って、嘆きました。
悲しみました。
それでも姫は、いや...と渋るばかりで、少しも聞き入れる様子がありません。
聞こうとしません。
なので翁ももう手のつけようがない、もうどうすることもできなくなって、宮中には行けませんということを伝えました。帝に。
実の子ではないので、山で見つけて育てただけなので、気持ちも普通とはちょっと違います。
残念ではございますが...すいませんけど...と恐れ入って、申し訳なさそうに伝えました。
申し添えるっていうのは、ちょっと付け加えて言うみたいな感じですね。
帝はこれを聞こし召されて、それならば、翁の家にほど近い山辺に御狩の行幸をする風にして姫を見に行くからと、
そのことを翁に承知させて、決めた日に姫の家におなりになりました。
断られてしまった帝。だったら、翁の家の近くの山に御狩の行幸。これは狩りのことだそうです。
「狩りをしに行くふりをして姫を見に行きますね」と翁に承知させて、翁のオッケーをもらって、で、姫の家を訪ねました。
「おなりになる」とありますね、ここ。
「おなり」っていうのは、なんかすごく偉い人が、どこかを訪問する、訪ねるとか、やってくる、そういう意味です。
なんかよく昔の時代の、平安時代とかを描いたドラマ、有名なのだと『大奥」っていうドラマがあるんですけど、
そういうね、古い時代を描いたドラマとかを見てると、「〇〇様のおなり」っていう、そういうセリフが出てくるんですよ。そういうシーンがあるんですね。
「〇〇様のおなり」って言って、パッてこう、偉い人が登場するみたいな。
はい、そういうシーンをよく見ます。
はい、帝がおなりになりました。
帝がやってきました。
すると、まばゆいように、眩しいぐらいに照り輝く女がいます。
これこそかぐや姫に違いないと思し召して、お近寄りになると、その女は奥へ逃げていきます。
「聞こし召されて」とか「思し召して」、これは帝の行動を言っているので、ものすごく丁寧な言葉が使われています。
これは古文によく出てくる敬語です。
光輝く女性がいたので、「あれがきっとかぐや姫だ」と思って近寄ってみると、奥に逃げていってしまいました。
その袖をお取りになると...パッとこう捕まえたんですね、袖を、着物の袖を取って...顔を隠しましたが、
初めにちらっとご覧になって、聞いたよりも美人と思し召されて、「逃げても許さぬ。宮中に連れて行くぞ。」と仰せられました。
思っていた以上に美人だったので、「逃げても許さんぞ。宮中に連れて行く。」と帝が言いました。
本人の意思に反して無理やり女性を連れていくなんて。
この帝のね、偉い権力を利用して、自分の思い通りにしようとするなんて、ちょっと今の時代だったら大問題ですね。
今の時代では絶対に許されないことですけど、当時は帝が絶対だったんでしょうね。
「連れて行く!」とおっしゃいました。
「私がこの国で生まれたものでありますならば、お宮仕えもいたしましょうけれど、そうではございませんから、
お連れになることは叶いますまい」と姫は申し上げました。
私がこの国で生まれた人なら言われた通りにします。
でもそうじゃないから、私を連れていくことはできませんよと言いました。
いや、そんなはずはない。
どうあっても連れて行く。かねて支度してあったお輿、人を乗せて担ぐものですね。
お輿に乗せようとなさると、姫の形は影のように消えてしまいました。
帝も驚かれて、「それではもう連れては行くまい。せめて元の形になって見せてくれ。それを見て帰ることにするから。」
と仰せられると、姫はやがて元の姿になりました。
ついに帝、諦めました。連れて行くことは諦めました。
でも、姿を見せてください。
見たら帰ります。
そして、姫が元の姿に戻りました。
帝も致し方がございませんから、その日はお帰りになりましたが、それからというもの、今まで随分美しいと思った人なども、
姫とは比べ物にならないと思し召すようになりました。
もう帝も、もうどうしようもないので、姫が納得しないからどうしようもないので、まぁ一旦帰ったんですけど、
でももうずっとかぐや姫のことが忘れられないんですね。
今まで美しいと思った女性は他にもたくさんいたけど、もうその人たちとも比べ物にならないぐらい、もうずば抜けて美しかったんですね。
それで、時々お手紙やお歌、和歌ですね、をお送りになると、それにはいちいちお返事を差し上げますので、ようようお心を慰めておいでになりました。
はい。
宮中に連れてくることはできなかったけれども、手紙や和歌のやり取りをして、それで帝は楽しんでいたんですね。
そうこうするうちに3年ばかり経ちました。
その年の春先から、かぐや姫はどうしたわけだか月の良い晩になると、その月を眺めて悲しむようになりました。
それがだんだん募って、七月の十五夜などには泣いてばかりいました。
翁たちが心配して月を見ることをやめるようにと諭しましたけれども、「月を見ずにはいられませぬ。」
と言って、やはり月の出る時分になると、わざわざ縁先などへ出て嘆きます。
月を見ていつも泣いていました。
翁たちが、「もう月見るのやめなよ」と説得したんですけど、それでも月を見て、わざわざ月が出る頃に
縁先、縁側のところに出て、月を見て悲しんでいます。
翁にはそれが不思議でもあり、心がかり、心配でもありますので、ある時その理由を聞きますと、
「今までに度々お話ししようと思いましたが、ご心配をかけるのもどうかと思って打ち明けることができませんでした。
実を申しますと、私はこの国の人間ではありません。月の都のものでございます。
ある因縁があってこの世界に来ているのですが、今は帰らねばならぬ時になりました。
この八月の十五夜に迎えの人たちが来れば、お別れして、私は天上に帰ります。
その時は、さぞお嘆きになることであろうと、前々から悲しんでいたのでございます。」
姫はそう言って、ひとしお泣き入りました。
かぐや姫はこう言っています。
今まで何度も打ち明けようと思ったけど、心配かけちゃいけないと思って打ち明けられなかった。
実は私、ここの人間じゃないんです。
月の者です。
ある理由があってこの世界に来ているんですが、もう月に帰らなくちゃいけない時がやってきました。
今度の八月の十五夜の時に迎えの人たちが来たら、もう私は天上に、月に帰らなくちゃいけない。
その時はきっと翁がさぞお嘆きになるだろう、すごく悲しむだろうと思って、前々から、
「あぁそろそろ帰らなくちゃいけないんだ...」と思いながら月を見て悲しんでいたんです。
姫はそう言ってさらに泣きました。
それを聞くと翁も気狂いのように、いのように気が狂ったように、おかしくなったように泣き出しました。
竹の中から拾ってこの年月、大事に育てた我が子を、誰が迎えに来ようとも渡すものではない。
もし取って行かれようものなら、わしこそ死んでしまいましょう。
かぐや姫を月の人には渡さない。連れて行かれたりしたら死んでしまいそう。
月の都の父母は、少しの間と言って私をこの国によこされたのですが、もう長い年月が経ちました。
生みの親のことも忘れて、ここのお2人に慣れ親しみましたので、私はお側を離れていくのが本当に悲しゅうございます。
かぐや姫も、少しの間と言ってここに連れてこられたんだけど、長い年月が経って、もう生みの親、実の親のことも忘れて、
翁とおばあさんに慣れ親しんだので、離れるのが本当に悲しい。
2人は大泣きに泣きました。
家の者どもも、顔形が美しいばかりでなく、上品で心立ての優しい姫に、今更永のお別れをするのが悲しくて、湯水も喉を通りませんでした。
見た目も心も美しいかぐや姫と永遠のお別れをするのが悲しくて、もう水も飲めないぐらいでした。
このことが帝のお耳に達しましたので、お使いをくだされてお見舞いがありました。
帝にもこの情報が入って、帝がまた使いの人を翁の家に行かせてお見舞いがありました。
お見舞いって言うと入院してる人とか病気の人のところに行くこと、それをお見舞いに行くって言いますけど、
ここではまぁ別に病気というわけじゃないんですけど、病気に限らず、何か不幸に見舞われた人、悲しいことがあった人、災難があった人とか、
そういう人に慰めの気持ちを伝える。
そういった感じですね。
翁は委細、詳細をお話しして、「この八月の十五日には天から迎えのものが来ると申しておりますが、その時には人数をお遣わしになって、
月の都の人々を捕まえてくださいませ」と、泣く泣くお願いしました。
はい。翁がこのかぐや姫の迎えが来る日に、たくさん人をここに送ってくれと。
そして、月の都の人達を捕まえてくださいと帝に頼みました。
「お願いします。」と言って、帝に頼みました。
帝に直接ではないですね。
使いの人に、「帝に伝えてください」と言ったんですね。
お使いが立ち帰ってその通りを帝に申し上げると、帝は翁に同情されて、かわいそうだなと思って、
いよいよ十五日が来ると、高野の少将という人を勅使として、武士二千人をやって竹取の翁の家を守らせられました。
高野の少将という人を勅使として。
帝の命令に従って派遣される使いの人ですね。
高野の少将に命じて、武士二千人で竹取の翁の家を守らせました。警護させました。
さて、屋根の上に千人、家の周りの土手の上に千人という風に手分けして、天から降りてくる人々を撃ち退ける手はずであります。
千人と千人で分かれてやっつける計画です。
この他に、家に召し使われているもの大勢、手ぐすね引いて待っています。
この二千人以外にも、家でたくさんの人が準備をして今か今かと待ち構えています。
家の内は女どもが番をし、おばあさんは姫を抱えて土蔵の中に入り、翁は土蔵の戸を閉めて戸口に控えています。
土蔵っていう建物があって、おばあさんがそこに姫を連れて中に入って、で、翁が戸を閉めて扉の前で控えています。待っています。
準備して待っています。
その時、姫は言いました。
それほどになさっても何の役にも立ちません。
そんなの何の意味もないです。
あの国の人が来れば、どこの戸も皆ひとりでに開いて、戦おうとする人たちも萎えしびれたようになって力が出ません。
月の人たちが来たら、もう扉がひとりでに、勝手に自動で開いて、武士たちも力がなくなってしまう。
「いやなに。迎えの人がやってきたらひどい目に合わせて追っ返してやる。」と翁はは力みました。
姫も「年寄った方々の老先も見届けずに別れるのかと思えば、老いとか悲しみとかのないあの国へ帰るのも一向に嬉しくない」と言ってまた嘆きます。
姫曰く、月の都では老いとか悲しみがないんだそうです。
つまり、ずっと年を取らないし、悲しむという感情もない。感じないんだそうです。
年寄った方々、年を取った翁とおばあさんの老先、老後も見届けずに別れるんだなって考えると、老いや悲しみがない月の都に帰るのだって
全然嬉しくないと言って、また悲しみます。
そのうちに夜も半ばになったと思うと、家の辺りが俄かに、ぱっと明るくなって、満月の十層倍、十倍ぐらいの光で、人々の毛穴さえ見えるほどであります。
毛穴、毛が生えてる穴が見えるぐらい、それぐらいぱっと明るくなりました。
その時、空から雲に乗った人々が降りてきて、地面から五尺ばかりの空中にずらりと立ち並びました。
五尺は、約1.5メートル。
1.5メートルぐらいのところに、雲に乗った人々がずらっと並びました。
「それ来た!」と武士たちが、獲物を取って立ち向かおうとすると、誰も彼も物に襲われたように戦う気もなくなり、
力も出ず、ただぼんやりとして目をパチパチさせているばかりであります。
ついに月の都の人々が登場したので、武士たちが、待ち構えていた武士たちが戦おうとしたんですけど、
でもなぜかみんな戦う気がなくなって、力が出なくなってしまいました。
ただぼーっと、目をパチパチさせて立っていることしかできなくなりました。
そこへ月の人々は、空を飛ぶ車を1つ持ってきました。
その中から頭らしい一人が翁を呼び出して、「汝翁よ、そちは少しばかりの善いことをしたので、それを助けるために、
片時の間姫を下してたくさんの黄金を儲けさせるようにしてやったが、今は姫の罪も消えたので迎えに来た。早く返すが良い。」と叫びます。
空飛ぶ車からその月の都の人たちの頭、トップっぽい人が翁を呼び出して、「汝翁よ」汝っていうのはあなた。
で、そちもあなたです。
あなたは善い行いをしたので、助けてやろうと思って、ちょっとの間姫をあなたの所に行かせてたくさん黄金を儲けさせてあげた。
でも今は姫の罪も消えたので迎えに来たと言っています。
ちょっとここはっきりとは書かれていませんが、おそらく姫は月の都で何か罪を犯しました。
悪いことをしました。
なので、その罰として、悪いことをした罰として地球に送られたということですね。
だけどもう罪を償って、姫の罪がなくなったので迎えに来た。
早く返しなさい。
翁が少し渋っていると、それには構わずに、そんなことは気にせずに、「さあさあ姫、こんな汚い所にいるものではありません」と言って例の車を差し寄せると、
不思議にも、固く閉ざした格子も土蔵も自然と開いて、姫の体はするすると出ました。
翁が止めようとあがくのを、姫は静かにおさえて、形見の文を書いて翁に渡し、また帝に差し上げる別の手紙を書いて、
それに月の人々の持ってきた不死の薬一壺を添えて、勅使に渡し、天の羽衣も着て、あの車に乗って、百人ばかりの天人に取り巻かれて空高く昇って行きました。
形見というのは、死んだ人が生きている人に残したもの。
例えば、「この指輪はおばあちゃんの形見」って言ったら、もともとおばあちゃん、亡くなったおばあちゃんが使っていたものを自分が譲り受けた。
そして大切にする。おばあちゃんの形見として大切にする。
そういう時に使いますね。形見。
かぐや姫とはもう永遠の別れですから、形見として手紙を書いて翁に渡しました。
そして帝にも手紙を書いて、月の人々が持ってきた不死の薬、永遠に死なない薬を一壺添えて、
それと一緒に勅使に渡して、そして自分は天の羽衣を着て、車に乗って空に昇っていきました。
これを見送って、翁夫婦はまたひとしきり声を上げて泣きましたが、何の甲斐もありませんでした。
かぐや姫が行ってしまうのを見送った後、翁夫婦はもうしばらく声をあげてわんわん泣いたんですけど、でも泣いてももう何の甲斐もなかった。
泣いても何にも意味がない。泣いたところでどうすることもできない。
一方、勅使、帝の使いの人は、宮中に参上して、その夜の一部始終を申し上げて、かの手紙と薬を差し上げました。
帝に一部始終、初めから終わりまで、こんなことがありましたよって全部話して、そしてかぐや姫から預かった手紙と不死の薬を帝に渡しました。
帝は天に一番近い山は駿河の国にあると聞こし召して、使いの役人をその山に登らせて、不死の薬を焚かしめられました。
どうやら駿河の国に、天に、かぐや姫が住んでいる天に一番近い山があるらしいと言って、役人をその山に登らせて、山の頂上で薬を燃やさせました。
それからはこの山を不死の山と呼ぶようになって、その薬の煙は今でも雲の中へ立ち上るということであります。
その駿河の国にある一番高い山を、不死の山、不死の薬を焚いたので、不死の山と呼ぶようになって、
その薬を焼いた時に出た煙は、今でも雲の中に立ち上っていると言われています。
おしまい。
はい、というお話でした。
いかがでしたか?
私はこのかぐや姫の話、もう少し簡略されたバージョンは子供の頃、昔話として楽しんだことがあるし、中学校の古文で、
さっきも言ったように古い文章として勉強したこともあるので、なんとなく話は知っていたんですけど、こんな風に全部読んだことはなかったので、
細かいところまでは知らなかったので、すごく面白かったです。
特にね、かぐや姫が5人の男性に注文をした細かい内容とかは知らなかったので、すごく面白いなと思いました。
冒頭で紹介したジブリのかぐや姫の映画は、このお話をもとに作られているそうです。
どの程度、この竹取物語に忠実に、同じように作られているのか分からないですけど、ジブリバージョンのかぐや姫もすごく気になりますよね。
ぜひ見てみたいなと思いました。
で、最後のここ、帝が役人に命じて、駿河の国にある天に一番近い山に登らせて、不死の薬を燃やさせたというところなんですが、
この部分を聞いてなんかピンと来た方、いらっしゃいませんか?
これ、ヒントを言うと、駿河の国というのは今で言う静岡県のことです。
静岡県にある高い山といえば、富士山ですね。
日本で一番標高が高い山、富士山です。
そこに登らせて、不死の薬を燃やしました。
不死の山、不死山、富士山、富士山。
実はこれ、富士山の名前の由来じゃないかと言われています。
この竹取物語に出てきた不死の山から取って、富士山と呼ぶようになったんじゃないかという説があるんだそうです。
実は富士山の名前の由来にはいくつも説があって、これだけじゃないらしいんですけど、
いくつかある説のうちの1つが、この竹取物語の結末の部分だと言われています。
今日は平安時代に作られた日本最古の物語『竹取物語』の現代語訳を一緒に読んでみました。
今日の動画は以上です。
Aozora Bunko website: https://www.aozora.gr.jp/ Original text of The Tale of the Bamboo Cutter: https://www.aozora.gr.jp/cards/001072/files/48310_42692.html